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NHK【時をかけるテレビ】どんなご縁で|滝沢修の朗読と老作家夫婦の3年の記録【2025年5月23日放送】

ドキュメント

1988年放送「どんなご縁で」老作家と認知症の妻が歩んだ3年間の記録

2025年5月23日(金)にNHK総合で放送される『時をかけるテレビ〜今こそ見たい!この1本〜』では、1988年に放送されたドキュメンタリー「どんなご縁で」が取り上げられます。司会は池上彰さん。時代を超えて心に残る名作をもう一度見つめ直すこのシリーズでは、老作家と認知症の妻が共に過ごした3年間の記録が描かれ、深い感動を呼び起こします。放送後、詳しい内容が分かり次第、最新の情報を更新します。

老作家と妻がたどった「どんなご縁」

1988年に放送されたドキュメンタリー「どんなご縁で」は、文学者・耕治人(こう・はるじ)さんと妻・ヨシさんが共に過ごした3年間を記録した番組です。耕治人さんは「最後の白樺派作家」とも呼ばれ、明治から続く文学の流れを受け継ぐ存在でした。そんな彼の晩年に訪れたのが、妻ヨシさんの認知症という大きな転機でした。

耕治人さんは、自らの文学活動を続けながら、家事や介護という初めての仕事に向き合います。炊事・洗濯・食事の準備、そして何より、少しずつ変わっていくヨシさんの心と体に寄り添うこと。それは彼にとって、言葉では表せないほどの試練でもありましたが、同時に生涯を共にした妻との絆を確かめる時間でもありました。

番組では、以下のような日常の場面が丁寧に描かれています。

  • 耕治人さんがエプロン姿で台所に立ち、毎日の食事を作る姿

  • 夜中に不安そうに起きるヨシさんの背中をさすりながら見守る時間

  • 何度も同じことを尋ねるヨシさんに、優しく返事をする耕治人さんの声

  • 食卓でふたり並んで過ごす、静かであたたかな朝の光景

認知症が進むにつれ、ヨシさんは少しずつ昔の記憶を失い、時には耕治人さんの名前さえ忘れてしまうような場面も出てきます。ですが、耕治人さんはそれを「記憶を失っても、心がなくなるわけではない」と受け止め、変わらぬ愛情で接し続けます。

そして、ある日、ヨシさんがつぶやいたのが、「どんなご縁でこんな人と夫婦になったんだかねえ」という言葉でした。この言葉が番組タイトルの由来となっています。この何気ないひとことには、人生の重み、夫婦として歩んできた道のり、そして別れの時が近づいていることへの無言の覚悟が込められています。

この番組は、介護というテーマを扱いながらも、どこか穏やかで美しい時間が流れています。耕治人さんが綴った日記や文章、俳優・滝沢修さんの静かな朗読が挿入されることで、視聴者はふたりの心の動きに深く共感し、涙を誘われる構成となっています。

「どんなご縁で」は、ただの介護記録ではありません。ふたりが互いに支え合いながら過ごした時間の尊さ、そして“老い”の中にもある確かな愛の形を、静かに、しかし確実に伝えてくれる記録です。夫婦とは何か、人を想うとはどういうことかを問いかけてくれる貴重な作品として、今もなお語り継がれています。

俳優・滝沢修さんの朗読が支える物語

この番組で特に印象的なのが、俳優・滝沢修さんによる朗読の存在です。耕治人さんが日々の生活の中で書き綴った文章や、妻への想いが込められた日記の一節を、滝沢さんが静かで深い声で丁寧に読み上げます。その声には、言葉の奥にある感情を引き出す力があり、視聴者の心にじんわりと染みわたります。

  • 耕治人さんが綴った短い一文が、まるで詩のように響く

  • 妻の様子を記した日記が、滝沢さんの声で生き生きと立ち上がる

  • 画面に映る日常の映像に、朗読の余韻が重なって感情が深まる

朗読は、単に物語を説明するものではありません。耕治人さんの“心の声”そのものとして機能しており、番組全体の雰囲気を静かに、そして力強く支えています。映像と音声の絶妙なバランスによって、視聴者はまるでふたりの暮らしの中に入り込んだような感覚を覚えるのです。

また、滝沢さん自身も晩年を迎えていた時期の出演であり、その人生経験がにじむ朗読には、若い俳優では出せない重みと静けさがあります。過剰な演出ではなく、余白と間を大切にした語り口が、番組全体の美しさと誠実さを引き立てています。

この朗読は、番組の時間全体に散りばめられ、ナレーションとは異なる“共に歩む声”としての役割を果たしています。記録映像が語りきれない感情や時間の流れを、滝沢さんの声が補い、深めているのです。

この構成により、「どんなご縁で」は単なる記録映像にとどまらず、文学と映像、声の表現が融合した“詩的ドキュメンタリー”として完成されています。今の時代に見ても、まったく古びることのない静かな力を感じさせる一因が、この朗読にあると言えるでしょう。

再放送で注目される理由

1988年に放送された当時、「どんなご縁で」は日本民間放送連盟賞で優秀賞を受賞しました。それから約40年が経った今も、人の心を静かに揺さぶるこのドキュメンタリーは色あせることがありません。

今回の『時をかけるテレビ』では、番組を通して現代の介護や夫婦のあり方について改めて考えるきっかけを提供してくれます。高齢化社会を迎えた今、当時の映像から学べることは少なくありません。

ゲストににしおかすみこさんが出演

スタジオゲストとして登場するのは、エッセイスト・にしおかすみこさんです。にしおかさんは、自身の認知症の母親との暮らしをエッセイにまとめた経験があり、今回の番組テーマと深く重なる視点を持っています。自身の体験と照らし合わせながら、番組の感想や気づきを語る予定です。

・介護を続ける中での不安や孤独
・時に心を打つようなやり取り
・親子、夫婦という枠を超えた“人と人”のつながり

こうしたテーマが、にしおかさんの語りを通して視聴者にも伝わってくることでしょう。

放送を見逃さないために

今回の再放送は、5月23日(金)22:30〜23:30、NHK総合にて放送予定です。録画予約をして、ぜひじっくりとご覧いただくことをおすすめします。

この番組は、派手な演出や強いメッセージではなく、ただただ「寄り添い続ける」ということの重みを淡々と伝えてくれます。華やかさはなくとも、誰の身にも起こり得る日常の一幕として、多くの人の心に残る内容となるでしょう。

再放送を通じて、時代や背景を超えて伝わる“人間のあり方”に、そっと目を向けてみてください。


※この番組は放送前の情報をもとに構成されています。放送後、詳しい内容が分かり次第、最新の情報を更新します。

放送の内容と異なる場合があります。
ご質問や感想がありましたら、コメント欄にお寄せください。

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