空前絶後!シーラカンス大調査|3月9日放送
2025年3月9日放送のNHK総合『ダーウィンが来た!』では、「空前絶後!シーラカンス大調査」が特集されました。シーラカンスは、4億年前からほとんど姿を変えずに生き続けている”生きた化石”と呼ばれる魚です。世界でもごく限られた場所でしか発見されておらず、目撃例も少ないため、その生態にはまだ多くの謎が残されています。
今回は、インドネシアのスラウェシ島で行われた大規模な調査に密着し、シーラカンスの生態を明らかにするべく最新技術を駆使して挑みました。さらに、これまで誰も見たことがないシーラカンスの狩りの瞬間を捉えるため、様々な手法を用いた試みが行われました。
最新鋭の設備でシーラカンスを大捜索
調査の舞台は、インドネシア・スラウェシ島。この島の沿岸には、アフリカと並んでシーラカンスが生息していることが知られています。今回の調査では、最新鋭の調査船「オーシャンエクスプローラー号」を使用し、長年シーラカンスを研究してきた岩田雅光さんと、南アフリカでシーラカンス研究を続けるケリー・シンク博士が参加しました。
通常、深海調査では無人探査機が使われますが、今回は有人潜水艇を使用し、研究者が直接シーラカンスを観察するという画期的な試みが行われました。潜水艇は、水深200m以上の暗闇の海へと進み、シーラカンスを探します。
- 水深200mを超えると、光がほとんど届かない暗闇の世界
- シーラカンスは光に反応して目を光らせる性質があるため、それを頼りに探す
- 3日目、岩田さんが海底の岩の隙間でついにシーラカンスを発見
- 体長は1mを超え、さらに周辺を調査すると複数のシーラカンスを確認
これまで、シーラカンスは単独で生活すると考えられていましたが、今回は複数の個体が一緒に暮らしている様子が観察されました。さらに、その中には「ビッグママ」と名付けられた大型の個体も確認されました。ビッグママがいる洞窟には8匹のシーラカンスが集まっており、なんと稚魚の姿も見られました。この発見は、シーラカンスが家族のように群れを作る可能性を示す、貴重な証拠となりました。
- ビッグママは群れの中心的存在である可能性がある
- 繁殖行動の一部と考えられる動きが観察された
- これまで知られていなかったシーラカンスの群れでの生活が明らかに
シーラカンスの狩りの謎に迫る
シーラカンスの生態の中でも、これまで誰も確認したことがないのが「狩りの瞬間」です。今回は、その謎を解明するため、いくつかの方法が試されました。
- 魚の匂いを流して反応を確認 → しかし、シーラカンスはほとんど動かず
- 無人探査機による長時間の定点観測 → 洞窟の前でシーラカンスが狩りをする様子を捉える狙い
洞窟の前に設置されたカメラには、小さな魚(ハダカイワシ)が光に引き寄せられる様子が映りました。すると、シーラカンスが素早く口を開けたのです。これは狩りの瞬間なのか?研究者たちはこの動きの意味を分析しました。
さらに、シーラカンスが持つ「電気受容器」の役割にも注目しました。サメと同様に微弱な電気を感知する能力を持つシーラカンスが、この器官を使って獲物を探している可能性があると考えられたのです。そこで、電気を発する装置を使って実験を行いました。
- 電気に反応するかどうかを確認するため、微弱な電流を発する装置を設置
- シーラカンスは明らかに反応し、動きを見せた
- 研究者たちは、シーラカンスの狩りにおいて電気受容器が重要な役割を果たしていると結論付けた
これにより、シーラカンスの狩りの方法について新たな手がかりを得ることができました。
2週間の大調査で得られた発見
今回の調査では、合計17匹のシーラカンスが確認されました。その中には、2009年に確認された個体と同じと考えられるものも含まれていました。これは、シーラカンスが同じ場所を拠点に長く生活している可能性を示唆する重要な発見です。
- シーラカンスは寿命が100年ほどと長く、同じ場所で長期間生息する可能性がある
- 群れで生活することが確認され、これまでの単独行動説が覆される可能性
- 狩りにおいて電気受容器を活用していることが実験により示唆された
研究者の岩田さんは、「シーラカンスの表情や目の動きを観察でき、進化の過程を感じることができた。研究を進めるほど、新たな疑問が生まれ、さらに深く知りたくなる。」と語りました。
おわりに
今回の調査では、シーラカンスの生態に関するいくつもの新しい発見がありました。
- シーラカンスは単独ではなく群れで生活している可能性がある
- 繁殖行動が観察され、稚魚が確認された
- 狩りには電気受容器を活用していることが示唆された
- 2009年に確認された個体と同じものが見つかり、長期間同じ場所に生息している可能性
4億年の時を超えて生き続けるシーラカンス。その謎はまだまだ解明されていません。今後の研究がどのような新しい発見をもたらすのか、さらなる調査が期待されます。
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