「400円で満腹&感動」イラン出身の店主が描く“食と芸術”の居酒屋物語
「最近、心もお腹も満たされるお店が減ったな…」そう感じている人にこそ訪れてほしい場所があります。東京・板橋区の住宅街の一角に、連日多くの人が通う人気居酒屋『花門(かもん)』。一歩店に入れば、笑い声と湯気、そして絵画に囲まれた温かな空間が広がります。
このお店を切り盛りするのは、マンスール・コルドバッチェさん。イラン出身でありながら、日本で長年にわたり飲食業を営み、さらに日展に17年連続で入選するという驚きの経歴を持つ人物です。昼は仕込み、夜は料理、深夜にはキャンバスに向かう――そんな“二刀流の人生”を送りながら、料理と絵の両方で人々の心を満たしてきました。
この記事では、彼の店『花門』がなぜ多くの人に愛され続けるのか。その理由を「料理」「人柄」「芸術」の3つの視点から、たっぷりと紹介します。
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すべて400円!庶民に寄り添う“奇跡の価格”の裏側
『花門』の最大の特徴は、なんといっても「すべての料理が400円」という価格設定。唐揚げ、刺身、焼き魚、オムライス、マカロニグラタン、イランロールなど約50種類のメニューが、すべて400円で味わえるのです。しかもそのどれもが“大皿サイズ”。一般的な居酒屋の倍はあるボリュームで、テーブルいっぱいに料理が並びます。
マンスールさんがこの価格にこだわる理由は、「お客さんにお腹いっぱい食べて、笑顔で帰ってもらいたい」という思いから。物価が上がり続ける中でも、値上げをせずに努力を重ねてきました。
仕入れは自ら市場へ行き、安くて質のいい食材を目利き。調味料はほとんど手作りで、油の使い方や下味の工夫によってコストを抑えつつ満足感を出しています。
「安くても手を抜かない。料理は愛情です」とマンスールさんは話します。その言葉どおり、どの皿にも“温かさ”が詰まっているのです。
常連客の笑顔があふれる“もうひとつの家”
『花門』の店内は、カウンターと小上がりが数席だけのこぢんまりとした空間。決して広くはありませんが、その分、店主と客の距離が近く、アットホームな雰囲気が魅力です。
仕事帰りのサラリーマン、近所の家族連れ、学生、さらには外国人の常連も多く、まるで国籍を超えた“人情の交差点”のよう。誰もが「ただいま」と言いたくなる温かさに包まれています。
常連の中には10年以上通い続けている人も少なくなく、「ここに来ると、疲れが吹き飛ぶ」「マンスさんの笑顔を見ると元気になる」と口をそろえます。
お客さん同士が自然に打ち解けるのも、『花門』ならではの光景です。壁には常連たちの寄せ書きや写真、そしてマンスールさんの絵画が飾られ、店全体がひとつの“生きたアートギャラリー”のようになっています。
芸術家としてのもうひとつの顔
『花門』が特別なのは、料理だけではありません。実はマンスールさんは、日本の美術界でも知られた存在です。彼は夜中、営業を終えたあとにアトリエでキャンバスに向かい、油絵を描き続けています。その腕前はプロ中のプロ。日展に17年連続入選という実績は、まさに本物の証です。
彼の作品には、祖国イランの風景、日本の四季、そして店に訪れる人々の笑顔が描かれています。鮮やかな色彩と光の表現に定評があり、見る人の心を温かく包み込みます。
「料理も絵も、どちらも人を幸せにするためのもの。食べて笑顔になる人を見たいし、絵を見て元気になる人を増やしたい」とマンスールさん。彼の手から生まれる作品には、異国の地で生き抜く覚悟と、他者への思いやりが共存しています。
『花門』の魅力は“人の力”
『花門』には決して華美な装飾や最新設備はありません。けれど、料理を運ぶ手、皿を洗う手、絵筆を握る手には、人を想う優しさと努力が宿っています。
この店が17年以上も愛され続ける理由は、価格でも量でもなく、“人の力”です。マンスールさんの真摯な姿勢が、地域の人々を惹きつけてやまないのです。
最近ではSNSでも話題になり、「上板橋の奇跡」「東京で一番優しい居酒屋」と評されることも。テレビでもたびたび取り上げられ、その度に新しいファンが増えています。
『花門』の基本情報
住所:東京都板橋区上板橋3-6-7
電話:03-3935-9222
営業時間:17:00〜24:00(閉店時間は変動あり)
定休日:火曜日
アクセス:東武東上線「上板橋駅」北口から徒歩約8分
駐車場:なし(近隣にコインパーキングあり)
メニューの一例:
・唐揚げ(特大)
・ベーコンエッグ
・オムライス
・焼き魚各種
・イランロール
・マカロニグラタン
・ナスとトマトの煮込み
・生ビール 550円、酎ハイ 400円
どの料理も家庭的で温かく、ボリューム満点。味付けはしっかりしていて、ご飯にもお酒にも合います。特に人気の「イランロール」は、スパイスが香る本格的な一品で、リピーターが後を絶ちません。
この記事のポイント
・東京都板橋区上板橋の居酒屋『花門』は、全メニュー400円という驚異のコスパを誇る
・店主のマンスール・コルドバッチェさんは、イラン出身で日展に17年連続入選する画家
・料理と絵、どちらにも“人を幸せにしたい”という思いが込められている
・常連客にとって『花門』は、食堂であり、アトリエであり、心の拠り所でもある
食と芸術が交わる“人情の場所”へ
『花門』は、ただ安くておいしい店ではありません。そこには、異国の地で努力を重ね、日本で生きる一人の芸術家の物語があります。
お腹を満たす料理、心を満たす絵、そして笑顔をつなぐ人の輪。そんな“人間味”こそが、東京の片隅に息づく本当の豊かさなのかもしれません。
次の夜、仕事帰りに少し足を延ばしてみてください。赤いのれんの向こうで、マンスールさんが笑顔で迎えてくれるはずです。
ソース:
・食べログ 居酒屋花門(かもん)
・公式サイト マンスールの世界
・板橋区ローカル情報サイト Itabashi Pay
・TV東京 プラス 特集記事
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