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NHK【クローズアップ現代】ペットから感染で死亡例も…過去最多「マダニ媒介感染症」関東・北海道でも初報告|2025年9月17日

クローズアップ現代

ペットから感染で死亡例も…「マダニ媒介感染症」の脅威とは

毎年夏から秋にかけて増える『マダニ媒介感染症』。特に『重症熱性血小板減少症候群(SFTS)』は、突然体調が悪化し、最悪の場合死に至ることもあります。今年2025年は、すでに152人が感染しており過去最多。しかもペットから人への感染例も報告され、身近な生活の中で誰もがリスクを抱えているのです。この記事では桑子真帆キャスターとゲストの泉川公一さん、さらに記者の坂西俊太さんが伝えた最新情報をもとに、病気の特徴や防ぐためのポイントをまとめます。

SFTSの危険性と広がり

マダニは、日本全国の草むらや野山など、身近な自然環境に広く生息しています。ハイキングや農作業、庭仕事などで人が近づいたときに体に取りつき、皮膚を刺して吸血します。その際にウイルスを持つマダニであれば、唾液を通じて体内にウイルスが侵入し、感染が起こります。

このとき問題となるのが『重症熱性血小板減少症候群(SFTS)』です。感染すると最初は発熱や嘔吐、下痢などの症状が現れますが、進行が早く、重症化すると意識障害多臓器不全といった命に関わる状態に至ることがあります。治療が遅れると命を落とす危険が高まる、非常に怖い感染症です。

特にリスクが高いのは60代以上の高齢者で、統計によると感染者のおよそ9割が高齢者です。体力や免疫力が落ちているため、重症化する可能性が高く、注意が欠かせません。しかし近年は、基礎疾患のない健康な人でも急に症状が悪化する例が報告されています。つまり「若いから大丈夫」とは言えず、年齢に関わらず誰でも感染のリスクがあるというのが実情です。

抗ウイルス薬と早期治療の重要性

泉川公一さんによると、マダニに刺されたとしても、すべての人が感染するわけではありません。マダニの中にはウイルスを持っていない個体も多く存在するため、刺されたからといって必ず病気になるとは限らないのです。しかし、もしそのマダニが『重症熱性血小板減少症候群(SFTS)』のウイルスを保有していた場合には、感染の危険性が一気に高まります。

この病気の恐ろしい点は、発症してからの進行がとても早いことです。体調が急激に悪化し、短時間で重症化してしまうケースも少なくありません。そうした中で希望となっているのが、昨年から処方が始まった抗ウイルス薬です。この薬の登場により、これまで約27%とされていた死亡率が**約15%**にまで下がったと報告されています。

ただし、効果を十分に発揮するためには早期治療が何よりも重要です。症状が出てから治療を始めるまでの時間が長引くと、病状は急速に悪化してしまいます。つまり「発症後すぐに医療機関を受診し、適切な治療を開始できるかどうか」が、その後の生死を分ける大きなポイントになるのです。

「刺されない」ための防護術

専門家は、マダニから身を守るために日常で実践できる具体的な対策を強調しています。まず大切なのは服装です。肌を露出しないように長袖・長ズボンを着用し、袖口や裾の隙間をなくすことでマダニが入り込むのを防ぎます。登山や農作業、草むらでの作業をする際には特に意識する必要があります。

次に注意すべきは行動範囲です。野生動物が多い草むらや山林はマダニの生息地であり、感染リスクが高まります。不要に立ち入らないようにし、どうしても近づく場合は十分な防護を心がけることが求められます。

また、マダニは春と秋に活動が活発になるため、この時期は特に警戒が必要です。気温や季節によってリスクが高まることを理解しておくことで、予防意識を高めることができます。

そして最も重要なのは、もし体にマダニが刺さっているのを見つけた場合です。焦って自分で引き抜こうとすると、口器が体内に残り感染の危険を高めてしまいます。そのため、必ず医療機関で専門的な処置を受けることが大切だと専門家は呼びかけています。

ペットからの感染リスク

今回の放送で特に衝撃を与えたのが、ペットを介した感染例の増加でした。静岡県にあるやの動物病院では、この1年間でネコやイヌの感染が11例報告され、そのうち半数が命を落としたという深刻な状況が明らかになりました。

全国的に見ても、これまでに1000匹以上のペットが感染していることが確認されており、飼い主にとっても無視できない問題となっています。さらに今年6月には、三重県で診療中の獣医師が、感染したネコから病気をうつされたとみられ、残念ながら亡くなった事例も報告されています。人とペットの距離が近いからこそ、感染リスクも現実のものとなっているのです。

また、坂西俊太記者によれば、ペットが『SFTS』に感染した場合、特にネコでは食欲不振黄色い尿といった症状が出やすいとのことです。こうした変化に早く気づき、すぐに動物病院を受診することが、ペットの命を守るだけでなく、飼い主自身の感染防止にもつながります。

広がる野生動物からの脅威

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)』の感染拡大で新たに注目されているのが、野生動物のアライグマです。本来は北米原産の動物ですが、日本ではペットとして輸入された後に野生化し、今では全国各地で目撃されるようになっています。近年は東京や大阪といった都市部でも数が増えており、人の生活圏と重なる場面が多くなっているのが特徴です。

特に警戒されているのは、アライグマがSFTSウイルスを体内で増やしやすい動物だという点です。つまり感染した場合、体内でウイルス量が増え、人や他の動物に媒介するリスクが高くなるのです。実際に神奈川県では、これまで感染者が確認されていない地域においても、SFTS抗体が陽性のアライグマが複数見つかっています。

このことは、表面上は患者が出ていなくても、すでにその地域にウイルスが潜んでいる可能性を示しています。今後さらにアライグマの生息域が広がれば、都市部を含めたより広い範囲で感染リスクが拡大する恐れがあると、専門家は強く警鐘を鳴らしています。

今後に求められる対策

泉川公一さんは番組の中で、「現在は内服薬しかなく、より効果的な注射薬や、感染を未然に防ぐためのワクチンの開発が急務だ」と強調しました。治療の選択肢が限られている現状では、発症後に対応できる範囲が狭く、重症化や死亡を完全には防ぎきれないからです。そのため、研究開発を進めるには国を挙げた支援が不可欠だと訴えました。

同時に、この感染症と向き合うには医療の力だけでは十分ではありません。草むらに入る際の服装やペットの健康管理といった一人ひとりの予防意識が大切であり、さらに医療機関や研究機関、行政が協力して感染状況を監視し、情報を広く共有する社会全体の対策が欠かせません。個人と社会が一体となって取り組むことで、初めてリスクを最小限に抑えることができるのです。

まとめ

この記事で紹介したポイントは以下の通りです。
・SFTSは過去最多の感染者152人、60代以上が中心だが全年代にリスクあり
・抗ウイルス薬の普及で死亡率は低下、ただし早期治療が不可欠
・ペットや野生動物からの感染拡大が深刻化
・防護服装、医療機関での処置、ワクチン開発が今後の課題

マダニ媒介感染症は身近に潜む脅威です。草むらに入る際の注意やペットの健康管理を徹底し、万が一刺された場合は速やかに医療機関を受診しましょう。


出典:
NHK クローズアップ現代 ペットから感染で死亡例も…過去最多「マダニ媒介感染症」

日常生活でできるマダニ予防チェックリストをより詳しく

しげゆき
しげゆき

ここからは、私からの提案です。マダニから身を守るためには、日常生活の中で小さな工夫を積み重ねることが大切です。ここでは自分、家族、そしてペットを守るために役立つ行動を、さらに具体的に整理しました。今日から意識するだけで感染リスクを下げられる内容です。

服装・装備

マダニは草むらや山道に潜んでおり、肌が出ている部分を狙います。外出時は長袖・長ズボンを着て肌を覆うことが基本です。ズボンの裾は靴や靴下、長靴の中に入れ、隙間から入り込まれないようにします。首元はタオルやスカーフで覆い、帽子や手袋も使うとさらに安心です。服の色は明るめを選ぶとマダニを目で見つけやすくなります。サンダルや短パンのように露出の多い服は避けましょう。

虫よけ・化学的対策

ディートやイカリジンが入った虫よけスプレーや忌避剤は効果的です。使用後は時間が経つと効き目が薄れるので、長時間屋外にいる場合は塗り直すことが大切です。顔や首など敏感な部分には直接使わず、周囲にスプレーするなど工夫すると安心です。

外出・帰宅後のケア

草むらや山林から戻ったら、衣服を払ってマダニを持ち込まないようにすることが重要です。入浴やシャワーで全身を洗い流し、首の後ろ、耳のうら、わき、膝の裏など、マダニがつきやすい場所を手で触れて確認します。衣服は高温で洗濯したり、天日でしっかり乾燥させることで、付着したマダニを除去できます。

家・庭・ペットの管理

庭の草むらや雑草、落ち葉はマダニの隠れ場所になります。定期的に草刈りや掃除をして環境を整えることが予防につながります。散歩から帰ったペットは体をなでてチェックし、首周りや耳のうしろなど特に注意して確認します。ペットの寝床やマットは定期的に洗い、しっかり乾燥させることが必要です。

もし刺されたら/体調異変への対応

もしマダニに刺されているのを見つけた場合は、無理に引き抜かずに医療機関で処置を受けることが最も安全です。自分で取ろうとすると口の一部が体内に残り、感染リスクが高まります。刺された後は6〜14日程度の潜伏期間があるため、発熱やだるさ、吐き気や下痢などの消化器症状が出たら、すぐに受診してください。早期発見が重症化を防ぐ鍵になります。


表にまとめると以下のようになります。

カテゴリ 具体的な予防行動
服装・装備 長袖・長ズボン、裾を靴に入れる、帽子や手袋、首元を覆う、明るい色の服、露出の多い服は避ける
虫よけ対策 ディートやイカリジン入りのスプレーを使う、時間ごとに塗り直す
帰宅後ケア 衣服を払う、シャワーで全身を洗う、耳やわき・膝裏をチェック、衣服は高温洗濯・天日干し
家・ペット管理 庭の草むらや落ち葉を掃除、ペットの散歩後に体をチェック、寝床やマットを洗濯乾燥
刺されたとき 無理に取らず医療機関で処置、発熱や体調異変があれば速やかに受診

こうした行動を日々心がけることで、マダニから自分も家族もペットも守ることができます。


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