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NHK【時をかけるテレビ】池上彰が解説!リーマン予想と素数の謎とは|2025年7月4日放送

時をかけるテレビ

池上彰 魔性の難問 リーマン予想・天才たちの闘い|2025年7月4日放送内容まとめ

2025年7月4日にNHK総合で放送された「時をかけるテレビ」では、池上彰さんと科学評論家の竹内薫さんが出演し、2009年に放送された「NHKスペシャル 魔性の難問~リーマン予想・天才たちの闘い~」の内容を振り返りました。この番組は、数学界最大の難問といわれる「リーマン予想」と、それに挑む天才たちのドラマをわかりやすく紹介する特別企画です。

リーマン予想とは何か?

リーマン予想は、ドイツの数学者ベルンハルト・リーマンが今から約150年以上前、1860年代に発表した数学の大きな謎です。リーマンは、「素数の並び方」にはまだ誰も知らない法則があるのではないかと考え、そのヒントを数式で表しました。これがリーマン予想です。

素数とは、1と自分自身以外では割り切れない数のことです。例えば、2、3、5、7、11、13、17、19、23、29…と続く数のことです。これらはどこか不規則に見えますが、実は自然界やコンピューターの仕組みにも深く関わっている、とても大切な数です。

リーマンは、この素数の並び方を「ゼータ関数」という特別な数式に当てはめることで、見た目にはバラバラに見える素数の並びの中に、何かしらの規則性や意味があるのではないかと考えました。

リーマン予想のポイントは以下のとおりです。

素数の並び方をゼータ関数に結びつけることで、数学的に新しい視点を持ち込んだ
・ゼータ関数を研究することで、素数の分布がどのように広がっているのかが分かる可能性がある
・リーマンは、ゼータ関数の「ゼロ点」(ある条件で数式が0になるポイント)がすべて特定の場所に並ぶのではないかと予想した
・これが正しければ、素数の謎や規則性がもっとはっきり解き明かせると言われている

このリーマン予想は、証明されていない世界最大の数学の難問の一つとして、現在も多くの天才数学者たちが挑戦し続けています。

また、素数は単なる数学の話だけではありません。インターネットの暗号技術やクレジットカードの安全性にも素数の性質が利用されています。そのため、リーマン予想が証明されたり、新しい事実がわかれば、社会にも大きな影響を与えるかもしれないのです。

このように、リーマン予想は「数学の世界の謎」だけでなく、「私たちの暮らしの安全や未来」にもつながる重要なテーマとなっています。

数学の歴史に名を残す偉人たち

番組の中では、まずスイス出身の天才数学者レオンハルト・オイラーが紹介されました。オイラーは1700年代に活躍し、数学のさまざまな分野に大きな影響を与えた人物です。オイラーは、素数と宇宙の法則が関係しているのではないかと考え、そこから素数と円周率のつながりを世界で初めて証明しました。この発見は、今でも多くの数学者たちが研究するきっかけとなっています。

続いて登場したのは、リーマン予想を発表したドイツの数学者ベルンハルト・リーマンです。リーマンは、素数の不規則な並びをただの偶然とは思わず、「ゼータ関数」という特別な数式を使い、その並びに隠れた規則性があることを数学的に示そうとしました。これがリーマン予想の始まりであり、数学界で最も難しい謎のひとつとされる理由です。リーマンの発表以来、世界中の数学者たちがこの予想の証明に挑み続けています。

その中でも特に知られているのが、イギリスの数学者ゴッドフレイ・ハーディとジョン・リトルウッドです。2人は数十年にわたり共同研究を続け、リーマン予想を含めた多くの論文を発表しました。ですが、リーマン予想に関しては証明に至らず、最終的には「この予想は間違っているのではないか」と疑うようになったといわれています。それほど、この難問は数学者たちを苦しめてきたのです。

