40代からの対策がカギ!認知症予防最前線|2025年7月7日放送内容まとめ
2025年7月7日放送の「あさイチ」(NHK総合)では、「40代からの対策がカギ!認知症予防最前線」というテーマで、最新の認知症予防法や話題の新薬、最新検査について紹介されました。今回はその内容をわかりやすくまとめていきます。
次回の【あさイチ】眠れない・疲れやすい・髪がパサつく…原因はたんぱく質不足かも?今すぐできる簡単対策|2025年7月8日
認知症は約20年かけて静かに進行する
アルツハイマー型認知症は、すぐに症状が出るわけではありません。実は発症の20年以上前から脳の中で異変が始まっていることが、最新の研究で明らかになっています。特に注目されているのが「アミロイドβ」や「タウたんぱく質」という物質です。これらが長い年月をかけて脳にたまり、神経細胞に悪い影響を与え続けます。
専門家によると、アミロイドβの蓄積は発症の20〜25年前から始まっていると考えられています。そのため、本人が自覚するよりずっと前から、脳の中では変化が進んでいるのです。
早い段階では、本人だけが気づくような小さな変化が現れます。たとえば
・言葉がすぐに出てこない
・物忘れが気になる
・うっかりミスが増える
こういった状態は『主観的認知機能低下(SCD)』と呼ばれます。この段階では、まだ日常生活に大きな支障は出ませんが、脳の中ではアミロイドβやタウたんぱく質の蓄積が進んでいる場合があります。
さらに進むと『軽度認知障害(MCI)』と診断されることがあります。この段階では、家族や周りの人も「最近ちょっと変かも」と気づくことが増えます。しかし、MCIの段階で生活習慣を改善したり、適切な治療を受けたりすることで、認知症への進行を防げる可能性があります。
認知症が発症してからも、進行は急ではなく、次のような段階を経てゆっくり進んでいきます。
・自立可能な前段階:約7年…多少の物忘れがあっても、身の回りのことは自分でできます
・軽度認知症:約2年…人や場所を忘れることが増え、サポートが必要になることがあります
・中等度:約1.5年…日常生活全体に介助が必要になってきます
・高度:約6年…コミュニケーションや移動が難しくなり、全面的な介護が必要になります
このように、アルツハイマー型認知症は合計で約20年という長い期間をかけて、ゆっくりと進行する病気です。だからこそ、早い段階で気づき、生活習慣を見直すことがとても大切なのです。
気になる物忘れ…どんな検査をするの?
番組では、50代のハナエさんが実際に認知症予防に力を入れているクリニックを受診する様子が紹介されました。ハナエさんは「最近、物忘れが増えた気がする」と感じて受診を決意したそうです。
クリニックで受けたのは「認知機能検査」です。この検査を通して、ハナエさんは「SCD(主観的認知機能低下)」の範囲に入ると診断されました。SCDとは、自分自身が物忘れを自覚している状態で、認知症の前の前の段階と言われています。
また、番組では物忘れの裏には、見逃してはいけない別の原因が隠れていることもあると伝えていました。それは「頭の病気」と「体の病気」です。たとえば、脳の異常やホルモンの乱れ、ほかの身体の不調が、物忘れとして現れることがあるのです。
だからこそ、ただの物忘れだと決めつけず、気になったら早めに病院で検査を受けることが大切です。早い段階で原因がわかれば、治療や予防もしやすくなります。気になる方は、迷わず専門のクリニックを訪ねてみることをおすすめします。
MCIの段階で戻れる可能性も
番組では、認知症の前段階と言われる「MCI(軽度認知障害)」についても詳しく紹介されました。MCIとは、物忘れや認知機能の低下が始まっているけれど、まだ日常生活には大きな支障がない状態のことです。
このMCIの段階でしっかり対応すれば、なんと16~41%の人が1年以内に健常な状態に戻れるというデータがあるそうです。つまり、認知症の進行を防げるチャンスがまだあるということです。
ただし、そのためには「早めの気づき」と「具体的な行動」がとても重要です。ちょっとした物忘れや違和感を放っておかず、検査を受けたり、生活習慣を見直したり、脳を積極的に使う工夫をすることが大切です。
MCIのうちに行動を起こせば、将来の自分の健康を守ることにもつながります。気になる人は、ぜひ早めにチェックをして、できることから始めてみましょう。
