新社会人の不安に答える!お金と仕事の基礎知識
2025年6月17日に放送された「ニュースなるほどゼミ」では、新社会人が直面する「お金」と「仕事」の不安について、NHKの解説委員たちがわかりやすく説明しました。テーマは「解説!新社会人のためのお金と仕事」。番組では、給与明細の読み方や税金・年金の仕組み、人間関係のコツや学び直しの重要性など、多くの実用的な情報がアニメやインタビューを交えて紹介されました。
今年の新社会人は「新紙幣タイプ」
今年の新社会人の特徴は「変化を呼び込む!新紙幣タイプ」と名付けられていました。これは最新技術を取り入れた新紙幣のように、ハイスペックで柔軟性のある人材が多いことを意味しています。一方で、迎え入れる側には、これまでの育成方法を変える必要があると指摘されていました。1998年度の新入社員は「再生紙型」とされ、磨けば市場価値が高まるタイプだったという例も紹介され、世代ごとの特徴を比較しながら紹介されました。
給与明細の読み方と税・保険の基礎知識
新社会人のアニメキャラクター「ゼミ夫」が登場し、給料日に手取りの金額を見て驚く様子が描かれました。番組では、給与明細の読み方の基本を1分間でわかりやすく解説。岸正浩さんによれば、給与から差し引かれるのは「税金」と「社会保険料」で、これにより額面と実際の手取りには差が出ます。
主な項目は以下の通りです。
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所得税:収入に応じて課税される。高収入になると税率も高くなる。
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住民税:前年の所得に基づき、社会人2年目の6月から支払い開始。
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厚生年金:企業で働く人が加入。会社と本人で保険料を半分ずつ負担。
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介護保険:40歳以上が対象。高齢者の介護を支えるための保険。
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年末調整:1年間の所得に対し納め過ぎた税を調整する制度。
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確定申告:医療費などが一定額を超えるときに必要。還付される場合もある。
物価や保険料も上昇しており、手取りが減る感覚が強まっていることに注意が必要だとされていました。
将来への備えと投資の基本ルール
佐藤庸介さんによる1分解説では、将来に備えるための考え方と投資の基本が紹介されました。投資には次の3つのルールがあります。
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短期間に売買を繰り返さない
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さまざまな国・業種に分散投資する
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少しずつ長期的に資産を増やしていく
株価は短期で大きく動く一方、長期で見ると経済成長に沿ってゆるやかに上がる傾向があると説明されました。また、暗号資産なども話題にされましたが、気にしすぎず、自分に合った方法で始めるのが大切とされました。無理な投資は禁物で、「少額から・長期的に・責任を持って」が基本です。
入社後のギャップと人間関係の悩み
街で新社会人に「入社して驚いたこと」を尋ねたところ、職場での人間関係が一番の不安という声が多数寄せられました。木村祥子さんによれば、2024年度の新入社員意識調査でも、最も不安なのは「上司や同僚とうまくやっていけるか」だったとのことでした。
その中で紹介されたのが「ありがとうコミュニケーション」という社内研修。感謝の気持ちをSNSを通じて伝える練習をし、具体的に「なぜありがとうと思ったのか」を書くように指導されていました。こうした取り組みによって、社内の風通しがよくなったと報告されていました。
さらに吉川美恵子さんは、「脳科学的な会話術」を紹介。脳科学者・松田哲也教授の話では、人間の脳は他人の顔を何度も見ることで親近感を持つようになり、あいさつやうなずきが信頼関係を築く鍵になるとのことでした。身体のリズムが合うことで「身体同期」が起き、自然な会話が生まれやすくなるという説明でした。
学び直しとスキルアップがモチベーションに
次に取り上げられたのは「スキルアップによるやる気の向上」です。番組では、大手化学メーカーで働く深澤亮輔さんの取り組みが紹介されました。新入社員同士で勉強会を立ち上げ、財務諸表の読み解き方を学ぶ自主活動を行っていました。会社側も自由にテーマを決められる学習制度を設け、学びをサポートしていました。
また、「越境学習」という言葉も紹介され、普段の仕事の枠を越えて新しい分野を学ぶことの重要性が語られました。20代で自己啓発に取り組んだ人とそうでない人では、年収で109万円の差が出るという調査結果も提示されました。文部科学省が支援する「マナパス」というサイトをはじめ、さまざまなリスキリングの機会も案内されました。
ストレス軽減の方法と脳の疲労への理解
番組終盤では、吉川美恵子さんが今すぐできるストレス軽減法を紹介。精神科医の高野知樹医師によると、緊張や不安を感じるときは「今この瞬間」に意識を集中させることが効果的とされていました。
具体的には、五感を使って飲み物を味わうこと。これを「レーズンエクササイズ」とも呼び、ゆっくりと香りや味、感触に意識を向けることで脳の過剰な働きを休ませる方法です。入社直後は情報の処理が多く、脳も身体も無意識のうちに疲労している状態であることが説明されました。ただし、3か月ほど経つと重要な情報の取捨選択ができるようになり、心の負担が少しずつ軽くなっていくという話も添えられていました。
新人時代を乗り越えた先輩たちからのメッセージ
番組の最後では、街の先輩たちに「新人時代の思い出」や「新社会人へのエール」をインタビュー。多くの人が「最初は誰でも不安だったけど、周りの人との関係を大切にしていれば大丈夫」と励ましの言葉を寄せていました。
エンディングでは、宇治原史規さんが「40代・50代の側も、新人とどう関わるべきかを実は不安に思っている」と語り、世代を越えて支え合う姿勢の大切さが自然と伝わる締めくくりとなりました。
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