さらに、アメリカの天才数学者ジョン・ナッシュもリーマン予想に挑戦しました。ナッシュは1950年代にその才能が認められ、後に彼の半生は映画『ビューティフル・マインド』として世界中で知られることになります。しかし、リーマン予想という難問に取り組むうちに、ナッシュは精神を病み、統合失調症を患ってしまいました。その出来事から、リーマン予想は「数学者の人生を狂わせる魔性の難問」とも呼ばれるようになったのです。

このように、リーマン予想は歴史に名を残す数々の偉人たちを引きつけ、同時に多くの苦難と挑戦の物語を生んできた、今なお解き明かされていない謎なのです。

素数と現代社会の関係

素数の研究は、ただの数学の問題にとどまりません。実は私たちの身近な生活の中でも、素数はとても重要な役割を果たしています。特に、インターネットでの通信やクレジットカードの決済、国家の機密情報のやりとりといった、大切な場面で素数が使われています。

今の社会では、情報のやり取りがほとんどインターネットを通して行われています。そのとき、情報が他人に見られたり盗まれたりしないようにするために、「暗号」という仕組みが使われます。その暗号の中でも、素数を使った暗号はとても強力だと知られています。

具体的には、とても大きな素数を組み合わせて作られる「公開鍵暗号」という方法が、インターネットの安全を守っています。これにより、例えば以下のような場面で素数が役立っています。

・クレジットカードの情報を安全に送るとき
・オンラインショッピングでパスワードを入力するとき
・国家や企業が大切なデータをやり取りするとき

こうした技術は、素数の性質を利用することで、第三者が簡単には解読できない仕組みを作っています。しかし、もしもリーマン予想が証明され、素数の並び方の法則が完全に解き明かされた場合、その安全な暗号システムも破られる可能性があります。

つまり、リーマン予想の証明は、単に数学の歴史的な成果になるだけでなく、社会全体の安全性や暮らし方を大きく左右する重要な出来事になるかもしれないのです。このように、素数は私たちの日常生活と密接に関わっており、決して数学者だけの話ではありません。

ルイ・ド・ブランジュ博士の挑戦

フランスに住む数学者、ルイ・ド・ブランジュ博士は77歳という高齢になっても、数学界最大の難問「リーマン予想」の証明に挑み続けています。博士は、かつて60年間誰にも解けなかった難しい問題を解決したことがあり、その実績から自信を持ってリーマン予想にも挑戦しているのです。

ルイ・ド・ブランジュ博士は、単に数学の枠を超えて、素数が宇宙の法則とつながっているのではないかと考えています。素数の並び方には、宇宙や自然の不思議と共通する規則性が隠れている可能性があると信じているのです。

博士はこれまで何度もリーマン予想の証明を試みてきました。しかし、そのたびに学会から「証明が不完全だ」と指摘され、何度も失敗を繰り返してきたのです。

それでも博士はあきらめませんでした。最新の挑戦として、4度目の証明論文を提出しましたが、2025年の時点で、その論文もまだ完全には認められていません

博士は次のような信念を持ち続けています。
・「素数の謎を解かないと、宇宙の真理に近づけない」
・「今回の証明が間違っていたとしても、私はまた挑戦する」
・「リーマン予想は人類が挑み続けなければならない問題だ」

このように、ルイ・ド・ブランジュ博士の挑戦は、年齢を重ねても夢を追い続ける姿勢や、人類の知的好奇心の象徴として、多くの人に影響を与えています。博士の証明がいつか認められる日が来るのか、それともまた新たな挑戦が始まるのか、世界中が注目しています。

第1回リーマン予想会議と素数の謎

番組では、第1回リーマン予想会議の様子が紹介されました。この会議は、リーマン予想の謎を解き明かすために、数学だけでなく他の分野の専門家も集まった特別な場です。

きっかけを作ったのは、物理学者フリーマン・ダイソン博士数学者ヒュー・モンゴメリー博士です。2人は偶然の会話の中で、素数の並び方と、原子核の間隔に不思議な共通点があることに気づきました。

