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【クローズアップ現代】トランプ関税で株価乱高下!新NISAと日本経済の行方を解説|2025年4月28日

クローズアップ現代

“トランプ関税ショック”で株価乱高下!新NISA・物価・賃金…暮らしへの影響を徹底検証

2025年4月28日に放送されたNHK『クローズアップ現代』では、「“トランプ関税”株価乱高下 暮らしへの影響は?」というテーマで、ドナルド・トランプ前大統領の関税政策が引き起こした世界経済への影響、そしてその波紋が私たちの資産や暮らしにどう及んでいるのかを詳しく取り上げました。出演者はキャスターの桑子真帆さんをはじめ、第一生命経済研究所の熊野英生さん、BNPパリバ証券の中空麻奈さんです。

トランプ発言で株価が大荒れ?前代未聞の“相互関税ショック”

番組の冒頭では、アメリカのドナルド・トランプ前大統領が発表した「相互関税」が世界の株式市場にもたらした大きな衝撃について詳しく取り上げられました。トランプ氏は、アメリカの貿易赤字を減らすという目的のもと、180を超える国や地域に対して一斉に高い関税を課すと発表。この発表直後、アメリカ国内はもちろん、世界中の投資家たちに不安が広がり、株価は急落します。

・ダウ平均株価は発表の翌日に1600ドルを超える急落を記録
・「世界経済が後退するのでは」という懸念が一気に広がった
・企業の業績悪化が連想され、投資家の間で売り注文が殺到

この事態を受けて、数日後にはトランプ氏が「相互関税を一時停止する」と突如表明。すると今度は市場の空気が一転し、あれほどの不安が一気にやわらぎ、株価は3000ドル近く急騰。この上げ幅は、ダウ平均の過去最大の上昇記録となりました。

しかしこの流れは長く続きませんでした。トランプ氏は今度、アメリカの金融政策を担うFRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長が利下げに慎重な姿勢を見せたことに対し、自身のSNSで批判。これに反応した市場はまたもや混乱し、再び株価は下落することになります。

・パウエル議長の「慎重な姿勢」にトランプ氏が反発
・SNSでの批判が発端となり、ダウが再び大幅下落
・金融政策の独立性が揺らぐことへの懸念も浮上

ところが、その翌日には今度は自身に浮上した「パウエル議長解任説」をトランプ氏が否定。それを受けて投資家の不安が再びおさまり、株価は上昇。つまり、短い期間の中で、トランプ氏の発言やSNS投稿ひとつで株式市場が大きく揺れ動いたのです。

このような一連の流れに対し、経済の専門家である熊野英生氏は「一人の人物によって株価がこれほどまでに乱高下するというのは極めて異例」と分析。過去には1971年のニクソンショックや、1927年の昭和金融恐慌に匹敵するほどのインパクトがあると指摘しました。とくに、個人投資家や年金資産を運用する人々にとって、こうした変動は見過ごせないリスクであり、今後も慎重な対応が求められています。

短期間のうちに、

・関税の発表
・一時停止の表明
・中央銀行トップへの批判
・解任説の否定

といった一連の出来事が繰り返され、市場はジェットコースターのような展開に巻き込まれました。世界経済の動きが「一人の発言」でここまで翻弄された事例はまれであり、今後の政策発表にも注意が必要です。

個人資産への影響も深刻!新NISAの運用者から不安の声

番組では、トランプ関税ショックによって個人資産にも影響が及んでいる現状が紹介されました。とくに新NISAを利用して資産運用をしている人たちにとって、今回のような急激な株価の変動は大きな不安要素になっています。実際に登場した60代の男性投資家は、老後資金のために毎月5000円ずつ積み立て、これまでに100万円分の投資信託を購入して運用していました。当初は順調に資産が増え、「これで安心できる」と感じていたといいます。

しかし、トランプ前大統領の相互関税発表をきっかけに状況は一変しました。

・トランプ発言直後、保有する投資信託の評価額が一時マイナスに転落
・資産が目減りしたことで、将来への安心感が大きく揺らいだ
・その後、持ち直してマイナス4万円程度まで回復したものの、再び下がるのではという不安がぬぐえない

このような現実を目の当たりにして、男性は「安心できない」と本音を漏らしていました。特に積立型の運用をしている初心者にとって、こうした相場の乱高下は大きな精神的負担となることがよくわかります。

中空麻奈氏は、こうした不安に対して「積立NISAを続けている人は短期的な値動きに振り回されず、長期目線を持ってほしい」と呼びかけました。積立投資の本来の目的は、短期の上下ではなく、10年、20年といった長い時間をかけて資産を育てることにあります。だからこそ、一時的な下落を恐れてやめるのではなく、続けることの大切さが強調されました。

さらに、新NISAの制度改正によって非課税枠が大きく拡大したことも番組内で紹介されました。

・新NISAの口座数は全国で2500万を突破
・累計の投資額はなんと56兆円以上に達成
・これだけ多くの人が新NISAを利用しているため、影響は社会全体に広がっている

つまり、もはや新NISAは一部の投資家だけの話ではなく、多くの家庭に直結する重要な制度になっているということです。今回のトランプ関税ショックを機に、自分自身の資産形成についても改めて考え直す良い機会になると番組ではまとめられていました。

