タイプ別!尿もれ徹底対策
NHK「きょうの健康」2025年6月10日放送回では、日常生活に大きな悩みをもたらす“尿もれ”について特集されました。今回は、尿もれの原因となる3つのタイプに分け、それぞれに合った対策を医学的に詳しく紹介。講師は日本大学医学部泌尿器科学系主任教授の高橋悟先生です。番組では、骨盤底筋トレーニングやぼうこう訓練の実践法、排尿後の対策など、実生活に役立つ内容が丁寧に解説されました。
腹圧性尿失禁の特徴と対策法
このタイプは、せきやくしゃみ、笑ったときや重い物を持ったときなど、腹筋に力が入ったときに尿が漏れてしまう症状です。特に出産後の女性や高齢者に多く見られます。筋肉のゆるみや骨盤の支えが弱まっていることが主な原因です。
番組でまず紹介されたのは、骨盤底筋トレーニングです。おしっこを途中で止めるような感覚で、肛門と尿道のあたりをキュッと締める動作を、3秒締めて5秒休むサイクルで行います。1日5セットを毎日続けることが勧められました。この運動は、継続することで2~3か月で効果が出る人が多いとされており、毎日の積み重ねが重要だと説明されていました。
また、肥満があると腹圧がかかりやすくなるため、体重のコントロールが対策として効果的です。あわせて、便秘の改善や水分・カフェイン・アルコールの摂取を見直すことも大切です。これらはすべて、お腹に不要な負担をかけないための工夫です。
さらに、生活改善だけでは改善が見られない場合は、薬や手術など医療的な治療も選択肢になります。薬では膀胱や筋肉に働きかけるものが使われ、重度の人にはTVT手術や電気刺激療法が行われることもあります。
切迫性尿失禁の特徴と対策法
このタイプは、突然強い尿意を感じて、トイレに間に合わず漏れてしまうものです。原因としては、「過活動膀胱」と呼ばれる状態が多く見られます。これは、膀胱が自分の意志とは関係なく急に収縮してしまうことで起こります。
対策として番組で紹介されたのは、膀胱トレーニングです。尿意を感じてもすぐにトイレに行かず、最初は5分間がまんし、次は10分、15分…と間隔を少しずつ延ばしていく方法です。最終的には2~3時間に1回の排尿間隔を目指すことになります。これは膀胱を「しつけ直す」ような訓練で、毎日意識して取り組むことが大切です。
さらに、骨盤底筋トレーニングも併用することで効果が高まると紹介されていました。この運動を続けることで、膀胱の暴走を防ぎ、コントロールしやすくなるそうです。
また、冷えを防ぐこと、水分やカフェインの取りすぎを控えること、トイレの場所を事前に確認しておくなどの生活環境の工夫も有効とされていました。日記などに尿意のタイミングを記録する「尿意日誌」も、改善への一歩になります。
さらに、薬物療法としては、抗コリン薬やβ3刺激薬などの膀胱の筋肉に作用する薬が使われることもあります。医師と相談しながら、自分に合った治療法を選ぶことが大切です。
排尿後尿滴下の特徴と対策法
排尿後尿滴下は、トイレで排尿を終えた後に、時間が経ってからポタポタと尿が漏れてしまう症状です。特に男性に多いとされており、尿道に残った尿が自然と出てしまうことが原因です。
対策として番組で紹介されたのは、「ミルキング」という方法です。これは、排尿後に会陰部(陰のうと肛門の間)をやさしく押すことで、尿道に残った尿を絞り出すというものです。簡単にできて、残尿を減らすのにとても効果的な方法として紹介されました。
また、排尿の姿勢にもポイントがあります。立ってするよりも座って排尿した方が、尿道の中の尿が出やすくなり、残尿を減らせると説明されていました。とくに高齢男性にはおすすめの方法です。
さらに、骨盤底筋や内もも(内転筋)を鍛えることも、排尿機能のサポートに役立つとされています。これは筋肉の力で尿を完全に出し切る力を助けるためです。足を閉じたり開いたりする運動も有効です。
そして、もしそれでも漏れが気になる場合には、吸水パッドやケア用品を活用することも立派な対策です。安心感があることで、外出時の不安が減り、生活の質も向上します。
すべてのタイプに共通する大事なポイント
今回の放送で繰り返し強調されていたのが、骨盤底筋トレーニングの重要性です。この運動は、腹圧性でも切迫性でも、排尿後尿滴下でも効果がある基本の方法です。
また、どのタイプであっても、まずはセルフケアからスタートすることが大切です。自分でできるトレーニングや生活習慣の見直し、食事や体重の管理、冷え対策など、すぐに実践できることがたくさんあります。
症状がつらい場合やセルフケアで効果が出ない場合は、泌尿器科や産婦人科などの専門医に相談することが勧められていました。早めに適切な治療を受けることで、悩みを軽くすることができます。
今回の「きょうの健康」は、具体的なトレーニング法から医療的な選択肢まで、日常にすぐ取り入れられる知識が詰まった内容でした。尿もれで悩んでいる人にとって、正しい知識を得て、前向きに取り組むための力強い一歩となる放送でした。
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