これにより、素数の研究は、単なる数学だけではなく、物理学の世界にも深く関わっている可能性があると考えられるようになりました。そして、素数とリーマン予想の謎をより広い視点で探るために、約200人の専門家が世界中から集まり、会議が開催されたのです。

会議では、以下のような重要な話題が取り上げられました。
・素数の並び方と原子の世界(ミクロの世界)との不思議な関係
非可換幾何という新しい数学の考え方が、素数とつながっている可能性
・さまざまな分野の専門家が協力して、リーマン予想の謎に挑むという新しいアプローチ

さらに、番組では自然界における素数の不思議な現象も紹介されました。その代表が、アメリカで見られる素数ゼミです。このセミは、13年や17年という素数の周期で大量発生することで知られています。これは、天敵との遭遇をできるだけ減らすための進化の結果とも考えられており、素数が自然界の仕組みにも深く結びついていることを示しています。

このように、リーマン予想の研究は、数学の枠を超え、宇宙や自然の不思議を解き明かす鍵にもなっているのです。素数というシンプルな数字が、私たちの知らない大きな世界につながっていることが、改めて浮き彫りになった場面でした。

日本の未来と数学

最後に、池上彰さんと竹内薫さんが、日本の数学の未来について語りました。日本でも算数・数学好きの小中学生を対象にした大会が行われており、2025年には約5800人が参加。その中にはリーマン予想を解くことを目標にしている子どももいるといいます。

竹内さんは、数学はクリエイティブな行為であり、AIやコンピューターでは証明できない部分があると話し、「孤高の天才たちが挑み続ける知的冒険は終わらない」と語りました。また、日本が純粋数学を大切にし、研究を応援していくことが、文化の広がりや日本の未来につながるとも述べています。

今回の「時をかけるテレビ」は、リーマン予想という難問を通して、数学の奥深さと人類の挑戦の歴史を改めて知ることができる内容でした。素数の謎が解けるその日まで、世界中の挑戦は続きます。

【ソース一覧】
NHK番組公式:https://www.nhk.jp/p/ts/J94P3M8YN9/
ウィキペディア(リーマン予想):https://en.wikipedia.org/wiki/Riemann_hypothesis
ゆめナビ解説ページ:https://yumenavi.info/vue/lecture.html?gnkcd=g006819
クレイ数学研究所公式ページ:https://www.claymath.org/millennium/riemann-hypothesis
まなびタイムズ記事:https://manabitimes.jp/math/988

コメント

  1. 藤田伊織 より:

    リーマン予想について、クリティカルストリップ内の s=1/2 の線上を除く場所には、線積分を使って、適切な領域を設定することで、ζ関数の零点が存在しないことを明らかにしました。
    R1 : the left side region of the critical line at s=1/2
    The closed blue line starts from
    [0+0i], [1/2-ε”+0i], [1/2-ε”+T1i]. [0+T1i] and then [0+0i].
    R2 : the right side region of the critical line at s=1/2
    Another closed blue line starts from
    [1/2+ε’+0i], [1-ε+0i], [1-ε+T1i], [1/2+ε’+T1i] and then [1/2+ε’+0i].
    . The Zero Finder will give us 0 for both regions, which is a mathematical conclusion. ε can take any small value. It means there are no non-trivial zeros.
    Furthermore, these T1 and T2 can be extended to infinity, and even there the line integral is valid. The Zero Finder will give us 0 for both regions. So, other than between s=1/2-ε” and 1/2+ε’, greater than s=1-ε in the critical strip, there are no non-trivial zeros. And ε, ε’, ε” ➙ 0, then non-trivial zeros exist only at s=1/2.
    The Zero Finder:
    M=(1/(2πi))∫(ζ'(s)/ζ(s))ds (Complex Line Integrals on the closed line)
    M=0 means that there are no Zeros inside the closed line.
    ε を->0 に、T を無限大にできるので、 クリティカルストリップ内の s=1/2 の線上を除く場所には、線積分を使って、ζ関数の零点が存在しないことが明らかになりました。

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