ありがとうを未来へつなぐ日――大阪・関西万博「閉会式」
半年間にわたり世界中から人々が訪れた『大阪・関西万博』。ついに、すべての出会いと学びの集大成を迎える日がやってきます。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。その言葉のもとで過ごした184日間は、単なる展示会ではなく、未来への“実験”であり、“対話”の場でした。
最終日となる10月13日、夢洲の会場で行われる「閉会式」では、半年間を支えたすべての人々への感謝、そして次なる未来への希望が込められます。
【歴史探偵】万博と日本|1900年パリ・幻の1940東京・1970大阪…万博が映す日本の夢|2025年4月16日放送
万博の最終日、どんな式典になるのか?
『大阪・関西万博』の閉会式は、単なるイベントの終わりではなく、「世界が再びひとつに戻る」ための儀式です。
会場となるのは大阪・夢洲。海を臨むこの人工島が、半年間にわたり未来への実験場となりました。閉会式の時間は午後2時前後を予定。約80分にわたって、感謝と希望をテーマにしたプログラムが展開されます。
司会を務めるのは、田代杏子アナウンサーと倉沢宏希アナウンサー。二人の落ち着いた語りが、万博最後の時間を温かく包み込みます。
式典は3つの章構成で進行するとされ、
-
半年間の歩みを振り返る「記憶のステージ」
-
参加者全員に感謝を伝える「感謝のステージ」
-
次回開催国への希望を託す「引き継ぎの瞬間」
という流れで構成される見込みです。
また、万博のテーマソング『いのちのうた(仮)』を用いた演出も計画されており、音楽と光の融合によって“いのちの連鎖”を象徴的に表現します。会場ではドローンショーやプロジェクションマッピングも予定され、夢洲の夜空に感謝と未来のメッセージが描かれる可能性もあります。
「感謝」のステージと「引き継ぎ」の瞬間
閉会式の前半を飾るのが、「感謝のステージ」。
ここでは、半年間をともに歩んだすべての人々への「ありがとう」がテーマになります。映像プログラム『Countdown to the Futures』では、オープニングから半年間の軌跡を映し出し、開幕式の瞬間から各国パビリオンの盛り上がり、ボランティアの活動、子どもたちの笑顔までが次々と流れます。
続く『Moments of All Lives in EXPO2025』では、来場者が交わした小さな出会いや、各国のスタッフの努力の裏側が紹介され、“人が支え合うことの尊さ”が描かれます。
その後、大阪府知事 吉村洋文が登壇し、関係者・来場者・市民・協賛企業など、万博を支えたすべての人に向けて感謝を伝える挨拶を行います。さらに、日本国際博覧会協会 事務総長 石毛博行氏からも、閉会の辞が述べられる予定です。
式典後半の「引き継ぎの瞬間」は、世界が注目する場面。BIE旗(博覧会国際事務局旗)が、2025年大阪から次の開催地へ正式に渡されます。次回開催地はサウジアラビア・リヤド。2030年に開催される『リヤド国際博覧会』では、“人と自然の共生”をテーマに、持続可能な未来社会を描くことが発表されています。
その瞬間、会場全体で流れるのは「別れ」ではなく、「未来への出発」を象徴する音楽と光。映像演出『A journey of foresight』が、2030年に向けた地球規模の挑戦をイメージさせます。
最後のパフォーマンス『Start for the Futures』では、日本と世界の若者たちがステージ上で希望を表現。観客が一緒に拍手を送り、未来へのバトンを見守る姿がクライマックスを迎えます。
世界を結んだ184日間の軌跡
2025年4月13日に開幕した大阪・関西万博は、158の国・地域と7つの国際機関が参加し、世界最大級の国際博覧会となりました。
会場には182のパビリオンが建ち並び、来場者は延べ数千万人。環境、医療、食、文化、テクノロジーなど、あらゆる分野で「いのちをつなぐ未来」をテーマにした展示が展開されました。
シンボルとなった大屋根リング(Grand Ring)は、直径約615メートルの巨大木造建築。再生可能な木材を使用し、環境負荷を抑える設計で世界中の建築家から注目を集めました。
さらに、来場者が未来社会を“体験”する仕掛けも豊富でした。
AIを活用したロボット案内、再生エネルギーで動く移動ポッド、フードロスを減らす“未来食堂”など、次世代の生活を先取りできる展示が話題に。
「Saving Lives」「Empowering Lives」「Connecting Lives」という3つのサブテーマを通して、命の尊さと地球の持続可能性を考えるきっかけを世界に発信しました。
運営面では、夢洲という人工島での開催という課題もありました。アクセス問題や暑さ対策など、課題に直面しながらも、現場スタッフやボランティアの創意工夫によって、多くの人が安全に楽しめる環境が整えられました。終盤には、来場者数が目標を上回るペースとなり、最終月には“ありがとうウィーク”として特別展示や限定イベントも開催。まさに“世界が一つになった184日”だったのです。
次の万博へ――未来への希望
閉会式の最大の意味は、「未来への希望を世界に送り出すこと」。
2025年の大阪・関西万博で育まれた共創の精神、技術の革新、人々のつながり――それらが次の地、2030年リヤド国際博覧会へと引き継がれます。
リヤド万博は、197か国以上の参加、4,200万人超の来場者を見込む巨大プロジェクト。サウジアラビアが推進する国家ビジョン「VISION 2030」と連動し、エネルギー・環境・教育・ジェンダー平等といった多様なテーマを掲げます。
大阪で生まれたネットワークや経験は、日本の企業・自治体・大学の国際連携にも活かされる見込みです。会場で培われたサステナブル建築技術やAIソリューションは、海外プロジェクトとして再展開される計画も進んでいます。
まさに、閉会式は「終わり」ではなく「進化の始まり」。世界がつながり、人と地球の未来をともに描く旅が、ここから新たに始まるのです。
まとめ
この記事のポイントは以下の3つです。
・閉会式は「感謝」と「未来へのバトン」がテーマ
・184日間の軌跡を映像とパフォーマンスで振り返る
・次回開催国リヤドへ希望と理念を引き継ぐセレモニーが行われる
半年間にわたる万博の旅は、感謝と希望の光で締めくくられます。
そしてその光は、2030年の世界へとつながっていきます。
この閉会式は、未来の世代が“希望”という名の地図を手に歩き出す、新しい始まりの瞬間です。
ソース:NHK番組情報(https://www.nhk.jp/)/EXPO2025公式サイト(https://www.expo2025.or.jp/)
気になるNHKをもっと見る
購読すると最新の投稿がメールで送信されます。
コメント