特別養子縁組で育んだ家族の絆とは
2025年4月11日（金）22:30〜23:00、NHK Eテレで放送される『超越ハピネス』では、「特別養子縁組 安心を重ねて築いた親子の絆」というテーマで、血のつながりを越えて築かれた家族の形に迫ります。司会は岩田剛典さん、ゲストにYOUさん、ヒコロヒーさんを迎え、特別養子縁組によって育まれた親子の深い絆と、育ての親・子ども双方の想いに焦点を当てます。今回取り上げられるのは、ファミリーホームを運営する石井佐智子さんと、その養子であり今は共に働く石井寿紀さん。
家族になることを選んだふたりの物語
石井佐智子さんは、寿紀さんの里親として出会いました。その後、自身が妊娠したことをきっかけに、「お腹の子と分け隔てなく育てたい」という強い気持ちから、特別養子縁組という道を選びました。養子縁組とは、戸籍上でも実の親子になる制度です。普通の里親制度とは異なり、法的にも「親」と「子」の関係になります。
その決断には、大きな覚悟と責任がともないます。血のつながりがないからこそ、深い信頼と愛情で結ばれた関係が求められます。佐智子さんは、寿紀さんを「長男」として迎え入れることに一切の迷いがなかったといいます。
育児の中では、当然ながら楽しいことだけでなく、悩みや壁もあったはずです。ですが、佐智子さんは変わらぬ愛情を注ぎ続け、寿紀さんもその愛情をしっかり受けとめて育ちました。
思春期に感じた葛藤と乗り越えた時間
寿紀さんは、思春期になると「周りと似ていない」と言われることに悩むようになります。「自分だけ顔が違う」「親と似ていない」という言葉は、時に強く心を傷つけます。家族として当たり前に過ごしていた毎日のなかで、ふとしたことで「違い」を突きつけられることもあるのです。
しかし、そんな葛藤の時期を乗り越えた先に、今の姿があります。自分の出自や過去に向き合いながら、それを否定せず、自分自身としての生き方を選んでいることが伝わってきます。
今、寿紀さんは佐智子さんと一緒に「ファミリーホーム」で暮らせない子どもたちを受け入れる活動をしています。かつて自分が受けた愛情を、今度は自分が別の子どもたちに届けているのです。この流れはとても自然で、美しいものだと感じられます。
「育てられないことは罪じゃない」という言葉の重み
番組紹介で印象的な言葉があります。それは、「生みの親が育てられないことは罪だとは思わない」という寿紀さんの言葉です。
この言葉には、たくさんの優しさと理解が込められています。生みの親がどんな事情であっても、育てられないことを「悪いこと」と決めつけるのではなく、その後に誰かが受け止め、育てることができれば、それも一つの愛の形なのだという考え方です。
特別養子縁組や里親制度には、世間にまだまだ誤解や偏見もあります。しかし、このような番組を通じて、実際の家族の姿や、そこにあるあたたかい日常が紹介されることはとても大切です。
●この放送で考えられるポイント
・特別養子縁組を選んだ背景
・思春期の心の揺れとそれを乗り越えた道のり
・家庭で暮らせない子どもたちを受け入れるファミリーホームの取り組み
・血のつながり以上に大切な、育てることの意味
・親子の役割と、それを社会でどう支えるかという視点
こうした視点から放送を見てみると、より多くのことが感じ取れるかもしれません。
番組を通じて広がる家族のかたち
この放送が目指しているのは、「家族とは何か？」という問いに、新しい答えを提示することだと思います。世の中には、いろいろな家族の形があります。血のつながりがあってもなくても、愛情をもって育てることが大切であり、そのことが子どもにとっての「安心」になります。
今、家庭で暮らせない子どもたちは日本全国にたくさんいます。その一方で、子どもを育てたいと思っている人たちも多く存在します。両者をつなぐ制度や支援が広がることが、社会全体のあたたかさにもつながっていきます。
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