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NHK【明鏡止水】大谷翔平の異次元バッティングと投球を武術で読み解く!肚・手の内・太極拳…すべての動きに侍の知恵が宿る|2025年7月9日放送

スポーツ

侍・大谷翔平を武術の視点で読み解く|2025年7月9日放送

2025年7月9日にNHK総合で放送された「明鏡止水」のテーマは「侍・大谷翔平」。番組では、メジャーリーガーとして世界を驚かせる大谷翔平選手の動きを、日本古来の武術の視点から読み解きました。出演者は岡田准一さん、ケンドーコバヤシさん、田口壮さん、川上憲伸さん、里崎智也さん、山城美智さん、山本彩さん、関展秀さん、岡部武央さんなど。野球と武術の深い共通点に迫った内容は、新鮮な発見に満ちていました。

岡田准一が読み解く、大谷翔平の「肚と手」が生む力

岡田准一さんは、大谷翔平選手のバッティングフォームに注目し、「肚(はら)と手が一直線になる」という日本的な力の出し方を解説しました。多くの外国人選手が腰を回転させることでパワーを出すのに対し、大谷選手は体幹を中心に、胴体と手を一体化させて打つことで、ブレない打撃を実現しているとのこと。この「肚と手」のつながりは、剣道や居合道、空手など日本の武道に共通する身体操作であり、西洋の筋力中心とは異なる、全身の調和から生まれる力があると岡田さんは語っていました。

田口壮が伝える、打撃の「8の字」と体の「連動」

元メジャーリーガー・田口壮さんは、自身の現役時代のバッティングスタイルについて語りました。バットを揺らす特徴的な動きは、足と手で8の字を描きながら、全身を一つのユニットとして使うためのものでした。これによりバットの軌道が安定し、力が無駄なくボールに伝わるようになります。岡田さんはそこに武術との共通点を見出し、「仙骨を落として尻下を伸ばす」ことで、より安定し力が下から上へ自然に流れる姿勢になると補足しました。

武術家・宇城憲治が語る「手の内」 王貞治も居合から学んだ

王貞治さんがバッティングの極意を**「居合」から学んでいたというエピソードも紹介されました。王さんは、ボールの芯をバットの芯でとらえることを目指しており、それには刀を振る時の「手の内」**が参考になったといいます。番組に登場した武術家・宇城憲治さんは、沖縄空手と居合の達人であり、野球選手たちに打撃指導も行っています。彼が教える「手の内」とは、力まず柔らかく握ることで、バットや刀の動きを制限せず、最大限に活かすという考え方です。強く握ってしまうと力の流れが止まるため、柔らかな手の中に芯を保つのが理想なのだそうです。

沖縄拳法の「釵」に学ぶ 連動と脱力の秘密

沖縄拳法空手道の六代目師範・山城美智さんは、沖縄に伝わる武器「釵(さい)」を使って、手の内と体の連動について実演しました。釵は手先の力ではなく、体全体の動きで自然に動かすことが大切。山城さんは「釵は腕力で振るものではない」と語り、脱力しつつも正確な制御ができる「柔らかい動き」が、最大限の威力を生むと説明しました。岡田さんも釵を受けてみて、「力ではなく、全身の連動で重さが伝わってくる」と実感していました。

関展秀が披露する「手の内」 柔らかい力で相手を制す技

古武術・淺山一傳流の達人・関展秀さんは、柔らかい「手の内」によって相手の力を流すように受け止め、逆に技を返すという動きを披露しました。関さんによると、「手の内を柔らかく保つことで、多彩な技が可能になる」とのこと。両手を使いながらも、力まず柔らかく対応することで、状況に応じた自在な動きが生まれると紹介されました。

川上憲伸が語る、ピッチングにおける「柔らかい握り」

元プロ野球投手・川上憲伸さんは、速球を投げるときほど、実は「握りは柔らかくなる」と語りました。ガチガチに握るとフォームが崩れやすく、力の流れが分断されてしまうため、下半身から腕へと自然に力が伝わる「連動」が大切なのだそうです。レベルの高いピッチャーほど、その連動性が洗練されており、無理なく美しいフォームでボールを投げられるとのことです。

