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NHK【時をかけるテレビ】斬られ役・福本清三さん「5万回斬られた男」の誇りとは|2025年6月27日放送

時をかけるテレビ

日本一の斬られ役 福本清三さんに迫る

2025年6月27日に放送された「時をかけるテレビ」では、2001年にNHKで放送された「にんげんドキュメント 斬られ役~大部屋俳優 58歳の心意気~」が紹介されました。斬られ役として知られる俳優・福本清三さんに密着した内容で、映画監督の安田淳一さんがスタジオゲストとして出演しました。

福本さんは日本一の斬られ役と呼ばれ、長年時代劇で主役を引き立てる役を演じてきました。今回の放送では、福本さんが58歳のときに挑んだ東映京都撮影所での映画撮影の様子が映し出されました。

斬られ役一筋、福本清三さんの誇り高き歩み

福本さんは昭和34年に俳優デビューし、それ以来、斬られ役を専門に演じてきました。かつての東映京都撮影所には約500人の大部屋俳優が在籍していましたが、映画産業の衰退によりその数は激減し、現在では約30人ほどしか残っていません。その中で、福本さんは撮影所で最も古株の俳優として活躍を続け、日本一の斬られ役として知られるようになりました。

今回の番組では、福本さんが58歳のときに挑戦した映画「RED SHADOW 赤影」の撮影現場が詳しく紹介されました。これは東映が10年ぶりに制作した時代劇映画で、福本さんは剣の達人という設定の悪役を演じることになりました。長年、無名の斬られ役を務めてきた福本さんにとって、これは大きな挑戦でした。

名もなき役から19年ぶりの大役へ

福本さんは日本海沿いの小さな漁師町で生まれ育ち、中学卒業後、親戚のすすめで大部屋俳優として俳優の道に進みました。当時は映画を見る機会も少なく、人前で話すのが苦手な性格だったため、スター俳優になることは目指しませんでしたが、立ち回りには強い自信を持ち、迷いなく斬られ役としての道を歩んできました

「RED SHADOW 赤影」での配役は、19年ぶりに名前付きの役で、陣内孝則さん演じる悪役の腹心という重要なポジションです。これまでの経験と技術が評価され、福本さんは特別な思いでこの作品に臨みました。

監督との意見の違いと新しい時代劇づくり

この映画の監督は、CMやミュージックビデオの制作で知られる中野裕之さんです。監督は「正義の忍者は悪役を斬らない」という新しい演出方針を取り入れ、福本さんの演じる悪役も生きたまま捕らえられる展開に変更されました。

長年、斬られ役を専門に演じてきた福本さんや殺陣師たちは、この方針に強い戸惑いを感じます。しかし、福本さんは悪役らしい憎々しい表情や、派手な倒れ方を工夫し、新しい演技に挑みました。体を大きくひねりながら倒れる姿は、これまでにない表現で観客の注目を集めました。

大部屋俳優の厳しい現実と仲間の旅立ち

大部屋俳優の生活は決して楽ではなく、専属契約料は月20万円ほど。仕事が入れば日当がつきますが、安定した生活とは言えません。そのため、映画とテレビの仕事を掛け持ちするのが当たり前になっています。

今回の映画出演でヒゲを伸ばす必要があったため、福本さんはテレビの仕事を断らざるを得ませんでしたが、それでも今作にかける思いの強さから続ける決断をしました。

また、同僚の松田吉博さんが役者を辞めてラーメンチェーン店に転職することになり、送別会が開かれました。福本さんは「役者を辞めても大部屋俳優の誇りを忘れずに」と声をかけ、仲間を温かく見送りました。

撮影の終わりと通行人役への戻り

映画の撮影が終わった後、福本さんは再び**テレビ朝日の時代劇「十手人」**の現場に戻りました。この日は名前もセリフもない通行人役でしたが、福本さんはどんな小さな役にも全力で挑む姿勢を貫いていました。

スタジオトークでは、福本さんが2003年公開の映画「ラストサムライ」にも出演していたことが紹介されました。このハリウッド映画で主演のトム・クルーズから「生き方も含めてサムライらしい人」として推薦されたエピソードは、福本さんの生き様を象徴する出来事です。

また、映画「侍タイムスリッパー」の監督を務めた安田淳一さんは、福本さんとの交流が映画制作のきっかけになったことを明かしました。福本さんから聞いた時代劇の裏話や、役者としての姿勢が作品に活かされていると話しました。

次世代に受け継がれる誇りと時代劇文化の未来

東映京都撮影所には、殺陣の専門集団「剣会」があり、現在17人の会員のうち、5人は30代の若手です。多くのメンバーが福本さんに憧れてこの道を志しました。

安田監督は、福本さんについて「毎日コツコツ仕事をすることが誇りにつながっていた」と語り、その考え方は俳優だけでなく、一般の仕事をする人たちにも共通すると話しました。そして、「そういう人たちが日本を支えている」と、名もなき人々への感謝の思いを伝えました。

時代劇の世界も少しずつ変わりつつあります。安田監督は「剣戟の格好良さだけでなく、侍文化や日本らしさを次世代へ伝えたい」と話し、ハリウッドでエキストラをAIで代用する動きに対しては「役者の熱意や魂はAIには再現できない」と強調しました。

番組を通して、大部屋俳優の誇り、時代劇の魅力、そして次の世代への技術や文化の継承がしっかりと伝えられた内容でした。

【関連情報】
https://www.nhk.jp/p/ts/Q5W4YWRVG9/episode/te/JM4XVPGQ3V/
https://toyokeizai.net/articles/-/610404
https://fujinkoron.jp/articles/-/7036
https://lp.p.pia.jp/event/movie/taizaimovie
https://note.com/ambitiousfilm/n/nbc5c9066d4f0

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