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NHK【ダーウィンが来た!】ゾウと人のはざまで…オスゾウ“ヒカル”の知られざる生態|2025年6月1日放送

ダーウィンが来た!

ゾウと人間が交わる場所で…スリランカの森を生きるオスゾウ“ヒカル”の追跡記録

2025年6月1日に放送されたNHK『ダーウィンが来た!』では、「森と街のはざまで生きる!ゾウ大追跡」と題して、スリランカで暮らす野生のゾウたちに密着しました。特に注目されたのは、オスゾウ“ヒカル”の行動を発信機で追いながら、ゾウが人間社会とどのように関わりながら生きているのかを丁寧に描いた内容です。森と街の境界線に立たされたゾウたちの暮らしは、私たちが想像するよりもずっと過酷で複雑です。

オスゾウが問題を起こす理由とヒカルの追跡開始

スリランカでは森と人の生活圏がすぐ近くにあり、その境目に生きるゾウとのトラブルが絶えません。特に人間に危害を加えることがあるのは、大人のオスゾウがほとんどだといいます。番組では、こうしたオスゾウの行動を知るため、1頭のオスゾウに発信機を取り付けました。このゾウに「ヒカル」と名前をつけ、行動を追いかけることにしました。

アジアゾウはメスが群れで暮らし、オスは子どものうちはその群れに守られています。しかし、15歳を迎える頃になるとオスは群れを離れて独りで暮らすようになります。ヒカルもすでに独り立ちしており、他のオスと一緒に行動していました。さらに興味深いのは、複数のオスゾウが集まり、その中の1頭がリーダーとして他のオスを率いるような行動を見せていた点です。これはゾウ社会の新たな一面でした。

ヒカルは昼間は森の中にいて、夕方になると森の外、つまり人間の生活圏に頻繁に出没するようになります。特に収穫直前の畑やゴミ捨て場などに姿を見せることが多くなります。栄養価の高い食べ物を求めての行動だと考えられています。

スリランカでは、ゾウによって命を落とす人も少なくありません。ですが、ゾウは宗教的にも文化的にも大切な存在で、観光の目玉にもなっており、単純に「害獣」として追い払うことができない現状があります。人とゾウ、どちらにとっても苦しい問題が横たわっています。

怪我をしたゾウを救う獣医師たちの努力

人間の生活圏に出てくることで、ゾウが怪我をする事故も多くなります。スリランカでは年間およそ400頭ものゾウが命を落としているという現実があります。そうした中、ゾウを救おうと立ち上がる獣医師たちが存在しています。

国の方針により、ゾウの治療や保護活動が進められており、怪我を負ったゾウに治療を施す取り組みが続けられています。番組では、そうした獣医師たちの姿も紹介され、ゾウの命を守るために尽力する人々の努力がしっかりと描かれていました。

ゾウの楽園・ミンネリヤ国立公園へ向かったヒカル

ヒカルの行動を追っていると、ある日10頭以上のオスゾウが一堂に会する珍しい光景が確認されました。彼らが目指していたのは、スリランカの「ミンネリヤ国立公園」です。ここは乾季になると湖の水位が下がり、広大な草原が現れる特別な場所です。

この草原はゾウたちにとっての“オアシス”であり、水浴びや泥浴びをして暑さをしのぎ、皮膚の汚れを落とすことができます。また、繁殖期でもあり、多くのオスがメスを求めて集まる場所でもあります。まさにゾウたちにとっての“楽園”ともいえる場所です。

ところが、ヒカルの姿がそこに現れなかったのです。専門家によれば、ヒカルはまだ25歳前後で、繁殖に有利な40〜50歳のゾウに比べて若く、他のオスに追い返されてしまったのではないかと分析されていました。ゾウの世界でも年齢や力の差が厳しく影響する社会があるのです。

再び森と街の境界に戻ったヒカルの姿

9月、ヒカルは再び姿を現します。これまでと違い、昼間に道路沿いに現れるようになっていました。そしてまた別のオスゾウと一緒に食事をしている姿が確認されました。孤独に見えるオスゾウたちですが、必要に応じて仲間と行動をともにする柔軟さも持っていることがわかりました

スリランカのゾウたちは、急速に変わりゆく環境の中で、森と街のあいだという非常にデリケートな場所で生きる道を選ばざるを得ない状況に置かれています。番組では、ヒカルの姿を通じて、そのたくましさと適応力、そして人間との関係性が丁寧に描かれていました。

まとめ

『ダーウィンが来た!』の今回の放送は、ゾウという動物の魅力だけでなく、人間社会とどう共存していくのかという深いテーマに踏み込んだ内容でした。ヒカルという1頭のオスゾウの行動を追いかけることで、ゾウ社会の仕組み、人との摩擦、そして命を守る努力が見えてきました。

私たち人間が自然とどう向き合うかを考えるきっかけとなる30分でした。

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