乳がんを“自分ごと”にするために。いま知っておきたい早期発見とブレスト・アウェアネス
乳がん検診、受けたことがありますか?仕事や家事に追われて「まだ大丈夫」と後回しにしてしまう方も多いかもしれません。けれど、乳がんは日本人女性の9人に1人がかかる身近な病気です。しかも、早期に見つかれば9割が治るといわれています。この記事では、10月13日放送の『きょうの健康』で紹介された最新情報をもとに、乳がんを早く見つけるための「乳がん検診」と「ブレスト・アウェアネス」の2つのポイントを分かりやすく紹介します。
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乳がんは誰にでも起こりうる。だからこそ“早期発見”がカギ
乳がんは30代後半から発症が増え始め、40〜70代でピークを迎えるといわれています。特に、仕事や家事、子育てに忙しい世代の女性に多く見られるのが特徴です。毎日を慌ただしく過ごしていると、自分の体調の変化に気づきにくくなりがちですが、この時期こそ注意が必要です。
乳がんは、発見が遅れるほど治療が難しくなりますが、早期に見つけられれば9割以上が完治可能とされています。つまり、「どの段階で見つけるか」が何よりも大切です。早く気づけることで、治療の負担も小さくなり、手術の範囲を最小限に抑えることもできます。
その早期発見のカギとなるのが、乳がん検診とブレスト・アウェアネスの2つです。乳がん検診では、マンモグラフィーや超音波検査(エコー)を使って、小さなしこりや石灰化の段階で発見することが可能です。一方、ブレスト・アウェアネスは、日常生活の中で自分の乳房の状態に関心を持ち、「いつもと違う変化」に気づく習慣を身につけることを意味します。
この2つはどちらか片方だけでは不十分です。検診は定期的に受けても、検査の間に発症するケースもありますし、自分で触れても小さながんは見つけにくいことがあります。だからこそ、定期的な検診+日常のセルフチェックの両方を組み合わせることが、命を守るために欠かせません。
最近では、高濃度乳房と呼ばれる乳腺の多いタイプの女性が増えており、この場合はマンモグラフィーだけでは見えにくいこともあります。そうした人には、超音波検査との併用が効果的とされています。自分の乳房のタイプを知ることも、ブレスト・アウェアネスの一環です。
忙しい毎日の中でも、年に一度の検診と、月に一度のセルフチェック。この小さな習慣が、未来の自分を守る大きな力になります。
検診で見つかるがんは2cm未満が多い
自分で乳房のしこりに気づくとき、それはすでに2cm以上に成長している場合が多いといわれています。指先で触れてわかるほどの大きさになるには時間がかかるため、その時点ではがん細胞がある程度進行している可能性があります。とはいえ、2cmという大きさでも手遅れではありません。治療によって十分に回復が見込める段階ですが、再発リスクを減らすためには、より早く見つけることが何よりも重要です。
一方、乳がん検診では、約8割が2cm未満の段階、あるいはまだしこりになっていない「石灰化」と呼ばれる状態で発見されます。石灰化とは、乳腺の中にカルシウムが沈着した小さな白い点のようなものです。多くは良性ですが、形がいびつであったり、1か所に密集している場合には、がんの初期サインの可能性があります。この「石灰化」のうちに発見できれば、治療はより短く、体への負担も少なく済みます。
つまり、定期的な乳がん検診こそが最も確実な早期発見のチャンスです。検診によって、まだ自覚症状がない段階でがんを見つけることができ、結果として生存率を大きく高めることにつながります。特にマンモグラフィー検査は、しこりの前段階を可視化できる唯一の検査方法として、世界的にも有効性が認められています。
ただし、どんなに正確な検査でも限界があります。乳腺が発達している高濃度乳房の人では、がんの影が白く重なって見えにくくなることがあります。また、検診の間の2年間で新たに発症する「間にできるがん(インターバルがん)」も存在します。そのため、検診だけに頼らず、日常生活の中で乳房の状態を自分で観察することが大切になります。
