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NHK【謎解き!ヒミツの至宝さん】江戸の革命児・蔦屋重三郎と超高精細CG浮世絵体験!|2025年4月29日

ドキュメント

江戸を変えた男・蔦屋重三郎の浮世絵革命!写楽・歌麿と歩んだ出版の道

2025年4月29日(火)午前10時05分からNHK総合で放送された【謎解き!ヒミツの至宝さん】は、江戸時代に浮世絵の黄金期をつくった名版元・蔦屋重三郎(つたや じゅうざぶろう)に迫る特別企画でした。
放送時間は46分。番組では、歌麿や写楽といった有名な絵師を世に送り出した蔦屋重三郎の仕事と、当時の浮世絵の制作背景について、最新の超高精細3DCG技術
を使って解き明かしました。

Perfumeの大本彩乃さん・西脇綾香さん・樫野有香さんが出演し、現代の視点から浮世絵を見つめ直しました。番組では、東京国立博物館所蔵の作品を細部まで映し出しながら、絵師・彫師・摺り師・版元といった制作に関わった人々の働き、そして蔦重が成し遂げた数々の挑戦が紹介されました。

この回では、とくに以下の3点の浮世絵に注目しました。

  • 喜多川歌麿「ポッピンを吹く女」

  • 東洲斎写楽「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」

  • 東洲斎写楽「市川蝦蔵の竹村定之進」
    いずれも、江戸庶民に愛された作品でありながら、構図・色使い・背景処理などに斬新な工夫が施されていることが、今回の番組であらためて分かりました。

江戸庶民に愛された浮世絵とその裏側

江戸時代、浮世絵は高価な美術品ではなく、庶民が気軽に楽しめる大衆文化のひとつでした。1枚あたりの価格は現代の感覚でいうと約400円ほど。人々の暮らしや流行、遊び心を映し出す存在として広く親しまれていたのです。

浮世絵の制作には多くの工程があり、それぞれに専門の職人がいました。

  • 絵師:絵を描く人。作品の発想と構図を生み出す中心的存在。

  • 彫師:絵師の原画をもとに、版木に細かく彫る技術職人。

  • 摺り師:版木に色を付けて紙に摺る最終工程を担う人。

  • 版元:すべての職人をまとめ、出版や販売を取り仕切る責任者。

中でも蔦屋重三郎は、絵師の発掘やテーマ設定、販売戦略までを総合的にプロデュースする存在でした。

「ポッピンを吹く女」斬新な構図で美人画を変えた歌麿と蔦重

番組ではまず、喜多川歌麿の代表作「ポッピンを吹く女」が取り上げられました。この作品は、女性がガラスのおもちゃ“ポッピン”を吹く姿を描いた美人画ですが、最大の特徴はその大胆な構図にあります。

  • 上半身を大きく切り取った構図で、顔の表情や目線、口元に視線が集中

  • 女性の“内面の感情”を感じさせる描写

  • 当時の美人画の常識だった“全身像”とは違う、思い切った表現

この構図はとても画期的で、「美人画=ポーズを取った外見の美しさ」という常識を打ち破りました。蔦屋重三郎はこの作品を世に出し、大ヒットさせたのです

さらに番組では、蔦重が喜多川歌麿をただの取引相手としてではなく、生活面の支援も行うほど強く信じていたというエピソードも紹介されました。

吉原生まれの蔦重、町人文化の最前線で生きる

蔦屋重三郎は江戸の吉原に生まれ、24歳で「一目千本」という本を出版し、出版業界に足を踏み入れました。
彼は、単に浮世絵を作るだけでなく、町人文化の流行や感覚をつかみながら、次々と新しい本を世に出しました。

  • 狂歌や風刺を取り入れた読み物のヒット

  • 絵入りで豪華な「絵本百千鳥」などの出版

  • 吉原という遊里の文化もテーマに取り入れた先見性

商売人でありながら、芸術と娯楽の間を自由に行き来する感性を持っていたことが、成功の鍵でした。

政治の風が変わる中、写楽との出会いで再起を図る

順風満帆だった蔦重にも試練が訪れます。江戸後期、老中に就任した松平定信が行った風紀取り締まりの影響で、蔦重は財産を没収される事態に陥りました。

その後、蔦重は一発逆転を狙い、無名の絵師・東洲斎写楽に28枚もの役者絵を描かせて市場に出すという大勝負に出ます。

  • 「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」では、演技中の“肌脱ぎ”の動きをダイナミックに描写

  • 歌舞伎の公演日に合わせて販売し、庶民の興味を引く戦略が大成功

  • 役者のしぐさ・表情・緊張感を大胆な構図で表現し、強い印象を与えた

写楽はその一作で瞬く間に注目を集め、蔦重の読みが的中したことが証明されたのです

雲母で彩られた「市川蝦蔵の竹村定之進」に込められた執念

もうひとつの名作が「市川蝦蔵の竹村定之進」です。この作品は、写楽の線の強弱を活かした繊細な描写に加えて、背景に“雲母(きら)”と呼ばれる鉱物の粉を使った彩色が特徴です。

  • 雲母を使うと、光の当たり方で紙がキラキラと輝く

  • 当時は高価で希少な素材だった

  • 無名の写楽のデビュー作にこれだけの素材を使うのは極めて異例

つまり、蔦重はこの作品に強い覚悟と投資を込めていたのです。それは、浮世絵を芸術としてだけでなく、娯楽の最先端として広めたいという情熱の現れでした。

まとめ|時代を動かした蔦屋重三郎の目と手腕

今回の【謎解き!ヒミツの至宝さん】では、江戸の出版文化に革命を起こした蔦屋重三郎の人生と仕事の本質が、浮世絵とともに鮮やかに描かれていました。
超高精細3DCGによって、絵の中の細かな線や紙の質感まで映し出され、まるでその時代にタイムスリップしたような体験ができました。

蔦屋重三郎が発掘した才能、支えた絵師、そして出版の企画力。彼の存在があったからこそ、浮世絵は世界中に知られる“JAPANESE ART”へと進化したといえるでしょう。

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