かわいくて最強!イモリ観察で見えた意外なすごさ|2025年7月13日放送予定
2025年7月13日(日)夜7時30分から放送予定の「ダーウィンが来た!」では、田んぼや小川などの水辺で暮らす両生類「イモリ」の特集が行われます。見た目は小さくて愛らしいイモリですが、実は長生きで、失った体の部位まで再び生やす力をもつ、驚くほどのサバイバル力を秘めた生きものです。今回の放送では、ふだんはあまり見られない瞬間の撮影にも成功しているとのことで、大きな注目を集めています。
イモリとはどんな生きもの?
イモリは「アカハライモリ」として親しまれている、日本の両生類です。田んぼや川、小さな池など、静かな水辺にひっそりと暮らしています。体の大きさは10〜15cm程度で、背中は黒く、お腹は赤と黒の模様が特徴的。このお腹の模様は、実は自分が毒を持っているという警告サインになっているのです。イモリは本州・四国・九州に広く分布しており、かつては平地でもたくさん見られましたが、今では開発などの影響で山や森の近くの水辺に多くなっています。人の気配が少ない静かな場所を好んで生息しており、水の中と陸上を行き来しながら生活する器用な生きものでもあります。
すごいのは見た目じゃない!再生できる体のひみつ
イモリの最大の特徴は、なんといっても失った体の部位を何度でも再生できる力です。普通の生きものはケガをしても治るだけで、元の形には戻りませんが、イモリは足や尾だけでなく、心臓・目・脳といった重要な器官まで再生することができます。しかもこの力は子どものときだけではなく、大人になっても衰えることがありません。
細胞が「脱分化」と呼ばれる状態になり、いったん役割を忘れて新しい細胞としてやり直すしくみによって、完全な器官が再び作られるのです。研究では、目のレンズを19回も再生した記録もあり、その再生能力の高さは医療の分野でも注目されています。筑波大学などでは、イモリの再生メカニズムを人間の治療に応用できないかという研究が進められています。
においと毒で身を守るすごい防御法
イモリはただ可愛いだけではありません。敵に狙われたときの防御手段もしっかり持っています。まず、皮膚には「テトロドトキシン」という毒が含まれています。これはフグと同じ種類の毒で、神経に作用する強い毒性を持っています。触っただけで命の危険があるほどではありませんが、敵が口にするとすぐに吐き出してしまうくらいの強さがあります。
さらに、イモリはにおいでも自分を守ります。色の見えにくい夜行性のヘビなどにも、「この体は危険だよ」と知らせるにおいを出して警告します。このにおいや毒は、外敵に襲われたり、環境の変化を感じ取ったときに強まることもあり、自分で防御のレベルを調整していることもわかっています。
幻の「イモリ玉」にも出会えた!
今回の番組では、特に注目のシーンとして「イモリ玉」と呼ばれる珍しい現象に出会った様子も紹介される予定です。「イモリ玉」とは、寒い季節にイモリたちが数十匹から数百匹の単位で一か所に集まって越冬する姿のことです。日本では2021年、滋賀県で472匹のアカハライモリが集まった「イモリ玉」が学会に報告され、話題となりました。
なぜイモリたちがこのように集まるのかは、はっきりとわかっていませんが、研究ではオスが出す「ソデフリン」やメスが出す「アイモリン」という性フェロモンの影響ではないかとも言われています。こうした行動はまだ研究段階で、映像として記録されるのもとても貴重なことです。
イモリの冬のくらしもすごい
イモリは寒さに弱いように思えますが、実は冬にも完全には眠らずに、動けるときには少しずつ活動しています。この状態は「トーポル」と呼ばれ、代謝を落として体力の消耗を抑える、いわばスローモードのような暮らし方です。落ち葉の下や石の影など、凍らない場所に身を潜めながら、じっと冬を乗り越えます。
気温が少し上がった日には、水辺に出てきてエサを探したりもします。こうして寒さに負けず、自分のペースで生き延びる工夫をしているのです。野生と飼育下でもその過ごし方に違いがあり、10℃前後の水温が活動と休息の境目になることが多いとされています。
卵の産み方が驚くほどていねい
春になると、イモリたちはゆっくりと繁殖期に入ります。オスは紫がかった色に変化し、メスにアピールします。交尾後、メスは卵を一日数個ずつ産みますが、なんとその卵を水草の葉にくるんで産みつけるという独特な方法をとります。この「くるみ産み」によって、卵は水流やカビ、外敵から守られ、安全に成長できるようになります。
卵は約2〜3週間でふ化し、幼生として水の中を泳ぎながら小さな生きものを食べて成長します。この産み方は数珠つなぎで産むカエルとはまったく違い、成功率が高いのも特長です。
成長のプロセスもおもしろい!
イモリの一生は、「卵 → 幼生 → 幼体 → 成体」と変化していきます。ふ化したばかりの赤ちゃんは外鰓で呼吸し、水中を自由に泳ぎます。その後、前足や後ろ足が生え、エラが小さくなると、肺呼吸に切り替わって陸に上がる準備が始まります。この時期のイモリは「幼体」と呼ばれ、水辺の陸地に移動するようになります。
そして成体になると再び水辺に戻り、繁殖行動を行って新たな命をつないでいきます。成体はエサの種類も豊富になり、昆虫やタニシ、小動物なども食べるようになります。脱皮を行う習性もあり、その脱皮殻を自分で食べるという行動も見られます。
イモリの基本情報まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
種類 | アカハライモリ(両生類) |
分布 | 本州・四国・九州の水辺に広く生息 |
大きさ | 10〜15cm |
特徴 | 背中が黒く、お腹が赤と黒の模様 |
食性 | 昆虫、ミミズ、小動物などの肉食性 |
再生能力 | 足・尾・目・心臓・脳など重要器官を再生可能 |
防御法 | 毒(テトロドトキシン)とにおいで警告 |
冬の生活 | トーポル状態で低活動を維持、暖かい日は活動も |
産卵方法 | 水草の葉に卵を一粒ずつくるんで産む |
成長段階 | 卵 → 幼生(外鰓)→ 幼体(肺呼吸)→ 成体へ |
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