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NHK【ダーウィンが来た】無人カメラが捉えた!ドイツの動物たちのご近所ライフとは|2025年6月15日放送

ダーウィンが来た!

無人カメラがとらえた野生動物たちの暮らし in ドイツ

2025年6月15日放送の『ダーウィンが来た!』では、ドイツ・ラウジッツ地方を舞台に、無人カメラで撮影された野生動物たちの姿が紹介されました。石炭採掘跡地の再生によって生まれた新たな自然環境には、かつて姿を消した動物たちが戻り、命の営みが繰り広げられています。今回は、そんな再生された自然の中で暮らすオオカミやイノシシ、アカシカなどの動物たちの知られざる姿に迫りました。

採掘跡地に広がる豊かな自然環境

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舞台となったのは、旧東ドイツに位置するラウジッツ地方です。この地域ではかつて褐炭(かったん)という燃料の採掘が盛んに行われており、広大な土地が削られていました。しかし、30年ほど前からこの採掘跡地を活用しようという新たな動きが始まりました。環境保護を目的に、跡地を自然保護区や農地へと再生するプロジェクトが少しずつ進められてきたのです。

再生の第一歩は、巨大な採掘跡のくぼ地に水を入れて湿地をつくることでした。さらに木を植えて、森を再び育てる作業も同時に行われました。これにより、乾いた土地は徐々に命をはぐくむ環境へと変わっていきました。

・広さ数百ヘクタールにもなる窪地を人工的に水で満たし湿地帯に
・地域ごとに植林の種類を変え、森林の多様性を意識した設計
・人が立ち入らず変化を見守る「自然任せの再生」方針へと転換

このように、人工的な整備を施したあとはあえて人の手を加えず、自然の力にゆだねるスタイルが取られました。年月を重ねるごとに、湿地・草原・森林・水辺などがモザイク状に広がる独自の自然環境が形づくられていきます。その結果、周辺から多様な野生動物が次々と集まるようになったのです。

また、野生動物たちの暮らしを記録するために、150台もの赤外線センサー付きの自動撮影カメラが設置されました。これは動物が近くを通ったときに体温を感知し、自動で撮影を開始する仕組みです。このシステムによって、普段は人の目では見られないような動物たちの自然な姿や行動が記録されるようになりました。

・昼夜を問わず動物の動きに反応して自動で撮影
・熱を感知することで、夜行性動物の行動も詳細に記録
・カメラは森の奥や水辺など、生息域に応じて設置場所を変化

このような技術と環境の整備によって、ラウジッツはかつての工業地帯から生き物たちが生き生きと暮らす自然豊かな場所へと生まれ変わったのです。現在では、ドイツ国内でも貴重な自然再生モデル地域として注目されています。

オオカミとイノシシの命のリレー

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今回の映像では、ドイツの森に再び姿を見せたオオカミの姿がとらえられました。ドイツではかつてオオカミは絶滅したとされていましたが、ラウジッツの自然再生によりオオカミが自らの力で戻ってきたのです。彼らは家族単位の群れで行動し、役割を分担しながら暮らしています。

オオカミは狩りだけでなく、すでに死んでいる動物の肉を食べて命をつなぐこともあります。無人カメラは、オオカミの群れが死肉を囲んで食べる様子も記録しました。特に印象的だったのは、まだ小さな子どもたちが年上の兄弟に見守られながら少しずつ行動範囲を広げていく姿です。ある場面では、親や兄弟とともに鹿を襲う様子も映っており、命をつなぐための本能的な行動が自然なかたちで記録されていました。

・オオカミの子どもは群れの中で守られながら成長
・狩りの場面では、大人と連携して動きながら学ぶ
・食べ物を確保することが命のリズムの中心にある

一方で、森の中ではイノシシの家族の暮らしも描かれていました。イノシシのメスは巣の中で出産し、一度に4~5匹の子どもを産むのが一般的です。無人カメラには、出産後しばらくしてから親子で巣を出て移動する様子が映されていました。

また、注目すべきは整備されていないエリアに勇敢に進出するイノシシの姿です。木々が少なく、環境が整っていない荒れ地にも、イノシシはためらわずに足を踏み入れ、新たな住処を探していました。

・イノシシの母親は子どもを守るため、巣を移動しながら暮らす
食べ物と安全な場所を求めて大胆に行動する
・未整備の土地にも適応しようとする強い生命力

このように、オオカミとイノシシは異なる立場でありながら、命をつなぎ、生き抜くための行動を見せてくれました。森の中では、命が命を支えあうように、さまざまな生き物たちの営みが連なっています。オオカミの狩りやイノシシの子育ては、まさに命のリレーの一場面と言えるでしょう。

湿地の中で生まれる新たな命

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湿地には、命の誕生と育ちの場面が数多く記録されていました。まず注目されたのはアカシカのメスの行動です。出産が近づくと、彼女たちは群れを離れて静かなヨシ原へ向かいます。この行動には、天敵から身を守るために目立たない場所を選ぶという本能があると考えられます。

ヨシが生い茂る湿地では、かつてイノシシが使っていた古い巣を再利用して出産する姿も見られました。アカシカの母親は、生まれたばかりの子どもと一定期間を2頭きりで過ごし、子どもが立って歩けるようになると、ふたたび群れに戻っていきます。このような行動は、捕食者から子どもを守るための自然な工夫でもあります。