この習慣を支えるのが、ブレスト・アウェアネスです。これは「自分の乳房を意識し、変化に気づく力を育てる」ことを指します。お風呂の中で石けんをつけて触れてみたり、鏡の前で形や左右差をチェックしたりするだけでも十分です。わずかな変化を見逃さないことが、検診と同じくらい重要な“もう一つの早期発見”の方法です。
検診とブレスト・アウェアネス、この2つを続けることで、乳がんをより小さなうちに見つけ、より軽い治療で回復できる可能性が広がります。どちらか片方ではなく、両方を意識することが、自分の未来を守る最も確実な方法です。
エストロゲンと生活習慣がリスクを高める
乳がんの7〜8割は、女性ホルモンの一種であるエストロゲンが深く関係しているといわれています。エストロゲンは女性の体にとって欠かせないホルモンで、肌のハリを保ち、骨を丈夫にし、月経や妊娠の仕組みを支えています。しかし、このホルモンが長期間にわたって分泌され続けると、乳腺細胞の増殖を促す作用が過剰に働き、乳がんの発症リスクを高めてしまうことがあります。
エストロゲンの影響を受ける時間が長くなるほど、リスクも上がる傾向があります。たとえば、初潮が早い人(12歳以前)や閉経が遅い人(55歳以降)は、月経回数が自然と多くなり、その分エストロゲンにさらされる期間も長くなります。さらに、出産や授乳の経験が少ない人も、乳腺の細胞分化が十分に進まないままエストロゲンの影響を受け続けるため、リスクが高くなるといわれています。
生活習慣の中にも注意すべき要因があります。まず、飲酒は肝臓の働きを抑え、体内のエストロゲン濃度を上げてしまいます。特に毎日飲む習慣がある人は、週に数回に減らすだけでもリスクを下げることができます。喫煙もまた、血流やホルモンバランスに悪影響を与え、がん細胞の増殖を促す原因になります。
また、閉経後の肥満も重要なリスク要因です。閉経すると卵巣からのエストロゲン分泌は減りますが、脂肪組織自体がエストロゲンを作り出すため、肥満になるとホルモン量が増加します。特にお腹まわりに脂肪が多い「内臓脂肪型肥満」は注意が必要です。バランスのとれた食事と、1日30分程度の軽い運動を心がけることが予防につながります。
さらに、母親や姉妹など血縁者に乳がんを発症した人がいる場合も、遺伝的な影響を受けやすいとされています。特にBRCA1・BRCA2遺伝子の変異がある場合は、若い年齢でも発症リスクが高まります。最近では、遺伝カウンセリングや遺伝子検査を受けられる医療機関も増えています。
このように、乳がんはひとつの原因で起こる病気ではなく、ホルモン・生活習慣・遺伝の複合的な要因が関係しています。エストロゲンと上手に付き合い、生活の中で少しずつ意識を変えていくことが、乳がんを遠ざける第一歩になります。
マンモグラフィー検査:乳がん死亡率を下げる唯一の検査
乳がん検診の基本となるのがマンモグラフィー(乳房エックス線検査)です。これは40歳以上の女性を対象に、自治体の公費助成によって2年に1回受けることができます。乳房を2枚の板で軽く挟み、X線を照射して内部の様子を撮影する検査で、小さなしこりや石灰化と呼ばれる初期の変化を発見できるのが特徴です。
石灰化とは、乳腺の中にカルシウムが沈着してできる白い点状の影のことです。形や分布の仕方によって、がんの初期サインを見つけることができます。特に、まだしこりが形成される前の段階で発見できることがあり、これがマンモグラフィーの大きな強みです。こうした特徴から、乳がんによる死亡率を減らす効果が科学的に証明されている唯一の検査方法とされています。
検査の際、乳房を板で圧迫するため、「痛そう」「恥ずかしい」という不安を抱く人も少なくありません。ですが、この圧迫はできるだけ少ない放射線量で鮮明な画像を撮るために必要なものです。痛みを和らげるためには、月経後10日目前後の乳房の張りが少ない時期に受けるのが最も適しています。また、撮影中に強い痛みを感じた場合は、その場で技師に伝えることが大切です。経験豊富な放射線技師が圧迫の強さや角度を調整してくれます。
一方で、日本における乳がん検診の受診率は約47%と、先進国の中では低い水準にとどまっています。欧米諸国では70〜80%に達している国も多く、この差がそのまま早期発見率や生存率の違いにつながっているといわれています。仕事や家庭の事情で時間が取れない、あるいは痛みや羞恥心から敬遠する人も多いですが、検診はほんの数分で終わる手続きであり、命を守る大切な時間です。
