記事内には、広告が含まれています。

【ダーウィンが来た!】ウスバキトンボの謎に迫る!地球を旅するトンボの驚きの生態と長距離移動の秘密|2月23日(日)放送回

ドキュメント

そうだったのか!トンボに新事実|2025年2月23日放送

トンボと聞くと、日本では秋の風物詩として馴染みがありますが、実は地球規模で移動を繰り返すトンボがいることをご存じでしょうか?今回の「ダーウィンが来た!」では、世界中を旅すると言われる「ウスバキトンボ」に注目しました。このトンボは南から日本に飛来し、列島を北上すると考えられていますが、どのようにして移動を続けているのか、その実態は長らく謎のままでした。そこで全国各地の研究者と協力し、大規模な追跡調査を実施。ウスバキトンボの驚くべき生態が明らかになりました。

ウスバキトンボはなぜ絶海の孤島・西之島にいるのか?

ウスバキトンボは、世界中の温暖な地域に生息するトンボですが、日本では夏から秋にかけて多く見られます。特に驚くべきことに、周囲100km以上に陸地がない絶海の孤島「西之島」でも発見されました。

・西之島は、海底火山の噴火によって生まれた新しい島
・周囲には植物がほとんどないが、ウスバキトンボが飛来
・日本には毎年南から渡ってきて、列島を北上すると考えられている

しかし、どうやってウスバキトンボは海を越えてやってくるのでしょうか?この疑問を解くために、全国各地の研究者たちが追跡調査を開始しました。

全国規模の大調査!トンボの移動を追え

ウスバキトンボの移動ルートを明らかにするため、全国の研究者が協力し、大規模なマーキング調査を実施しました。この調査では、捕獲したウスバキトンボの羽にマークを付けて再捕獲することで、どのくらいの距離を移動しているのかを追跡しました。

・3年間の調査で500匹以上が再捕獲された
・最長で40km移動した個体が確認された
・50km以上の長距離を移動した個体は1匹も見つからなかった

これまでの研究では、ウスバキトンボは長距離移動をしていると考えられていましたが、実際には50km以上の移動が確認されていませんでした。この結果から、新たな仮説が浮かび上がりました。

ウスバキトンボの秘密は「超高速繁殖」

調査の結果、ウスバキトンボは長距離を飛んでいるわけではなく、繁殖を繰り返しながら世代をつないでいくことで、あたかも移動しているように見えることが判明しました。

・寿命は長くても1か月半
・孵化までのスピードは5日と非常に早い
・1か月ほどで成虫になり、次の世代が生まれる

つまり、日本にたどり着いたウスバキトンボの親は、日本のどこかで産卵し、その子どもたちが北へと移動することで、ウスバキトンボが列島を移動しているように見えるのです。

どこでも繁殖できる驚異の適応力

ウスバキトンボがどんな場所で繁殖できるのかを調べるため、愛知県立岡崎高等学校では中庭に水を張った容器を設置し、産卵するかどうかの実験を行いました。

・水を張った容器にすぐにウスバキトンボが飛来し、産卵を開始
・駐車場の水たまりでも産卵することが確認された
・数日後、水槽の中にヤゴ(トンボの幼虫)が出現

ウスバキトンボは、川や池などの自然環境だけでなく、人工的に作られた水場にも産卵することができるため、環境の変化に非常に適応しやすいトンボであることが分かりました。

過酷な環境で生き延びるための「共食い戦略」

ウスバキトンボは短い期間で大量に産卵するため、同じ場所に多くの幼虫(ヤゴ)が密集することになります。しかし、餌が少ない環境ではすべてのヤゴが生き残るのは難しくなります。そのため、ウスバキトンボのヤゴは「共食い」をすることで、厳しい環境でも一部の個体が生き残る仕組みを持っています。

・卵を大量に産むため、同じ場所に仲間が多くいる
・食べ物が少ないときは共食いをして生存率を上げる
・結果的に、より強い個体が成長して繁殖を続ける

このように、過酷な環境でもウスバキトンボが生き延びられるのは、驚異的な適応能力によるものだと考えられます。

しかし、日本の冬は越えられない…

ウスバキトンボは繁殖力が非常に高い一方で、「寒さ」に極端に弱いという弱点があります。

・寒さに弱く、冬にはほぼ全滅してしまう
・冬が来ると、翌年また南の地域から新たな世代が飛来
・このサイクルを繰り返すことで、日本にウスバキトンボが毎年現れる

そのため、冬の厳しい日本では生き残ることができず、次の春には南の地域から新たな個体がやって来ることで、世代をつなぎながら繁殖を続けているのです。

まとめ

今回の調査で、ウスバキトンボは長距離を移動しているのではなく、超高速で繁殖しながら世代をつないでいることが明らかになりました。その繁殖力の高さや、どんな場所でも産卵できる適応力、さらには過酷な環境を生き抜くための共食い戦略など、驚くべき生態が解明されました。

しかし、日本の冬には耐えられず、毎年南から新たな世代が飛来することで生存を続けています。これによって、日本では夏から秋にかけてウスバキトンボが見られるようになっているのです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました