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【うまいッ!】増やせ!極上まつたけ〜長野・伊那市〜“根切り”で挑む松茸再生の奇跡とバター炒飯の香り|2025年11月2日

うまいッ!
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香りの王様・まつたけを“育てる”人たち 長野・伊那で見た驚きの知恵と情熱

秋といえば、食卓を一瞬で華やかにしてくれる高級食材・まつたけ。炊き込みご飯や土瓶蒸しなど、香りを生かした料理が恋しくなる季節です。でも、スーパーで目にする機会は年々減り、値段もなかなか手が届かないほど。そんなまつたけを「増やす」ことに成功した名人がいると聞けば、気にならないはずがありません。舞台は長野県伊那市。この地で70年近くもまつたけ山を見守り続けてきた藤原さんが、その“秘技”を平祐奈さんに伝授しました。まつたけが生える山づくり、驚きの「根切り」技法、そして家庭でもできるまつたけ料理まで——。秋の香りの裏側にある、人の手と自然の調和を追いました。

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まつたけは“痩せた土”を好む 山の手入れが1年を支える

多くの植物は肥沃な土を好みますが、まつたけは真逆の性格。むしろ“栄養が少ない土”を好む珍しいきのこです。藤原さんの山では、アカマツ林の下に落ちた枯葉を定期的に取り除く「柴かき」という作業が欠かせません。この作業を怠ると、土が豊かになりすぎて他の菌類が繁殖し、まつたけ菌が育ちにくくなるのです。つまり、落ち葉を掃き取ることであえて“貧しい環境”をつくるのがポイント。自然界の理に反して見えますが、まつたけにとっては最高の環境なのです。

柴かきは1年のうちほぼ11か月間続く地道な仕事。落ち葉を掻き集めるだけでなく、雨風や虫の影響で変わる土の状態を細かく見極め、木々の健康を保ちます。その根気強さこそが、毎年まつたけが顔を出す秘密。「まつたけは気まぐれな生き物。人が自然を“整える”ことで、ようやく顔を出してくれる」と藤原さんは語ります。この一言に、半世紀以上にわたって山と向き合ってきた職人の哲学が詰まっています。

“根を切って育てる”という逆転の発想 名人の根切り技

もうひとつの驚くべき手法が、「根切り」と呼ばれる技です。まつたけはアカマツの根と共生して育ちます。つまり、木の根が健康であればあるほど、まつたけの菌が繁殖しやすくなるわけです。けれど藤原さんの発想は違いました。春の山で、あえてアカマツの根を一部切断し、新しい細い根を出させるのです。その新しい根に秋、まつたけの胞子をまく。すると、若い根に菌がつきやすくなり、翌年にはまつたけが出てくる——。

この“根を切る勇気”は、まさに長年の経験から生まれた知恵。山の空気、湿り気、日当たり、地温を読み取る繊細な感覚がなければできない作業です。「自然に頼るだけでは、山はやせてしまう。人の手を少しだけ加えることで、命がつながるんです」と藤原さん。科学でも完全には説明できない、経験と勘の世界です。

その結果、伊那市の山では、藤原さんが“根切り”したエリアに毎年のようにまつたけが顔を出すようになりました。偶然ではなく、確実に“育てられるまつたけ”。この技法が地元の若い世代にも引き継がれ、地域ぐるみで山の再生が進んでいます。

地元に伝わるまつたけ料理の知恵 香りを生かす“火加減とタイミング”

取れたてのまつたけは、どんな料理でも香りの主役になります。番組では平祐奈さんが挑戦した『まつたけのバター炒飯』が紹介されました。実はこの料理、シンプルながら奥が深い一品です。

【材料】(1人分)
まつたけ:40g
ご飯:230g
バター:10g
サラダ油、薄口しょうゆ、いんげん:各適量

【作り方】
1)炊いたご飯をざるにあけ、水で洗ってぬめりを取る(これがパラパラに仕上げるコツ)。
2)フライパンにサラダ油を熱し、ご飯を炒め、薄切りのまつたけを加えて香りを出す。
3)しょうゆを回し入れて香ばしく仕上げ、最後にバターを溶かして風味をまとわせる。
4)皿に盛りつけ、ゆでたいんげんを散らして完成。

一見シンプルですが、炒める順番と火加減で味が大きく変わります。バターは最後に加えることで、まつたけの香りとバターのコクが混ざり合い、口いっぱいに広がる贅沢な風味に。まつたけの繊細な香りを逃がさないコツは、強火で手早く仕上げること。地元では、まつたけの軸を薄くスライスして具材に混ぜ、笠の部分を仕上げにトッピングするなど、香りを二段階で楽しむ方法も人気です。

伊那の山が教えてくれる“人と自然の共生”の形

伊那市のまつたけ山は、ただの“生産地”ではありません。そこには、自然と人の関係を見つめ直す大切なメッセージがあります。まつたけは人がコントロールできない存在ですが、藤原さんの手入れのように“ほんの少しの介入”で自然が蘇る。その絶妙なバランスが、現代の環境保全にも通じる考え方です。

「自然の声を聞きながら手を貸す。それが一番の共生だと思います」と藤原さん。派手さのない言葉ですが、山で生きる人の誇りが静かににじみます。まつたけを増やすという行為は、単なる生産の工夫ではなく、“自然と人の関係を再構築する文化”でもあるのです。

まとめ

この記事のポイントは次の3つです。
・まつたけは栄養の少ない“痩せた土”でこそよく育ち、落ち葉を除く「柴かき」が欠かせない。
・“根切り”によって若い根を出し、まつたけ菌を根につけやすくするという逆転の発想が成功の鍵。
・『まつたけバター炒飯』は香りを逃さず、家庭でも簡単に秋の贅沢を味わえる一皿。

香り、土、そして人の手——。そのすべてが重なって、初めてまつたけは姿を見せます。秋の味覚を支えるのは、見えないところで山を守り続ける人たちの努力です。食卓に広がる香りの奥に、そんな静かな情熱が息づいていることを、今年の秋は思い出してみてはいかがでしょうか。


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