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NHK【総合診療医ドクターG NEXT】「かぜが治らない」長引く咳の正体とは?2025年8月26日放送

健康

総合診療医ドクターG NEXT「かぜが治らない」

「ただの風邪」と思っていたのに、なかなか治らない…。そんな経験をしたことがある方も多いと思います。2025年8月26日放送のNHK総合「総合診療医ドクターG NEXT」(第4回)では、2か月以上も咳が続く女性の症例をもとに、医師たちが病名を探る過程が詳しく紹介されました。この記事では、番組に登場したエピソードをすべて反映しながら、長引く風邪症状の裏に隠れた病気と、その診断までの道のりを整理してご紹介します。

患者は居酒屋を営む55歳女性

今回の患者は、京都在住の上野幸子さん(55歳)。夫と一緒に居酒屋を切り盛りしている明るい女性です。しかし2か月ほど前から体調に変化が現れました。熱も鼻水もなく、喉の痛みもないのに咳だけが止まらず、仕入れ作業や階段の昇り降りで息切れを感じるようになったのです。さらに、2週間前には咳き込みの後に気を失うという不安な出来事もありました。3か月前から猫を飼い始めており、「もしかするとアレルギーかも」とも考えましたが、夫には症状が出ていないため原因が分かりませんでした。仕事柄、居酒屋の店内ではタバコの煙にさらされることも多く、生活習慣との関係も気になる状況でした。

診断に挑む医師と研修医たち

この症例に挑むのは、総合診療医として16年の経験を持つ和足孝之医師。国内外の医療現場を渡り歩き、些細な手がかりから病気の正体を探る力を持つ名医です。スタジオには、藤井隆、赤木野々花アナウンサー、ゲストの菊池桃子も加わり、症状を元に推理を進めました。さらに3人の研修医が参加。

  • 岩城叡遼さん:冷静に「肺がん」を候補に挙げる

  • 伏江真彩さん:結核を推測。普段は病院でミュージカルを上演する活動にも関わるユニークな医師

  • 高木創志さん:出版社で営業をしていた異色の経歴を持ち、免疫異常に関わる「ランバート・イートン症候群」を提示

一方、菊池桃子さんは「肺の病気が隠れているのでは」と感じ、素人ながら「肺気腫」を疑いました。

候補に挙がった病名と検討の過程

最初に挙げられた病名は以下の通りです。

  • 肺気腫:タバコの影響で肺の組織が壊れ、息苦しさが出る病気。だが今回のケースは典型的とは言えず可能性は低い

  • 肺がん:咳や痰が続く場合に考えられるが、進行が進めば胸水がたまり、レントゲンで確認できるはず。画像で異常が見られず、可能性は下がった

  • 結核:倦怠感や咳が特徴的。ただし発熱が見られないため一致度は低い

  • ランバート・イートン症候群:筋肉が動きにくくなる病気で、肺がんに合併することがある。ただし咳を説明できない

実際にレントゲン写真を確認した結果、結核や肺気腫の可能性はさらに下がると判断されました。

咳の種類と慢性咳嗽の定義

伏江さんは「咳の持続期間」に注目しました。医学的には以下のように分類されます。

  • 3週間未満:急性咳嗽

  • 3週間〜8週間:遷延性咳嗽

  • 8週間以上:慢性咳嗽

上野さんの咳はすでに2か月続いており、慢性咳嗽に該当します。藤井隆は居酒屋での仕事環境に注目し、「受動喫煙による咳ではないか」と推測しました。

検査結果から見えてきたもの

診察では心音や呼吸音に異常はなく、SpO2(血中酸素飽和度)は92%。岩城さんは「肺がんでここまで酸素濃度が下がるなら胸水が見えるはず」と否定しました。伏江さんは「レントゲン撮影で歩いたため一時的に酸素が下がったのでは」と解釈。高木さんは「咳だけでなく倦怠感にも注目すべき」と考え、甲状腺機能低下症を候補に挙げました。

さらに肺活量検査を実施。基準値70〜80%に対し、上野さんの1秒率は58%。これは空気をうまく吐き出せていないことを示しており、呼吸機能の低下が明らかでした。

最終診断「慢性閉塞性肺疾患」

研修医たちが導き出した答えは、慢性閉塞性肺疾患(COPD)でした。COPDは気管支に炎症が起きて通り道が狭くなり、呼吸がしづらくなる病気です。喫煙や受動喫煙が大きなリスク要因とされ、症状が進むと日常生活に大きな影響を与えます。

厚生労働省の統計によると、2023年には16,941人がCOPDで死亡。日本でも患者数は増加傾向にあり、正しく診断されないケースも少なくありません。

診断後の変化と生活改善

病名が分かったことで、上野さんの居酒屋では禁煙を実施。吸入薬を使った治療を始めたことで、以前と変わらない生活を取り戻しました。症状の原因を特定することは、本人の健康だけでなく、周囲の人の環境改善にもつながることを示した例でした。

和足医師のアドバイス

和足医師は「優れた診断力を得るには、徹底的に病歴を聞き、頭の中で映像化することが大切」と語りました。患者の生活環境や小さな出来事を丁寧に聞き取ることが、診断の大きな手がかりになります。

Q&Aで整理する「長引く咳」の疑問

Q. 咳が長引いたら病院に行くべき?
A. はい。特に8週間以上続く場合は慢性咳嗽の可能性があり、医師の診察が必要です。

Q. COPDは治るのですか?
A. 完全に治すことは難しいですが、禁煙や薬の治療で進行を遅らせ、生活の質を守ることができます。

Q. 受動喫煙も原因になりますか?
A. はい。喫煙だけでなく、周囲のタバコの煙でも発症リスクは高まります。

まとめ

今回の放送では、長引く咳の背後に慢性閉塞性肺疾患(COPD)という深刻な病気が隠れていることが示されました。症状が軽くても、咳が長く続く場合は放置せず、早めに医療機関を受診することが大切です。さらに、禁煙や受動喫煙対策といった生活習慣の改善が、健康を守る第一歩になります。番組を通じて、「日常の小さなサインを見逃さないことの重要性」が強く伝わってきました。


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