放射線による被ばくを心配する声もありますが、マンモグラフィーで使用される放射線量はごくわずかで、自然界から1年間に受ける放射線量の10分の1程度にすぎません。健康への影響はほとんどないとされています。検査の精度も年々向上しており、近年ではデジタルマンモグラフィーやAIによる画像解析が導入され、より正確な診断が可能になっています。
乳がんは、早く見つければ9割以上が治る病気です。その第一歩が、定期的なマンモグラフィー検診です。忙しい日々の中でも、2年に1度、自分の体と向き合う時間を持つことが、未来の安心につながります。
超音波(エコー)検査:高濃度乳房に有効
乳がん検診で行われるもう一つの方法が超音波検査(エコー)です。これは、胸に超音波をあてて、その反射を画像化することで乳房の内部を確認する検査です。痛みも被ばくもなく、安全に行えるのが特徴で、若い世代や妊娠・授乳中の女性でも安心して受けられます。
超音波検査では、乳腺やしこりの硬さ・形・境界の状態を詳しく見ることができます。水や血液のような液体は黒く、脂肪や腫瘍は白く映るため、がん特有の不規則な形状や硬さを見分けやすくなります。また、マンモグラフィーでは捉えにくい乳腺の奥や胸壁近くの病変も確認できるため、より立体的な情報が得られます。
この検査が特に効果を発揮するのが、高濃度乳房と呼ばれるタイプの女性です。乳房は乳腺と脂肪で構成されていますが、乳腺の割合が多い人はX線で白く写りやすく、がんの影も白いため、マンモグラフィーでは判別が難しくなります。画面全体が白くなり、がんの影が雪の中に紛れてしまう――この状態が、よく「雪原にいる白うさぎ」とたとえられます。
特に40代以下の女性の約8割が高濃度乳房とされており、マンモグラフィー単独では見逃されるリスクがあります。そこで注目されているのが、マンモグラフィーと超音波の併用検診です。東北大学を中心とした全国規模の研究では、この2つを組み合わせることで、乳がんの早期発見率が約1.5倍に高まることが明らかになりました。早期発見が増えれば、手術の範囲を小さくできたり、抗がん剤の使用を避けられたりと、治療の負担を軽減することにもつながります。
また、高濃度乳房かどうかは検診を受けて初めてわかるケースが多く、自分では判断できません。そのため、検診の結果で高濃度乳房と指摘された人は、次回の検診で超音波検査を追加することが勧められています。費用は医療機関によって異なりますが、1回あたり5,000円前後の自己負担で受けられる場合が多く、より精密なチェックを希望する人には有効な選択肢です。
超音波検査は痛みがほとんどなく、時間も10分程度で終わります。担当する技師がプローブを胸に滑らせながら画像を確認するだけなので、安心して受けられます。検査を受けることで、自分の乳房の状態をより深く知ることができ、「自分の体に関心を持つきっかけ」にもなります。
マンモグラフィーと超音波、それぞれの特性を理解し、自分に合った検査方法を選ぶことが、乳がんの早期発見につながります。検診を受けるだけでなく、定期的に見直す意識を持つことが何より大切です。
ブレスト・アウェアネス:日常生活でできる4つの行動
番組で紹介されたブレスト・アウェアネスとは、乳房の健康に日頃から関心を持ち続けるための生活習慣を指します。特別な道具や難しい知識は必要なく、毎日の暮らしの中で“自分の体を観察する習慣”を持つことが目的です。乳がんは早期に発見できれば9割以上が治るとされており、そのためには小さな変化を自分で気づけるようにしておくことが大切です。
ブレスト・アウェアネスの基本は、次の4つの行動です。
- 自分の乳房の状態を知る
まずは自分の乳房が普段どのような状態なのかを知ることから始めます。左右の形や大きさ、柔らかさ、皮膚の色などを確認しておくと、「いつもと違う」を判断しやすくなります。特別なテクニックは必要ありません。入浴時に石けんをつけてやさしく触るだけで十分です。手が滑りやすくなることで、しこりの感触を確かめやすくなります。 - 乳房の変化に気をつける
毎日鏡を見るように、乳房にも“いつもの姿”を覚えておきましょう。皮膚にくぼみやひきつれがないか、乳首の陥没やただれ、左右の形の差がないかなどを確認します。また、血の混じった分泌物が出る場合は、早めに乳腺科を受診することが重要です。 - 変化に気づいたらすぐに受診する