14のリスク因子を改善すれば最大45%予防できる
番組内では、世界的な研究で注目されている「14のリスク因子」についても紹介される予定です。これらの生活習慣や健康状態を改善することで、認知症の発症リスクを最大45%下げることができると報告されています。
【具体的なリスク因子と対策】
リスク因子 | 主な対策 |
---|---|
難聴 | 補聴器の早期使用 |
高LDLコレステロール | 食事と運動、薬の活用 |
高血圧 | 血圧管理、減塩、運動 |
喫煙 | 禁煙の徹底 |
肥満 | 食事改善と運動習慣 |
うつ状態 | 専門家への相談、カウンセリング |
身体活動不足 | 日常的な運動 |
糖尿病 | 血糖コントロール、治療 |
外傷性脳損傷 | 転倒や事故の予防 |
過度の飲酒 | 飲酒量の見直し |
社会的孤立 | 地域活動や人との交流 |
大気汚染 | 室内空気の改善、マスク活用 |
視覚障害 | 定期的な眼科受診 |
教育歴の不足 | 読書や学習の習慣化 |
これらのリスクは生涯にわたって変わるため、若い頃から高齢期までの継続的な意識が大切です。
画期的な新薬レカネマブの効果とは
番組では、今注目されている認知症の新薬「レカネマブ」についても詳しく紹介されました。50代の藤本克裕さんは、物忘れが気になり病院を受診した結果、MCI(軽度認知障害)と診断されました。そして、医師と相談のうえレカネマブの治療をスタートしました。
レカネマブは、認知症の大きな原因とされるアミロイドβというたんぱく質を脳から取り除く働きがある薬です。これにより、神経細胞の減少を防ぎ、認知症の進行を抑える効果が期待されています。特に、MCIやSCD(主観的認知機能低下)の段階で使うことで、より効果が発揮されるとされています。
番組では、レカネマブの臨床試験の結果も紹介されました。2週間に1回、1年半にわたって投与を続けた人の脳内では、アミロイドβの量が87%減少し、認知症の悪化を27%抑えることができたそうです。これは、症状の進行をおよそ7.5か月遅らせる効果にあたります。
ただし、費用面では注意が必要です。保険が適用されても3割負担で月10万円ほどかかるため、経済的な負担が大きいと感じる人も多いかもしれません。また、ごくわずかではありますが、副作用として脳出血が報告されています。
それでも、認知症の進行を遅らせることができる貴重な選択肢の一つとして、レカネマブは大きな期待を集めています。気になる方は、医師と相談しながら、最新の情報をチェックしておくと安心です。
睡眠の質を高めることが認知症予防につながる
認知症のリスクを減らすためには、質の良い睡眠が欠かせません。とくに、脳内の老廃物を取り除く働きを助けるのが「深い睡眠(ノンレム睡眠)」と「夢を見るレム睡眠」です。これらの睡眠がしっかりとれていないと、アミロイドβという物質が脳にたまりやすくなり、将来的に認知症につながる可能性が高まることが研究で分かっています。
睡眠中、脳は体とは別に活発に働いていて、老廃物の処理をする「脳の掃除タイム」とも呼ばれています。この仕組みがうまく機能するためにも、日頃から睡眠の質を意識することが大切です。
次のようなポイントを意識すると、より良い睡眠がとれるようになります。
・毎日同じ時間に寝起きする
決まったリズムで寝起きすることで、体内時計が整い、自然と深い眠りに入りやすくなります。
・7〜9時間の適正な睡眠時間を確保する
大人の場合、7〜9時間の睡眠が脳の回復に最適だと言われています。短すぎても長すぎても、脳の掃除機能は十分に働きません。
・朝に太陽の光を浴びて体内時計をリセットする
朝起きたらカーテンを開け、太陽の光をしっかり浴びることで、夜に自然と眠くなる体のリズムが作られます。
・睡眠時無呼吸症候群の疑いがあれば早めに治療する
いびきがひどい、日中の強い眠気がある人は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。この状態が続くと、質の良い睡眠が取れず、脳へのダメージが積み重なってしまいます。
・メラトニンなどの補助を医師と相談しながら使う
寝つきが悪い場合、睡眠ホルモンのひとつであるメラトニンを活用する方法もあります。ただし、自己判断ではなく、必ず医師に相談してから使うようにしましょう。
