光より速いものはない?
NHK Eテレで放送中のシリーズ「3か月でマスターするアインシュタイン」。第2回目となる2025年7月9日(水)の放送では、「光」をテーマにアインシュタインの考えた世界を楽しくわかりやすく紹介します。これまで「なんとなく難しそう」と思っていた相対性理論も、見たあとには「もっと知りたい!」に変わるはずです。
物理学者の小林晋平さんと、タレントの福田麻貴さんが案内役となり、アインシュタインが若い頃に考えた「思考実験」を体感します。番組は30分ですが、その中には、驚きと発見がギュッと詰まっています。
NHK【3か月でマスターするアインシュタイン(1)】奇跡の年1905と相対性理論を自転車で体感!|2025年7月8日放送
光と同じスピードで走ると、鏡に顔は映らない?
今回の見どころのひとつが、「もし光と同じ速さで走ったら、鏡に自分の顔は映るのか?」という思考実験。実験を担当するのは福田麻貴さん。鏡を持って全力疾走するという、なんともユニークな挑戦です。
この実験の答えは「映らない」です。なぜなら、光と同じスピードで走っていると、自分の顔から出た光が鏡に届いても、それが自分に戻ってくることができません。つまり、光が自分に追いつかないので、鏡に自分の顔が映らないという結果になります。
これはアインシュタインが10代のころに本気で考えていたテーマで、ここから彼の有名な特殊相対性理論が生まれました。「光のスピードはだれが見ても変わらない」という基本的なルールが、ここにはあります。
「1+1=1」?不思議な数式が教えてくれること
番組の中では、さらに驚きの数式が登場します。それが「1+1=1」です。いかにも間違いのように見えますが、これは相対性理論の中での速度の加え方に関係しています。
ふつうの感覚では、100km/hの車に100km/hの風が吹けば、合わせて200km/hになりそうですが、光の世界ではそうはいきません。光速に何を足しても、結果は光速のまま。これが相対論的速度加算というルールです。
このしくみを数式で表すと以下のようになります。
状況 | 計算結果 |
---|---|
光速+光速 | 光速(c) |
0.9c+0.9c(光速の90%) | 約0.994c |
このように、どれだけ足しても光速を超えることはありません。つまり、「1(光速)+1(光速)=1(光速)」という形になるわけです。
日常のふとした疑問が、宇宙の法則に
アインシュタインの発想は、「なんでだろう?」という素朴な疑問から始まりました。今回のテーマ「光」も、身近な現象のようで、実は宇宙のルールを知る大切なカギなのです。
たとえば私たちが毎日使っているGPSも、アインシュタインの理論がなければ正確に動きません。衛星と地上では時間の進み方が違うため、そのズレを補正しながら現在地を計算しています。もしこの補正がなければ、ナビの位置がどんどんズレてしまいます。
また、金がなぜ黄色っぽく見えるのかも、相対性理論が関係しています。重い原子では電子が速く動き、そのスピードが光速に近づくことで、特有の色味が現れるのです。
他にも、
・背の高いテーブルに置いた時計は、床に置いた時計より少しだけ時間が速く進む
・巨大な星の重力によって光が曲がり、遠くの星が見える「重力レンズ」現象が起こる
など、私たちの生活や宇宙観測にも相対性理論は深く関係しています。
放送情報まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
番組名 | 3か月でマスターするアインシュタイン(2)光より速いものはない? |
放送日 | 2025年7月9日(水) |
時間 | 21:30〜22:00(30分) |
チャンネル | NHK Eテレ(教育) |
出演者 | 小林晋平(東京学芸大学教授・物理学者)、福田麻貴 |
テーマ | 光と相対性理論の基本を楽しく学ぶ |
放送後に内容を追記予定です
この記事は放送前の公式情報をもとに作成しています。アインシュタインの発想を、誰もが楽しめる形で伝えてくれるこの番組。ぜひリアルタイムでご覧ください。
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