「少し気になるけれど、そのうち治るかも」と思って様子を見るのは危険です。しこりや形の変化などに気づいた時点で、ためらわず医療機関を受診しましょう。早めの受診が、治療の負担を減らすことにもつながります。 - 40歳になったら2年に1回、乳がん検診を受ける
セルフチェックだけでは小さながんを見つけることは難しいため、マンモグラフィー検診を定期的に受けることが欠かせません。自治体では2年に1度、40歳以上の女性を対象に助成付きの検診を実施しています。
チェックを行うタイミングも大切です。閉経前の人は月経後10日目あたり、乳房の張りが落ち着いて柔らかくなる時期が最適です。閉経後の人は毎月同じ日を決めて行うことで、体の変化を見逃しにくくなります。習慣化することで、ほんのわずかな違和感にも気づけるようになります。
ブレスト・アウェアネスの目的は、「がんを探すこと」ではなく「いつもと違う状態に気づくこと」です。鏡を見る、入浴中に軽く触れる、それだけで十分です。自分の乳房に目を向ける時間を持つことが、乳がんの早期発見につながり、そして自分の体を守る力になります。
気をつけるポイントチェックリスト
乳房の変化を見逃さないためには、日常の中で小さなサインに気づくことが大切です。乳房の形や大きさに変化がないか、まず鏡の前で確認してみましょう。左右の高さや丸み、輪郭の違いが以前と比べて変わっていないかをチェックします。服を着ていると気づきにくいわずかな変化でも、姿勢を変えて観察すると見つけやすくなります。
次に、皮膚にくぼみやひきつれがないかを見ます。皮膚の表面がピンと引っ張られたように見えたり、一部だけへこんでいたりする場合は、内部にしこりがある可能性があります。乳腺の奥でがんが進行すると、皮膚が内部に引き込まれるような変化が起きることがあります。
乳首の陥没や変色にも注意が必要です。もともと陥没している人もいますが、これまでなかったのに急に引き込まれたように見える場合は要注意です。また、乳首の色が赤くなったり、茶色く変化したりすることも、乳腺の異常が関係していることがあります。
湿疹やただれがある場合、最初は肌荒れや下着のこすれだと思ってしまうこともありますが、実は乳がんの初期症状である「パジェット病」という皮膚のがんである可能性もあります。数週間経っても治らないときは、早めの受診が必要です。
また、乳首から血の混じった分泌物が出ることも見逃してはいけないサインです。透明な液体や白っぽい分泌物であれば良性のことが多いですが、赤みがかったり茶色っぽい分泌物の場合は、乳管の中に異常がある場合があります。
こうした変化を感じたときは、「次の検診まで様子を見よう」と思わず、すぐに乳腺科を受診してください。乳がんは時間とともに進行する病気です。早く発見できれば、治療は短く、体への負担も小さくなります。
そして、最も大切なのは、自分で良性か悪性かを判断しようとしないことです。しこりや分泌物の原因は、乳腺症や嚢胞など良性の場合も多くありますが、外見や感触だけでは見分けられません。医師による触診や画像検査(マンモグラフィー・超音波検査)を受けて、確実に確認してもらうことが必要です。
ほんの小さな違和感でも、「おかしいかもしれない」と感じた時点で受診する行動が、命を守る第一歩になります。自分の体に敏感になることこそ、ブレスト・アウェアネスの本当の意味です。
若い世代にも知ってほしい「検査の選び方」
35歳以下の若い世代では、乳がんの発症リスクは比較的低いとされています。そのため、放射線を使用するマンモグラフィー検査よりも、超音波検査(エコー)のほうが安全で適しています。マンモグラフィーはX線を使うため、わずかではあるものの被ばくを伴います。体への影響は極めて小さいものの、発症リスクの低い若年層にとっては、メリットよりもデメリットのほうが大きくなることがあります。
一方で、超音波検査は放射線を使わず、痛みもほとんどありません。超音波(音の波)を体にあてて、その反射を画像に変える仕組みで、乳腺の中の構造を立体的に確認することができます。乳腺の密度が高く、マンモグラフィーで白く写りやすい若い女性にとって、エコーは非常に有効な検査です。がんによるしこりはエコー画像上で明るく、周囲の正常組織との違いがはっきり映し出されます。