・ヨシ原の奥深くを選んで静かに出産
・古巣を賢く使い、手間を省く
生後間もない子を安全な場所で育てた後、再び群れと合流

この一連の流れは、複数の無人カメラがリレー形式で追跡するように記録しており、アカシカの親子がどのように行動しているのかを細かく観察することができました。

鳥たちの世界でも、不思議な子育ての方法が明らかになりました。その代表がカッコウの托卵(たくらん)行動です。今回記録されたのは、ニシオオヨシキリの巣の中に産みつけられたカッコウの卵でした。カッコウは自分で子育てをせず、他の鳥の巣に卵を産みつけ、その親鳥に育てさせることで知られています。巣の主であるニシオオヨシキリは、その卵が自分のものではないと気づかぬまま、カッコウのひなをせっせと育てている様子が映し出されていました。

・カッコウの卵はニシオオヨシキリの卵より少し大きめ
・ひながかえったあとは、他のヒナを押し出すこともある
子育てを他の種に委ねるという戦略が自然界には存在

さらに、水辺ではユーラシアカワウソのつがいの行動が記録されていました。彼らはすぐにペアになるわけではなく、約2週間ほどかけて距離を縮め、少しずつ信頼関係を築いていくのです。番組では、最初は離れて行動していた2頭が、だんだんと一緒に過ごす時間を増やしていく様子が映されました。

・最初は互いを見つめるだけで距離を保つ
・一緒に泳ぐ、同じ場所で休むなどの行動が見られる
野生動物にも感情のやりとりが存在することを示す貴重な映像

このように湿地という自然豊かな環境では、動物たちがそれぞれの方法で命をつなぎ、新たな世代を育んでいることが、無人カメラによって鮮明に記録されていました。動物たちの知恵や本能、そして繊細なやりとりの数々は、私たちに自然の奥深さを静かに教えてくれます。

キツネとアライグマ、静かなる攻防

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夏のラウジッツの森では、野生動物たちの静かな攻防がくり広げられていました。無人カメラに映ったのは、キツネがオオカミの獲物をこっそりくすねる様子です。キツネは、オオカミが食べ残した鹿の肉などに素早く近づき、あっという間に持ち去っていきます。しかし、そううまくはいきません。カメラはオオカミが戻ってきて、獲物を取り返す瞬間もとらえており、自然界における厳しい力関係を示していました。

・キツネは狩りよりも残飯あさりを得意とする opportunist(機会主義者)
・一瞬の隙を狙って動き出すが、オオカミの気配に即座に退散
・自然の中では、力の強い者が優先されるという現実

一方で、水辺ではさらに衝撃的な出来事が記録されました。コブハクチョウのヒナがアライグマに襲われる瞬間です。コブハクチョウは水辺で子育てを行いますが、アライグマは泳ぎも得意なうえ、夜間にも活発に行動するため、ひな鳥にとっては大きな脅威となります。ヒナの命が失われる様子には、思わず目を背けたくなるような厳しさがありました。

・アライグマは夜行性で、鳥の巣を狙って接近
・水辺に浮かぶ巣で育てられていたヒナも、隙を突かれて犠牲に
・自然界には「守る側」と「襲う側」が絶えず存在するという現実

それでも、命の営みは止まりません。こうした捕食と被食の関係がある一方で、新たにこの場所に住み始めた動物たちの姿も記録されていました。その中でも注目されたのが、ヨーロッパビーバーです。湿地帯に現れたビーバーは、木の枝を集めて巣を作り、水をせき止めてダムを築く活動を始めていました。

・ビーバーは水辺の環境を自ら作り変える生き物
・集めた木や泥で水流を調整し、巣を安全に保つ
・その働きから「森の建築家」とも呼ばれる存在

ビーバーの登場によって湿地の水の流れや形が変わり、それが他の動物や植物の住処にも影響を与えるようになります。つまり、1種類の動物がやってくることで、次の命が育つための環境が広がるというわけです。この連鎖が、自然をより豊かにしていく力となっているのです。

このように、森では奪い合いと創造が同時に進んでいます。キツネとオオカミ、アライグマと水鳥、ビーバーと湿地の草木――それぞれの行動が重なり合いながら、生命が生まれ、失われ、また次の命が宿る場所へと変化していく様子が、今回の映像からははっきりと伝わってきました。

命が命を呼び、自然が育まれていく

番組の終盤では、「生き物が生き物を呼ぶ」自然の営みが丁寧に描かれていました。ある種の動物が住み着くと、それを狙う捕食者も現れ、さらにその捕食者が作った巣を別の動物が利用する、という連鎖が生まれます。環境が整えば、やがて多様な生き物が共存する豊かな自然が育っていきます。

このように、かつては人間の手によって大きく変えられた土地も、再び野生の命を迎え入れる場所となっていました。無人カメラが映し出すのは、表舞台ではなかなか見えない生き物たちの暮らしの記録でした。

『ダーウィンが来た!』は、今回の放送を通じて、自然がもつ再生力と、そこに生きる命のつながりを静かに教えてくれました。今後も人と自然が共に生きるヒントを、こうした映像から学ぶことができそうです。

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