今回の教訓は、「短期の不安に負けず、目先の損益だけで判断しないことが大切」ということです。今後も市場はさまざまな要因で動く可能性がありますが、ブレない投資スタンスを持つことが、将来の安心に直結すると強調されていました。

物価の見通しは?上がるのか、それとも下がるのか

番組では、「トランプ関税」が日本の物価にどう影響するのかという視点にも注目が集まりました。特に日本は、食品や日用品、エネルギーなど多くを輸入に頼っているため、関税の変更はそのまま物価に直結しやすい国でもあります。中空麻奈氏は、「輸入品が多い日本では、関税の影響で物価が上がる可能性がある」と話し、その仕組みをわかりやすく説明しました。

実際の流れとしては以下のような仕組みです。

・アメリカ製品に高い関税がかかると、流通コストが上昇
・その結果、日本に届く商品価格にも転嫁されて小売価格が上がる
・さらに、中間に入る国や企業が多いほど複雑な関税構造になり、コストが増幅される
・これが家庭で買う輸入食品や電化製品の価格にも影響

このように、日本の消費者が直接そのコストを負担する形になるため、家計への圧迫が避けられない可能性があるのです。特に円安の状態で輸入コストが高騰した場合は、値上げの幅も大きくなりやすいです。

ただし、逆に物価が下がる可能性もゼロではないと番組では紹介されました。そのカギとなるのが「為替の動き」です。中空氏は、「円高が進めば、ドル建ての輸入コストが減るため、製品価格が下がる可能性もある」と説明しました。

・円高が進行すると、ドルで買う輸入品が安く買える
・これにより、日本の企業が調達するコストが下がり、最終的な販売価格が下がることもある
・特にエネルギー関連や食料品など、価格の変動が激しい分野でその影響が出やすい

こうした点から、物価の見通しには「上がる要因」と「下がる要因」が混在しており、一概にどちらかだけとは言えない複雑な状況であることが強調されました。

今後注目されるのは以下の2点です。

為替相場(円高か円安か)
各国の関税対応(相互課税がどうなるか)

日本の物価は、単に国内の事情だけでなく、国際情勢と深く結びついて動くことが、今回のテーマを通じて浮き彫りになりました。家庭の買い物ひとつにも影響が及ぶ可能性があるため、今後の動きにも十分な注意が必要だと番組は締めくくっていました。

企業業績や景気、雇用・賃金にも波及

番組後半では、トランプ関税の影響が実際に企業活動や景気全体にどう広がっているのかが取り上げられました。まず紹介されたのは、建設機械大手の日立建機のケースです。日立建機は、原材料費の高騰や海外販売の減少を背景に、今年度の営業利益が最大300億円減少する可能性があると公表しました。このように、企業の実績に直接影響を与える動きが現実に起こっているのです。

・原材料のコスト増加
・海外の需要縮小
・関税による価格競争の激化

これらの要素が重なったことで、企業が収益の見通しを立てにくくなっているといいます。他にも、キヤノンやファナック、旭鉄工などの大手企業も同様に、明確な業績予想の公表を控える動きを見せています。これは、世界経済の先行き不透明感が企業の判断を鈍らせている証拠でもあります。

特に注目されているのは、来月に発表される大手自動車メーカー各社の決算です。為替の影響、原材料コスト、輸出入のバランスなどが複雑に絡み合い、企業経営のかじ取りが難しくなっている状況です。製造業を中心に、「とにかく今は様子を見たい」という空気が業界全体に広がっている様子が番組でも伝えられました。

一方、中小企業の現場にも影響は及んでいます。たとえば、

・仕入れ先の価格転嫁が難しくなり、利益率が圧迫される
・海外との取引条件が不安定化し、売上の見込みが立てにくい
・顧客企業の業績不振により、注文数が減少

といった現象が実際に起きていることが紹介されました。取引先からのキャンセルが相次いでいたり、資材費の変動で請負価格が合わず利益が出ない案件が増えているといった声も現場から上がっています。

また、こうした不確実な状況により、採用活動を中止または延期する企業が出始めているという事実にも番組は触れました。これにより、若者の就職機会が減るだけでなく、雇用全体が停滞し、個人消費が落ち込むことで景気全体を冷やす悪循環に陥る可能性があります。

このような“様子見”の姿勢が拡大すると、2008年のリーマンショックのときのように、デフレと長期停滞の深刻な影響が再発しかねないと専門家は警鐘を鳴らします。熊野英生氏も、「今回こそは同じ轍を踏まないためにも、政府と企業が迅速に動くことが重要」と指摘しました。

つまり、トランプ関税の余波は単に貿易だけでなく、企業の経営判断や雇用の現場、賃金の将来性までも揺るがす重大な要素であり、今こそ積極的な政策対応と冷静な企業戦略が求められているのです。

まとめ:一人ひとりができる備えと心構え

今回の『クローズアップ現代』は、“トランプ関税ショック”を起点に、株価・資産・物価・企業活動・景気・賃金と、幅広い視点から日本社会への影響をわかりやすく伝えてくれました。

投資をしている人は長期目線を持つこと家計を守るためには情報を冷静に見極めることが大切であるとあらためて感じさせられた放送内容でした。

今後も、経済情勢の変化に過敏に反応するのではなく、自分の生活スタイルにあった判断軸を持ち続けることが大切です。

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