田んぼ×未来 あきらめないコメ農家たち
私たちの食卓に欠かせない主食・お米。近年、その価格高騰が続き、ニュースでもたびたび取り上げられています。しかし、多くの人が口にする一方で、実際にそれを作っている農家の姿に触れる機会は限られています。2025年5月8日深夜に再放送されるNHK・ETV特集『田んぼ×未来 あきらめないコメ農家たち』は、そんな「知られざる現場」のリアルを、長期間の密着取材を通して丁寧に伝える番組です。農家の苦悩と挑戦、そして未来への希望にスポットを当て、2組の農家を紹介します。
コメ農業が直面する“未来の危機”
現在、日本の農業、特にコメ作りの現場には深刻な課題が押し寄せています。農家の高齢化が進み、後継者不足も深刻です。このままでは、10年後には国内自給が困難になるという見通しもあります。また、温暖化の影響で栽培に適した気候が変わりつつあり、これまでと同じように作物を育てることが難しくなっています。
・農業人口の減少と高齢化
・耕作放棄地の拡大
・気温上昇による稲の生育不良
・収穫量の安定が難しい気象の変化
こうした背景の中で、あきらめずにコメ作りに挑む2組の農家が、本番組の主役です。それぞれの農家が、異なるスタイルで田んぼの未来を切り拓こうとしています。
茨城の大規模農家──140面分の野球場を耕す覚悟
番組の中でまず紹介されるのは、茨城県で野球場140面分に相当する広大な田んぼを管理する大規模農家です。これほどの面積を維持しながら高品質の米を作り続けるためには、ただ単に面積を広げるだけでは通用しません。そこには、緻密な計算と日々の観察が欠かせません。
この農家では、気候変動を見越した管理技術と、徹底したコスト管理によって収量を安定させています。
・ドローンやセンサーを駆使し、病害虫の兆候を早期に察知
・水温や地温、土壌の状態を数値で管理
・肥料や水の使用量を抑えることで経費を大幅削減
・人手不足を補うための自動化システムの導入
現代技術と農家の経験を融合させることで、効率的かつ持続可能な農業を実現しようとする姿は、今後の農業のモデルケースとなるかもしれません。
上越の山間地で棚田を守る若い夫婦の挑戦
もうひとつの舞台は、新潟県上越市の山間地。ここに移住して新規就農を決意した若い夫婦が登場します。彼らは都市部から山里へと生活を変え、地域に根差した形で棚田を守ることを目指しています。単なる農業経営ではなく、地域全体と一体となった農のかたちを追求しているのが特徴です。
・農作業は地域住民との協力で実施し、共同体として維持
・地域のお祭りや伝統行事にも積極的に関わり、信頼を築く
・消費者との直接交流を大切にし、農業体験や田植えイベントも開催
・山の水を活かした棚田の景観保全と、土砂災害防止の役割も担う
この夫婦は、「農業は村があってこそ成立する」という理念のもと、人と自然のつながりを大切にした営みを大切にしています。地元の人々とともに棚田を守り、そこに暮らすこと自体が農業であるという考えは、多くの人に新たな気づきを与えるものです。
“あきらめない”心が田んぼの未来を変える
番組が伝えようとしているのは、ただの農作業の記録ではありません。農家がどうやって問題と向き合い、どんな思いで米を育てているのか、そのひとつひとつの選択や努力に焦点を当てている点がこの特集の魅力です。
・収益だけを追わない、信念に基づく農業
・効率化と人とのつながりの両立
・地域社会とともに未来を考える姿勢
米を食べるということは、農家の時間と努力を食べるということでもあります。番組を通じて、私たちが普段何気なく食べているご飯の背後にある“物語”を知ることができるでしょう。
放送概要とこれからの更新予定
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放送日:2025年5月8日(木)0:00〜1:00
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放送局:NHK Eテレ(教育テレビ)
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番組名:ETV特集『田んぼ×未来 あきらめないコメ農家たち』
再放送での視聴が可能なので、見逃していた方やもう一度見たい方にもおすすめです。
おわりに
コメの未来を真剣に考えることは、私たちの食卓の未来を考えることと同じです。あきらめずに挑み続ける農家たちの姿は、希望と知恵にあふれており、決して他人事ではありません。日々の生活の中で当たり前にある「ごはん」について、今一度立ち止まって見つめ直すきっかけとなる番組です。食べることと生きること、その根本を問いかけてくる1時間。ぜひご覧ください。
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