「“スキマで稼ぐ”が急拡大 働き方はどう変わる?」|2025年2月18日放送
近年、スマホ1つで申し込み、短時間で働ける「スポットワーク」が急速に普及しています。登録者数はのべ2100万人に達し、市場は拡大し続けています。若者から高齢者まで幅広い層が活用し、スマホで簡単に仕事を見つけ、短時間で報酬を得る新しい働き方が定着しつつあります。しかし、利便性の裏には求人と実際の仕事内容の不一致、評価システムによるプレッシャー、労災補償の問題など、新たな課題も浮上しています。今回の「クローズアップ現代」では、スポットワークの現状とその影響について深く掘り下げました。
スポットワークとは?急成長する新しい働き方
スポットワークは、スマホのアプリを使って短時間の仕事を探し、簡単に申し込むことができる働き方です。
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登録者数はのべ2100万人
- 市場は急成長し、若者や高齢者、主婦、副業希望者まで幅広い層が利用。
- 副業として活用する人も多く、本業との組み合わせで収入を増やす手段となっている。
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履歴書不要&面接なしで働ける
- 従来のアルバイトのような履歴書の提出や面接が不要。
- スマホで申し込むだけで、すぐに仕事が確定する仕組み。
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報酬は即日入金
- 働いたその日に報酬が振り込まれるケースが多く、すぐに収入を得られる。
- 例えば、3時間の皿洗いで約4000円の報酬が得られる事例もある。
このような手軽さから、多くの人が副業や短時間労働の選択肢としてスポットワークを取り入れています。
企業にとってのメリットと活用事例
スポットワークは、企業の人手不足の解決策としても注目されています。特に、繁忙期に短時間の人材確保が必要な業界では、導入が進んでいます。
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新潟県長岡市の温泉旅館での導入
- 人手不足に悩んでいた旅館が1年前にアプリを導入。
- 1年間でのべ2000人のスタッフをスポットワークで採用。
- 繁忙期に合わせて短時間の働き手を確保できるため、柔軟な雇用が可能になった。
- 優秀な人材には長期雇用のオファーを出し、数か月単位で契約を結ぶ仕組みを導入。
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東京・新橋の居酒屋での導入
- 客席が4フロアに分かれており、スタッフの負担が大きかった。
- スポットワークの評価機能で「働きにくい」との声が多数寄せられたため、業務を細かく分けてフロアごとに固定。
- これにより、働く人の負担が軽減され、店舗の評価が向上した。
このように、企業にとってもスポットワークは柔軟な人材確保の手段となっている一方、働く人からの評価が企業の運営にも影響を及ぼすため、職場環境の見直しが求められています。
スポットワークの落とし穴と注意点
スポットワークには利便性がある一方で、利用する際に注意すべき点もあります。
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求人内容と実際の仕事が違うケース
- ある女性は、求人内容と異なる業務を任され、評価を気にして抗議できなかった。
- 評価システムが働く人にプレッシャーを与える要因となっている。
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報復的な評価のリスク
- 仕事内容に不満があっても、低評価をつけられるのを恐れてクレームを言えないケースがある。
- 企業と働く人の関係が対等ではなく、一方的な評価になりやすい。
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労災補償の問題
- スポットワークを掛け持ちしていた男性が宅配の仕事中にバイク事故で負傷。
- 労災認定はされたが、契約期間が重なっていない仕事は補償対象外となり、収入が激減。
- スポットワークのみで生計を立てる人にとって、大きなリスクとなる。
これらの問題により、スポットワークを利用する際には事前にリスクを理解し、慎重に仕事を選ぶ必要があります。
自治体による支援と規制強化
新潟県長岡市では、自治体が主導してスポットワークの安全な活用を促進する取り組みを行っています。
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自治体が運営に関与
- 主婦や高齢者など7000人が登録し、自治体が労務管理の適正化をサポート。
- 求人情報の信頼性を確保するため、自治体がすべての企業と面談を実施。
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違法・有害求人の監視
- 闇バイトや悪質な求人を監視し、不正な労働環境を排除。
- 企業に対する監督体制を整え、安全に働ける環境づくりを進めている。
スポットワークを安全に利用するためには、自治体やアプリ運営者による監視とガイドラインの整備が不可欠です。
スポットワークとどう向き合うべきか
スポットワークを活用する際には、以下の点に注意することが重要です。
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仕事を選ぶ際のポイント
- 求人内容をよく確認し、信頼できる企業かどうかを見極める。
- 労働条件通知書をしっかり確認し、不明点があれば問い合わせる。
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評価システムの影響を理解する
- 高評価を得るために無理をしすぎないこと。
- 必要に応じて、労働組合や相談窓口を活用する。
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労災補償の仕組みを知る
- 労災認定を受けるための手続きや補償内容について事前に理解しておく。
- スポットワークの収入だけに依存せず、他の収入源も確保する。
まとめ
スポットワークは、働く人にとってはスキマ時間を有効活用できる便利な働き方であり、企業にとっては必要な時にピンポイントで人手を確保できる有益な仕組みです。しかし、求人内容の不一致、報復的な評価、労災補償の問題などのリスクもあります。自治体による支援や規制の整備が進められる中で、安全にスポットワークを活用し、より良い働き方を選択することが求められています。
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