極上の食感&とろみ 本葛 〜奈良 宇陀・吉野地域〜|2025年3月2日放送
奈良県の宇陀・吉野地域で生産される「本葛」は、日本を代表する高級食材のひとつです。今回の【うまいッ!】では、その製造過程や特長、料理への活用方法まで詳しく紹介されました。葛は1300年以上前から食材や薬として利用されており、貴重な存在として「白いダイヤモンド」とも呼ばれています。冷めてもとろみが持続し、なめらかな食感を生み出す本葛の魅力を深掘りします。
奈良の宇陀・吉野地域で作られる最高級の「本葛」
奈良県の宇陀・吉野地域は、昔から本葛の名産地として知られています。番組では、葛掘りの名人・中山廣信さんが葛の根を掘り出す様子が紹介されました。葛はツル植物の一種で、地中に大きな根を張るのが特徴です。
- 葛掘りは秋から冬にかけて行われます。葉が枯れ落ちた後に地面を見て、白っぽいツルや枯葉を手がかりにして根の位置を特定します。
- 葛の根は地中深くに広がるため、手作業で慎重に掘り出す必要があります。中山さんは4時間かけて40kgもの葛根を掘り出しました。
- 掘り出した葛根は、でんぷんと繊維を分けるために専用の洗濯機で洗浄されます。この工程を経て、6kgの葛根から取れるでんぷんはわずか1.2kg程度。その希少性から「白いダイヤモンド」と呼ばれるほど貴重です。
このように、葛を掘る作業は非常に手間がかかるため、葛堀り職人の数は年々減少しています。本葛の生産を守るためにも、技術を受け継ぐ若い世代の育成が求められています。
伝統製法「吉野さらし」で作られる純度の高い本葛
掘り出した葛根からとれたでんぷんは、奈良の伝統技術「吉野さらし」を用いて精製されます。この方法では、0.08mmという極めて細かい網目を使って何度も濾過し、不純物を徹底的に取り除きます。
- 吉野さらしを行うことで、透き通るような美しい純白の葛粉が作られます。
- 不純物が少ないため、冷めてもとろみが持続し、なめらかな口当たりになるのが特長です。
- この伝統製法を守ることで、高品質な本葛が生み出され続けています。
純度の高い本葛粉は、高級料理や和菓子に使われることが多く、料理のとろみづけやデザートの材料としても重宝されています。
葛粉とかたくり粉の違い
本葛粉とかたくり粉はどちらも「でんぷん」ですが、性質が大きく異なります。
- 本葛粉は粒子が非常に細かく、水との結びつきが強いため、とろみが持続する。冷めてもなめらか。
- かたくり粉は時間が経つと水分が離れ、とろみが消えやすい。
料理にとろみをつける際、本葛を使うと透明感があり、口当たりのよい仕上がりになります。特に汁物やあんかけ料理には、本葛が適しています。
本葛を活用した料理の紹介
奈良市内の料亭では、本葛を活かしたさまざまな料理が提供されています。葛は「とろみづけ」だけではなく、食材をコーティングする役割も果たします。番組では、本葛を使った絶品料理が紹介されました。
① 鶏そぼろだし巻き
- だしに葛粉を溶かし、卵と混ぜて焼くことで、卵がコーティングされて巻きやすくなる。
- 仕上げに葛粉でとろみをつけた鶏そぼろあんをかけ、風味豊かな一品に仕上げる。
② 奈良の郷土料理「奈良のっぺ」
- 昆布だしに里芋や厚揚げなどを加え、塩と醤油のみのシンプルな味付け。
- 伝統的な奈良のっぺは、里芋が煮崩れたとろみが特徴だが、今回は葛粉を加えてなめらかなとろみに仕上げた。
- 高温で仕上げることで、透明感のある美しいとろみが生まれる。
③ 奈良のっぺ風 吉野汁仕立て
- タイの切り身に葛粉をまぶし、旨みを閉じ込めてコーティング。
- 出汁とともに煮込むことで、葛のとろみがスープ全体を包み込み、上品な味わいの汁物に仕上がる。
葛粉を加えるだけで、料理の食感や口当たりが大きく変わることが分かります。
本葛の栄養価と健康効果
本葛は栄養面でも優れた食材です。特に、たんぱく質やイソフラボンが豊富に含まれており、健康にも良い影響を与えます。
- 漢方薬「葛根湯」の原料としても使われ、昔から体を温める効果があるとされてきた。
- 冷え性の改善や、免疫力アップに役立つと言われている。
- くず湯にして飲むと、消化がよく、体がぽかぽかと温まる。
特に寒い時期には、本葛を使った料理や飲み物が体を内側から温めてくれます。
まとめ
今回の【うまいッ!】では、奈良県宇陀・吉野地域で作られる本葛の魅力について詳しく紹介されました。葛は1300年以上の歴史を持ち、伝統的な手作業によって丁寧に作られる貴重な食材です。
- 吉野さらしによる精製で、純度の高い美しい葛粉が生まれる。
- 料理の食感を格段にアップさせ、とろみを持続させる特性を持つ。
- 健康効果も高く、日常の食生活に取り入れやすい。
この伝統食材を守るためには、職人の技術を継承し、広く知ってもらうことが大切です。奈良の誇る本葛を、ぜひ料理に取り入れてみてください。
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