NHK【火星特番】JAXA×山崎直子が語る火星の謎と未来｜2025年5月5日放送

大切なことは「火星」が教えてくれた

大切なことは「火星」が教えてくれた

2025年5月5日（月・祝）の午前10時5分からNHK総合で放送予定の特集番組『大切なことは「火星」が教えてくれた』は、人類と火星との壮大な歴史と未来を見つめ直す科学ドキュメンタリーです。出演はナレーターの神尾晋一郎さん、JAXA宇宙科学研究所の臼井寛裕教授、そして元宇宙飛行士の山崎直子さん。この45分間の番組では、火星が私たち人類の考え方や技術に与えてきた影響と、これからの火星との関わり方について幅広く紹介される予定です。
まだ放送前のため、以下では公開されている内容をもとに、番組の見どころや背景について詳しくご紹介します。

火星が人類の宇宙観を揺るがせてきた歴史

火星は、古代から現在に至るまで、人類の「宇宙の見方」を大きく変えてきた特別な存在です。古代ギリシャ時代にはすでに知られており、夜空に赤く光る姿は多くの人々の興味を引きました。火星は不規則な動きをするため、当時の天文学者たちはその動きの説明に苦労していました。その研究の過程で、「天動説」から「地動説」への大きな転換が起こるきっかけとなりました。これにより、地球が宇宙の中心ではなく、太陽を中心に惑星が回っているという考え方が広がることになります。

また、近代に入ると、火星の表面に「運河」があるとする説が広まりました。この説は大きな話題となり、多くの科学者や市民が火星には知的生命体が存在しているのではないかと想像するようになりました。この出来事は、人類が「地球の外に生命がいるかもしれない」と意識し始めた重要なきっかけであり、その後の宇宙探査や科学的議論の方向性にも大きな影響を与えました。

古代ギリシャですでに知られていた火星
火星の動きが「天動説」から「地動説」への転換点に
近代では「火星運河」説から地球外生命の可能性を意識
火星人という概念が広まり、空想科学やSF文化にも影響

このように、火星は科学だけでなく、文化や思想にまで深く影響してきた存在なのです。

現代の火星探査と技術革新の最前線

現在、世界中の宇宙機関が火星探査に力を入れています。JAXA、NASA、ESA、中国のCNSAなどが中心となって、無人探査機を送り、火星の環境・地形・大気のデータを収集しています。中でも注目されているのは、NASAの探査機「パーサヴィアランス」と中国の「天問1号」です。これらの探査機は、火星の岩石や土壌を分析し、過去に水があった証拠や生命の痕跡を探す重要なミッションを担っています。

さらに、火星の極地や地下には氷の層が存在していることが分かっており、将来的に火星での生活に必要な「水の確保」が可能になるかもしれないと考えられています。これは、火星における人類の居住可能性を大きく左右する重要な要素です。

探査機の高性能化によって、火星の詳細な地質データが収集可能に
地下の氷や水の存在が、将来の居住地設計に直結
火星隕石の研究から、過去に液体の水が流れていた証拠も
火星大気から酸素を生成する実験なども進行中

火星の環境は、極寒、強い放射線、大気が薄いなどの非常に厳しい条件がそろっています。こうした環境に適応するために、さまざまな技術が開発されています。宇宙船の長期航行技術、火星上での住居の建設、現地でのエネルギー供給方法など、地球とはまったく異なる環境下でのサバイバルが求められるのです。

火星が教えてくれる人類の未来

火星は、単なる天文学の対象ではありません。今やそれは、人類がどこまで新しい環境に適応できるか、どのように共存できるかを試される舞台でもあります。火星での生活を実現するためには、地球での生活では当たり前に存在する資源や環境条件が一切期待できないため、新たな倫理や価値観のもとでの暮らし方を考える必要があります。

この番組では、火星がもたらしてきた歴史的・科学的な転換点だけでなく、これからの社会や文明のあり方にまで視野を広げた視点が紹介される予定です。
例えば、以下のようなテーマにも触れられると考えられます。