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NHK【時をかけるテレビ】池上彰が解説「夏服の少女たち」ヒロシマの少女たちが遺した日記とアニメの力|2025年8月1日

時をかけるテレビ

「夏服の少女たち」の真実と未来への願い

2025年8月1日に放送されたNHK総合「時をかけるテレビ」では、昭和の広島で暮らしていた少女たちの記録を描いた名作ドキュメンタリー「NHK特集 夏服の少女たち~ヒロシマ・昭和20年8月6日~」が紹介されました。今回の放送では、池上彰さんがナビゲーターを務め、ゲストにはトラウデン直美さんが登場。1988年に放送されたこの作品を再び見つめ直し、広島で起きた出来事を現代に生きる私たちに改めて伝える時間となりました。原爆投下前後の数か月を、少女の目線と家族の証言、アニメーションで描き出す構成は、世代を越えて心に残る内容です。

少女の記録がつなぐ戦争の記憶

番組の中心となったのは、広島県立広島第一高等女学校に通っていた1年6組の森脇瑤子さんの物語です。彼女の日記は、戦争の影が日常に忍び寄る中でも希望や喜びを抱いて生きていた、当時の少女の心を静かに語ってくれます。父は通信兵として中国に出征しており、瑤子さんは母と広島でふたり暮らしをしていました。春には女学校に入学し、新しい生活を始めたばかりでした。

春から夏へ、少女たちの暮らしの中で

昭和20年4月、女学校に入ったばかりの瑤子さんは、新しい制服を作ることになります。戦時中は布が手に入りづらく、家から持ち寄った古布で夏服を作るという決まりがありました。ただし、白い布は敵の飛行機から目立つという理由で途中で中止されるなど、戦時下の暮らしは細かいところまで制限がありました。町には軍需工場や司令部が集まり、空襲を警戒した警報も頻繁に鳴っていました。

戦争が奪った学びと生活

昭和20年6月ごろから、授業よりも軍需工場への動員が中心になりました。さらに7月には農村にも人手が足りず、多くの少年少女たちが家を離れて働くようになりました。森脇瑤子さんのような生徒たちも、防空訓練や建物疎開(空き地づくり)に動員され、日常はどんどん戦時色を帯びていきました

日記が語る最後の一日

瑤子さんの日記は8月5日で止まっており、そこには「おじが来て家がにぎやかだった」という何気ない一文が記されています。そして、翌日の8月6日、彼女は体調がすぐれない中でも「組長としての責任を果たす」ために家を出て、現場へ向かいました。朝には砂糖水を口にし、午前8時に集合したそのとき、原爆が投下されました

被爆とその後、遺されたもの

原爆による被害は凄まじく、当日動員されていた約8000人の学生のうち6000人が亡くなりました。瑤子さんは爆心地から1kmほどの避難所で息を引き取ったと伝えられています。その詳細は、救護に関わった人が家族へ送った手紙だけが手がかりです。彼女の遺体は家族によって海岸に運ばれ、火葬されました。父・中さんはその後、音楽教師として生き、娘を思って「娘愛し」という詩を作曲し、瑤子さんの日記に添えました。

共通の記憶としての「夏服」

番組では、他にも原爆で娘を亡くした家族の証言が紹介されました。奥津トシさんや大下増枝さん・定雄さん夫妻も、亡くなった娘の夏服を今も大切に保管していました。そのうち一部は広島平和記念資料館に寄贈され、訪れる人々に無言の語りかけをしています。

現代に伝わる広島の記憶

スタジオでは、トラウデン直美さんが「核兵器に対する危機感が世界中で薄まっている」と述べ、池上彰さんは「『過ちを繰り返さない』という決意こそ大切」と語りました。広島の平和記念資料館には、2024年に過去最多の72万8000人の外国人来館者が訪れ、被爆80年の節目となる2025年には新たに40点の遺品が寄贈されました。資料館はこれからも、「核なき世界」を訴え続けていきます。


この日の放送では、記録映像と証言、そして再現アニメーションを通じて、「ひとりの少女の目線」から原爆の被害をたどることで、視聴者に深い実感をもたらす内容でした。学校生活、家族の時間、ささやかな喜び。すべてがある日突然奪われた現実を見つめることで、今の私たちが未来に向けて何をすべきかを静かに問いかけていました。番組は、記憶をつなぎ、考えるきっかけとして心に深く残るものでした。

ヒロシマのことを絵本でやさしく伝える

しげゆき
しげゆき

ここからは、私からの提案です。「時をかけるテレビ」で紹介される「夏服の少女たち」は、原爆で命をなくした広島の少女たちの話です。この放送をきっかけに、家でも子どもたちと一緒に平和について考えられる絵本があります。むずかしい話も、やさしい言葉と絵で伝えてくれるので、小さな子にもわかりやすいです。

『さがしています』

持ち主をなくした「かばん」や「くつ」などのモノたちが、自分のことばで語る絵本です。「わたしをさがしています」という一言から始まり、原爆で一瞬にして変わってしまった日を静かに伝えます。写真と短い文章でできていて、しんけんな気持ちで読めます。

『ひろしまのピカ』

小さな女の子の目から見た「原爆」の話です。「ピカッ」と光った瞬間に、町も人も変わってしまったことが、印象的な絵で描かれています。こわいシーンもあるけれど、とても大切なことがたくさんつまった絵本です。

『絵で読む 広島の原爆』

すこし大きい子向けですが、原爆がどうして起こったのか、どんなことがあったのかを、たくさんの絵や図でていねいに説明しています。自由研究にも使えるくらい、わかりやすく学べます。

家でできる「平和の勉強」

これらの本を読んだあとに、「どんなことを思った?」と家族で話してみると、もっと心にのこります。テレビで見た広島の少女たちの話とつなげて、「今の自分たちにできること」も考えられます。

Amazonや本屋さんのリンクを記事に入れておくと、すぐに買って読めるのでおすすめです。子どもへの夏の読み聞かせにもぴったりな3冊です。読んだことのない人にも、ぜひ手にとってほしい本ばかりです。


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