太極拳の掌打に見る「全身の流れ」 岡部武央の実演

太極拳の使い手・岡部武央さんは、全身の力を一つにまとめて出す「掌打」を披露しました。動きはゆっくりでも、身体が一つのまとまりとして連動することで大きな力が生まれるのが特徴です。山本彩さんも実際に動きを体験し、太極拳の「脱力と連動」がいかに効率的な力の出し方かを体感していました。

川上憲伸×手裏剣術 チェンジアップとの共通点

関展秀さんは、手裏剣術の技を実演し、その構えや手の使い方がチェンジアップの感覚に近いと川上さんは語りました。ここでも、「強く握らない」「手の内を柔らかく使う」という点が共通しています。速さよりもタイミングと変化を重視する技術に、野球と武術の重なりが見られました。

「重い球」とは何か? 川上が語る投球の深層

岡田さんが疑問を投げかけた「なぜ重く感じる球があるのか」という問いに、川上さんは「回転が汚い球は打者が芯で捉えにくく、重く感じる」と解説しました。打者の感覚で「重い」と感じる球は、必ずしも球速ではなく、打撃タイミングを外す球筋が生んでいるものであり、狙って投げるのは難しい高度な技術だそうです。

盗塁の極意と「気配を読む」感覚

盗塁について、田口壮さんは「牽制が来ないと分かる選手もいる」と話しました。これは相手の動きや気配を敏感に察知する能力であり、武術の「間合い」や「呼吸」と共通する要素があると紹介されました。岡部さんは、「交差法」という気配を察して動く武術技法を披露。思考を捨て、反射的に動くことで、相手の動きに素早く反応することができるとのことです。

捕手の送球術 コンマ秒を削る「上半身は待ち、下半身は動く」

里崎智也さんは、盗塁阻止の際の投球と送球の秒数を紹介し、二塁まで3.2秒のうち、キャッチャーの持ち時間は約1.95秒だと説明しました。この限られた時間の中で正確かつ速く送球するためには、「ボールが来るまで上半身は我慢し、下半身は先に動く」という、分離された連動の技術が求められるとのことです。

関展秀が披露する「抜刀術」 構えないことで速く動く

最後は関展秀さんによる「抜刀術の早業」。構えてから斬るのではなく、鞘を前に出して柄を握り、同時に鞘を引いて斬るという技法で、構えという余分な動作を省き、瞬時に行動に移す術理が紹介されました。この「構えない」感覚は、野球の走塁や守備においても重要で、判断と行動の間の無駄をなくす技術として紹介されました。


放送内容

パート 内容概要
オープニング テーマ発表「侍・大谷翔平」
打撃① 岡田:大谷の「肚と手」が一直線
打撃② 田口:8の字のスイングで体を連動
打撃③ 王貞治と「手の内」、宇城が居合で解説
打撃④ 山城:釵の動きで脱力と重さの伝達を実演
打撃⑤ 関展秀:柔らかい手の内で多彩な技を見せる
投球① 川上:柔らかい握りでフォームが安定
投球② 岡部:太極拳の掌打を披露
投球③ 関×川上:手裏剣術とチェンジアップの共通性
投球④ 川上:重い球は回転と打ちづらさの複合
走塁① 田口:牽制を見抜く感覚の存在
走塁② 岡部:気配を読む交差法
走塁③ 里崎:上半身を待ち、下半身を動かす送球法
走塁④ 関:構えを省く抜刀術の速さで時間短縮

今回の「明鏡止水」は、大谷翔平選手の強さの秘密を、武術という角度から浮かび上がらせるという、非常に独創的かつ興味深い企画でした。打撃や投球、走塁などの一つ一つの動きが、日本に古くから伝わる「体の使い方」や「感覚の鋭さ」と密接に関係していることが明らかになり、まさに「侍・大谷翔平」というテーマにふさわしい回となりました。

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