あなたの家にも迫る大雨災害 被災した人に聞いた今やっておくべきこと|2025年7月6日放送
ここ数年、東北地方では大雨による災害が相次いでいます。秋田県では2023年7月に7000棟以上が浸水し、2024年7月には山形県で被害額が1000億円以上にものぼりました。今回の「東北ココから」では、実際に被災した人の声を通して、私たちが今やるべき大雨への備えについて紹介されました。
被災者が語る「どう命を守るか?」
2024年に豪雨の被害を受けた山形県大沢地区。そこで自宅が被災した遠田さんが番組に登場し、当時の状況を話してくれました。大沢地区では、短時間の大雨によって川が氾濫し、家々が水につかりました。遠田さんは「まさか自分の家が被害にあうなんて思っていなかった」と振り返ります。
この場面では、静岡大学防災総合センターの牛山素行教授が土石流の危険性について詳しく解説しました。土石流は一気に大量の土砂や木が流れてくるため、逃げ遅れると命にかかわるそうです。
わが家の危険を知ることが第一歩
牛山教授は「まずは、自分が住んでいる地域でどんな災害が起こる可能性があるかを知ることが大切」と話していました。そのために役立つのがハザードマップ ポータルサイトです。このサイトでは、日本全国の土砂災害や浸水の危険エリアを地図で確認することができます。
しかし、知っているだけでは不十分な場合もあります。
ハザードマップを見ても気づけなかった人たち
2023年、秋田市の楢山地区も大雨で大きな被害を受けました。楢山地区では約1000棟が浸水したそうです。この地区に住む鈴木寿さんは、被災後「ハザードマップは見たことがなかった」と語りました。
また、事前にハザードマップを確認していた鈴木さん夫妻も「浸水するかもしれないと思っていたけど、まさかこんなにひどくなるとは想像していなかった」と言います。実は、楢山地区はハザードマップ上でほぼ全域が浸水の恐れありとされていたのです。
家屋倒壊等氾濫想定区域も要チェック
洪水の危険は、浸水だけではありません。「家屋倒壊等氾濫想定区域」では、洪水で家ごと流されてしまう可能性もあります。これらの情報もハザードマップで確認できるため、普段からしっかり見ておくことが重要です。
牛山教授も「大雨が降ってからではなく、普段からハザードマップを見ておくべきです」と呼びかけていました。
大雨のときは「キキクル」で最新情報をチェック
大雨のとき、危険度をリアルタイムで確認できるのが**気象庁の「キキクル」**です。このサービスでは、土砂災害や浸水の危険度が地図上で色分けされて表示され、状況がひと目で分かります。
実際に被災した人のアンケートでは「もっと早く危険度を確認していればよかった」という声が多く寄せられていました。
保険の見直しが大きな差を生む
秋田・楢山地区の鈴木さん夫妻は、被災後の自宅リフォームに約900万円かかりました。しかし、火災保険に入ってはいたものの、水災補償をつけていなかったため、保険金は費用の3分の1にも満たなかったといいます。
一方で、水災補償をつけていた実家は、修理費用の全額が保険金でカバーされました。
番組では、東北地方での水災補償の加入状況も紹介され、年々加入者の割合が減っているというデータが示されました。
【水災補償の加入率(東北地方)】
地域 | 水災補償付き加入率 |
---|---|
宮城県 | 年々減少傾向 |
山形県 | 減少傾向 |
福島県 | 減少傾向 |
秋田県 | 減少傾向 |
岩手県 | 減少傾向 |
青森県 | 減少傾向 |
町を離れるか残るか 被災後の決断
大雨で大きな被害を受けた地域では、生活を続けるか、町を離れるかという難しい決断を迫られます。
秋田・楢山地区では、浸水被害後、110世帯のうち20世帯が町を離れたそうです。また、山形・大沢地区では、6割以上の世帯が転居しました。
川の改修工事が終わるまでには数年かかることもあり、住民の不安は続いています。
牛山教授は「完全に被害を避けるには、危険な場所に住まないことが一番安全です」と話していました。
地域の絆を守る「お茶っこ会」
それでも、地域に残る人たちは、支え合いを大切にしています。秋田・楢山地区では「お茶っこ会」が定期的に行われています。住民同士が集まり、お茶を飲みながら情報交換をしたり、心配ごとを話したりする場です。
こうした小さなつながりが、災害後の不安や孤独を少しでも和らげてくれます。
まとめ 大雨シーズンに備えて今やるべきこと
東北では本格的な大雨シーズンが始まっています。今、できることをしっかり準備することが大切です。
・ハザードマップ ポータルサイトで地域の危険を確認する
・キキクルで最新の危険度をチェックする
・火災保険の水災補償を確認・見直す
・場合によっては住む場所の選択肢も考える
・地域の人とのつながりを大切にする
実際に被災した方々の経験から学び、いざというとき命を守れるようにしておきましょう。
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