「つながり合って生きている!写真家山口進さんのメッセージ」
2025年8月18日に放送されたNHK総合「ダーウィンが来た!」は、昆虫植物写真家として知られ、2022年に亡くなった山口進さんの仕事とメッセージを振り返る特集でした。学習帳の表紙写真や世界各地のフィールドワークを通じて、生き物たちの「共生」や「つながり」を撮影してきた山口さん。今回の放送では、その代表的な挑戦や子どもたちへの思い、そして自然が見せる幻の光景が紹介されました。
世界最大級の花や昆虫の驚きの生態
山口さんが挑戦したのは、インドネシア・スマトラ島に咲くショクダイオオコンニャクの開花撮影です。高さ2.6メートル、直径1.5メートルにも広がる巨大な花が、約7時間かけて蕾を開く瞬間を世界で初めて全貌として捉えました。またブラジル・アマゾン川では憧れのオオオニバスに乗る体験を実現。インドネシア・ジャワ島ではハナカマキリの生態に迫り、獲物を引き寄せる化学物質を発していることを発見しました。
こうした観察から、山口さんは「生き物同士がつながり合って生きる」姿を捉え続けてきました。
花と昆虫の共生の不思議
番組では、山口さんが撮影してきた驚きの共生も紹介されました。メキシコに自生するバケツランは、匂いでハチを花の内部に誘導し、脱出時に花粉を背中につけて運ばせます。オーストラリアのハンマーオーキッドはメスのツチバチそっくりの姿をして、オスのハチに花粉を運ばせる仕組みを持っています。まるで仕組まれたように花と昆虫がつながり、互いに生き延びていることがわかります。
子どもたちに自然を伝える使命
山口さんは「ジャポニカ学習帳」の表紙や裏面コラムで多くの子どもたちに自然の魅力を伝えてきました。自身も幼少期から昆虫が大好きで、世界中を飛び回りながら児童向けの本を数多く出版。「子どもたちの好奇心の入り口を作りたい」という思いが活動の原点でした。学習帳の写真には、ただの美しさだけでなく「世界にはこんなに多様な自然と文化がある」と知ってほしいという願いが込められていたのです。
幻の光景「アキアカネの群舞」
番組の後半では、山口さんが追い求めた幻の風景も紹介されました。新潟県柏崎市でのアキアカネの大群です。山口さんは「生き物の循環や共生の象徴」としてアキアカネを描いた写真集を出版しており、その思いを引き継ぐ形でダーウィン撮影班が挑戦。撮影から3週間後、ついに数万匹のアキアカネが日差しを受けて舞う光景が出現し、雪が降るように輝く幻想的な映像が収められました。
山口進さんの遺したもの
山口さんの作品や言葉からは、「生き物たちはつながり合って生きている」というメッセージが一貫しています。ショクダイオオコンニャクの巨花から小さな昆虫、アキアカネの群舞に至るまで、すべては自然界の循環の中で支え合って存在しているということです。
子どもたちへの教育活動や本作りも含め、山口さんは自然と人間をつなぐ架け橋となり続けました。今回の特集は、彼が残した豊かな遺産を次世代へと伝える大切なきっかけになったといえます。
まとめ
今回のダーウィンが来た!は、昆虫植物写真家・山口進さんの足跡をたどり、その撮影に込められた思いや自然の神秘を紹介する内容でした。巨大な花や昆虫の知恵、アキアカネの大群舞など、自然界の不思議は人間の想像を超えるスケールと緻密さでつながっています。山口さんが伝えた「共生」のメッセージは、視聴者に自然と人間の関わりを改めて考えさせてくれるものでした。
番組を見て感じたこと
ジャポニカ学習帳の写真に、こんな深い思いが込められていたなんて驚きでした。山口進さんが語っていた『子どもの興味の入り口を作りたい』という言葉は、単なる写真以上の意味を持っていることを感じさせます。自然や生き物の魅力を通じて、未来の子どもたちに学びのきっかけを贈ろうとした姿勢に強く心を打たれました。
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