また、若い女性の乳房は乳腺が発達しているため、マンモグラフィーでは「高濃度乳房」として白く写り、がんの影が隠れてしまうことがあります。こうした理由から、20代〜30代の検診では超音波を中心に行うのが一般的です。
ただし、検診目的の超音波検査は保険の適用外となり、費用は全額自己負担になります。料金は医療機関によって異なりますが、1回あたり5,000円前後が目安です。初めての人は、まず乳腺クリニックや専門外来に相談し、自分の年齢や乳腺の状態に合った検査方法を選びましょう。近年では、女性技師が対応するクリニックも増えており、安心して受診できる環境が整いつつあります。
さらに、妊娠中や授乳中の女性にも、超音波検査は安全に行える唯一の方法です。母乳の分泌や乳腺炎との区別が難しい時期でも、画像によって内部の様子を確認できます。出産経験の有無にかかわらず、乳房の違和感やしこりを感じた場合は、早めに医療機関を受診し、エコーで確認することが大切です。
若い世代にとって、乳がん検診はまだ先のことと思われがちですが、20代・30代でも発症するケースは増えています。年に一度、自分の乳房の状態を知るためにエコー検査を受けることは、将来への備えとなり、健康意識を高めるきっかけにもなります。
一歩踏み出す勇気が、自分を守る
乳がんは、生活習慣や食事を整えたからといって完全に防げる「予防できるがん」ではありません。しかし、早く見つけて適切に治療すれば高い確率で治るがんです。実際、早期の段階で発見された乳がんの5年生存率は90%以上に達するといわれています。つまり、命を守るために大切なのは「発症を防ぐこと」よりも、「早く気づくこと」です。
乳がんは年齢や遺伝だけでなく、ホルモンの影響や生活環境など、さまざまな要因が重なって起こります。そのため、誰にでも発症する可能性があり、「自分は大丈夫」と思い込むことが一番のリスクになります。検診を受けることは、自分の体を守るためのもっとも確実な手段です。マンモグラフィーや超音波検査を定期的に受けることで、しこりになる前の段階で発見できることもあります。
そしてもうひとつ大切なのが、ブレスト・アウェアネスという考え方です。これは、乳房に関心を持ち、日常の中でその変化に気づく習慣のことです。忙しい生活の中でも、ほんの数分、自分の体に意識を向けるだけで十分です。たとえば、入浴中に石けんをつけて軽く触れてみる、鏡の前で形をチェックする、下着をつけるときに左右の違いを確かめる――こうした何気ない行動が、将来の自分を守ることにつながります。
仕事や家事、育児に追われる毎日の中で、自分のことはつい後回しにしてしまいがちです。しかし、乳がん検診を受ける15分の時間が、何十年先の健康を守る第一歩になります。忙しい人こそ、あえてスケジュールに「自分のための検診時間」を入れてほしいのです。
ブレスト・アウェアネスは特別なことではなく、「自分の体を大切にする意識」そのものです。小さな気づきを積み重ねることで、がんを早く見つけられる可能性が高まります。乳がんは早く見つけて治せる病気。今日、自分の体に少しだけ目を向けることから、その第一歩が始まります。
この記事のポイント
・乳がんは9人に1人が発症、早期なら9割が治る
・マンモグラフィーと超音波の併用で発見率1.5倍
・日常でのブレスト・アウェアネスが命を守る
検診と意識、どちらも「いま」から始められる行動です。未来の自分のために、まずは一度、乳がん検診を予約してみてください。
出典・参考:
・がん情報サービス「がんに罹患する確率~累積罹患リスク(2021年)」
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html
・がん情報サービス「統計情報のまとめ(2021年)」
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/14_breast.html
・東北大学プレスリリース「マンモグラフィと超音波検診の有効性」(2015年)
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2015/11/press20151105-01.html
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