このように、毎日の生活の中で少しの工夫を積み重ねることで、睡眠の質はぐっと良くなります。そして、結果的にアミロイドβの蓄積を防ぎ、認知症リスクを下げることにつながるのです。
若いうちから睡眠習慣を整えることで、将来の健康を守ることができるので、今日から意識して取り組むのがおすすめです。
認知症予防のカギは睡眠と「ながら運動」
番組では、認知症を予防するために大切なポイントとして「睡眠」と「ながら運動」が紹介されました。
まず、睡眠についてです。寝ている間、脳の中では「アミロイドβ」という認知症の原因物質が、起きている時の2倍のスピードで排出されることがわかっています。そのため、質の良い睡眠がとても大事です。
特に注意したいのは睡眠時間です。6時間未満の短い睡眠だと、認知症リスクが約2倍になると言われています。でも、逆に8時間以上寝すぎても睡眠の質が下がり、こちらもリスクが約2倍に増えてしまいます。だから、ちょうどよい時間の睡眠をとることが大切です。
次に、脳を守る「予備脳」を鍛える方法も大事です。予備脳とは、脳の一部がダメージを受けたとき、他の部分が代わりに働いてくれる力のことです。この力を強くするには、頭を使いながら体を動かす「ながら運動」が効果的です。
スタジオでは、出演者たちが実際に「グーパー体操」や「コグニステップ」に挑戦していました。グーパー体操は、手でグーとパーを交互に出しながら、リズムよく動かす運動です。コグニステップは、足踏みをしながら数字を数えたりする運動で、頭と体を同時に使います。
こうした運動を日常に取り入れることで、楽しみながら脳を元気に保つことができるそうです。今日から少しずつ生活に取り入れてみるのも良いかもしれませんね。
血液検査で早期発見も近い将来実現?
番組では、認知症の早期発見に役立つ最新の検査方法についても紹介されました。アメリカでは今年5月、FDA(アメリカ食品医薬品局)が「血液バイオマーカー」を承認しました。これは、血液を調べるだけでアルツハイマー病の早期発見につながる画期的な検査です。日本でも、近い将来この検査が実用化されると期待されています。
スタジオでは、にしおかすみこさんが「健康診断の項目に入ってくれたら良いのに」と話していました。確かに、気軽に受けられるようになると、多くの人が早めに自分の脳の状態をチェックできそうですね。
さらに、去年日本では中等度・重度のアルツハイマー型認知症の方向けの治療薬「ブレクスピプラゾール(商品名レキサルティ)」が初めて承認されました。この薬は、認知症の方に見られる興奮やイライラ、落ち着きのなさ、たたく行動などの症状を和らげる効果があります。
また、マサチューセッツ工科大学の研究では「音」が認知症予防に効果があることもわかってきたそうです。特別な音を使って脳を刺激することで、予防や症状の緩和につながると期待されています。
最後に、新井さんは「計画を立てて、自分の好きなことを思い出しながらやると脳が活性化する」と話していました。楽しいことを前向きに取り入れることが、認知症予防のポイントだそうです。
来週の「クローズアップ現代」では、認知症の方の社会参加について特集が放送される予定です。興味のある方はぜひチェックしてみてください。
まとめ
今回の放送を通じて、認知症は40代・50代からの早めの対策がとても大切だと改めて感じた方も多いと思います。楽しみながら脳を鍛える工夫を、毎日の生活に取り入れていきたいですね。気になる方は、まず「認知症リスクチェックリスト」から始めてみてくださいね。
次回の【あさイチ】眠れない・疲れやすい・髪がパサつく…原因はたんぱく質不足かも?今すぐできる簡単対策|2025年7月8日
【関連情報】
https://alzdiscovery.org
https://endalznow.org
https://halmek.co.jp
https://fda.gov
https://nature.com
https://health.com
https://en.wikipedia.org
https://ucsf.edu
https://eurapa.biomedcentral.com
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