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NHK【ダーウィンが来た】写真家山口進とジャポニカ学習帳 表紙に込めた自然へのメッセージ(2025年8月18日放送)

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ダーウィンが来た!つながり合って生きている!

「ダーウィンが来た!」2025年8月18日放送回は、昆虫植物写真家・山口進さんを大特集する内容です。今回のテーマは「生きものどうしのつながり」。山口さんが世界中で撮影した花や虫、アリやキノコなどの共生関係を、珠玉の映像とともに紹介します。さらに、長年子どもたちに親しまれてきた「ジャポニカ学習帳」の表紙写真を担当した背景や、最後に残したメッセージにも迫ります。まだ放送前ですが、事前に知っておくと番組がもっと楽しめる情報をまとめました。

写真家・山口進さんの歩み

山口進さんは1948年に三重県で生まれました。子どものころから自然や生きものへの興味はありましたが、大学では経済学を専攻し、卒業後は一度社会人としての道を歩みました。最初に就いた職業はシステムエンジニア(SE)で、大手企業で安定した生活を送っていました。ところが、ある日ふと立ち寄った百貨店で開かれていた昆虫写真展に強く心を動かされます。そこに展示されていた作品は、自分が普段目にしている虫や植物とはまるで違う、美しく迫力のある世界を映し出しており、「自分もこんな写真を撮りたい」という思いが芽生えたのです。

その情熱は日に日に大きくなり、ついに28歳のとき、会社を辞めて写真家の道へ進む決意を固めました。退職金を手に、まずは本格的な撮影のために中判カメラを購入。さらに独学でカメラの構造を学び、参考書を片手に試行錯誤を重ねながら技術を磨いていきました。そして思い切って海外に渡ることを決め、最初の舞台に選んだのがニューギニアでした。

そこで出会った多様な昆虫や植物たちは、彼の視点と情熱を一層引き出しました。現地で撮影された作品は大きな評価を受け、雑誌『アサヒグラフ』などでも取り上げられることになります。この経験がきっかけとなり、昆虫植物写真家としての道を本格的に歩み始めることになったのです。

以後40年以上にわたり、「花と昆虫の共生」をライフワークとして追いかけ、世界各地を飛び回りながら撮影を続けました。彼の写真はただ美しいだけでなく、生きもの同士の関わりや自然界の不思議を映し出し、見る人に深い感動と気づきを与えました。数多くの書籍やテレビ番組を通してその魅力を発信し、子どもから大人まで幅広い世代に自然の大切さを伝える存在となったのです。

ジャポニカ学習帳の表紙を40年以上担当

1978年からは、文具メーカーのショウワノートが販売する人気シリーズ、ジャポニカ学習帳の表紙写真をほぼ一人で手がけるようになりました。その活動は40年以上にわたり続き、これまでに提供した写真はなんと1200点以上にのぼります。子どもたちが毎日の学びの中で自然の世界を身近に感じられるよう、彼は昆虫や植物の姿をありのままの姿で丁寧に切り取りました。

また、山口さんは単に表紙の写真を撮るだけでなく、裏表紙に掲載される解説文や学習図鑑の原稿も自ら執筆しました。そこでは昆虫や植物の生態の特徴、知られざる面白い習性などをわかりやすい言葉で解説し、子どもたちに「自然ってすごい」「もっと知りたい」と思わせる工夫を凝らしていました。

つまり彼の仕事は、単なる写真提供にとどまらず、学習帳そのものを“自然を学ぶ教材”へと昇華させた存在だったのです。表紙を開いたときに広がる鮮やかな昆虫や花の写真と、その裏に込められた丁寧な説明が一体となり、子どもたちに「自然の美しさと不思議さ」を長きにわたって届け続けたといえます。

生きものどうしの驚きのつながり

山口進さんの作品には、常に「共生」という視点が色濃く反映されています。彼がカメラを向けたのは、美しい花や珍しい昆虫の姿そのものだけでなく、その背後にある「生きもの同士のつながり」でした。自然界では、互いに支え合う関係や思いがけない協力関係が数多く見られます。代表的な例を整理すると、次のようになります。

  • ランとハチ:ランは蜜を与えることでハチを引き寄せ、ハチはその代わりに花粉を運んで受粉を助けます。まさに互いの存在が欠かせない関係です。
  • アリとキノコ:アリはキノコから栄養を得て暮らし、その一方でアリが巣を守ることでキノコも繁栄します。森の生態系を陰で支える重要な組み合わせです。
  • クマノミとイソギンチャク:イソギンチャクの毒針に守られながら暮らすクマノミは、近づいてくる外敵を追い払う役目を果たします。お互いの弱点を補い合う、海の代表的な共生の姿です。
  • 種子散布:サルや鳥が果実を食べると、その種子は糞とともに別の場所へ運ばれます。植物は新しい土地で芽を出し、動物は食べ物を得るという双方に利益のある関係です。

こうした例からもわかるように、自然界の共生は単純な「支え合い」にとどまりません。ときには植物が昆虫をだまして花粉を運ばせる場合もあり、さらに複数の生きものが絡み合う三者以上の複雑な関係が成立することもあります。その多様なつながりが、自然の世界をより豊かで奥深いものにしているのです。

山口さんのレンズがとらえたのは、このような自然界のドラマでした。写真を通じて私たちに伝えたかったのは、美しさだけでなく、「命と命が結びついてこそ成り立つ世界」への理解と驚きだったのです。

受賞と評価

2001年にはシジミチョウとアリの共生を描いた写真集『五麗蝶譜』で日本蝶類学会江崎賞を受賞。2021年には『万葉と令和をつなぐアキアカネ』で日本児童文学者協会賞を受賞するなど、その活動は学術面でも高く評価されました。

NHK番組との関わり

山口さんは『ダーウィンが来た!』で14本の番組を撮影。『ワイルドライフ』などでも自然の姿を捉え、日本のテレビを通して数多くの名シーンを届けました。今回の特集は、その映像を振り返りながら、山口さんが最後に伝えたかった自然へのメッセージを掘り下げます。

晩年と追悼

2022年12月に74歳で亡くなられましたが、2024年には山梨県北杜市で追悼写真展が開催されました。彼の作品は今も人々に「自然とどう関わるか」を問いかけ続けています。

放送の見どころ

今回の放送では、山口さんが撮影した「花と虫のつながり」の珠玉の映像が流れるとともに、日本で追いかけていたある昆虫を通じて、彼が残した最後のメッセージが紹介されます。番組を見ることで、自然界の奥深さや、生きもの同士が助け合って生きている事実に気づけるでしょう。

まとめ

山口進さんは、生涯をかけて「生きもののつながり」を伝えた写真家でした。学習ノートの表紙やテレビ番組を通して、子どもから大人まで多くの人に自然への敬意を届け続けました。今回の「ダーウィンが来た!」は、そんな彼の遺志を感じられる貴重な回です。

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