H3ロケット宇宙への激闘〜革命エンジンに挑んだ技術者たち〜
2025年5月3日(土)19時30分から、NHK総合「新プロジェクトX」で『H3ロケット宇宙への激闘〜革命エンジンに挑んだ技術者たち〜』が放送されます。この回では、日本の宇宙開発を大きく前進させたH3ロケットの開発物語に迫ります。H3ロケットは開発期間に10年をかけ、150社以上の企業が力を合わせて完成させました。2023年2月の打ち上げ成功は、多くの人々に希望を与え、日本の技術力の高さを世界に示すものとなりました。特に注目されるのは、常識破りの「燃焼器二段燃焼サイクル」という新しい燃焼方式に挑んだメインエンジン開発です。
放送後には、さらに詳しい内容をもとに情報を追記する予定です。
H3ロケットとは?〜30年ぶりに誕生した次世代ロケット〜
H3ロケットは、前モデルのH-IIシリーズから数えて約30年ぶりとなる、日本発の新型大型ロケットです。これまでのH-IIA、H-IIBを超える新たな目標を掲げ、次のような特徴を持っています。
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世界基準の大型化と低コスト化の実現
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安全性と信頼性をさらに高めた設計
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打ち上げ作業の効率化によるスピードアップ
このロケットの開発には、JAXA(宇宙航空研究開発機構)を中心に、三菱重工業、IHIエアロスペースなどの国内トップクラスの企業が力を合わせました。H3ロケットの打ち上げ成功は、日本の宇宙開発が新しいステージに進んだ証です。とくに注目されたのは、コストを大きく下げながらも、大型衛星の打ち上げを可能にしたことです。
さらに、H3ロケットは次のような役割も期待されています。
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災害監視や地球環境観測
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世界中へのインターネット通信網の構築
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月探査や深宇宙探査への貢献
これらを実現するために、H3ロケットは設計段階から工夫が凝らされ、柔軟な運用ができるように設計されています。まさに未来への扉を開く存在なのです。
革命的メインエンジン「LE-9」開発への挑戦
H3ロケット開発において、最大の試練となったのがメインエンジン「LE-9」の開発でした。従来のロケットエンジンでは実現が難しかった、「燃焼器二段燃焼サイクル」という新方式に挑戦したのです。
この燃焼方式は、燃料を2回に分けて燃やすことで、より高い燃焼効率を得ることができる夢の技術です。しかし、それだけにリスクも高く、次のような困難に直面しました。
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小さな誤差でもエンジン全体が破損する危険
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想定外の燃焼不具合が連続して発生
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部品の耐久性不足による連続的な試験失敗
この挑戦には、新素材の導入も必要でした。高温に耐え、長時間稼働できる新しい合金を開発し、何度も設計を見直しました。開発チームは、毎回の失敗を分析し、一歩一歩問題をつぶしながら進んでいきました。
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部品の一つひとつを徹底的に改良
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設計思想そのものを根本から見直す
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世界に例のない技術の壁に、何度も挑戦
このような苦闘の末、LE-9エンジンは完成し、世界最先端のロケットエンジンとしてH3ロケットの成功を支えました。
リーダー岡田匡史の覚悟とリーダーシップ
プロジェクト全体を指揮したのは、JAXAの岡田匡史(おかだ まさし)さんです。岡田さんは過去、大型ロケット開発で失敗を経験しており、その悔しさを胸に今回のH3プロジェクトに取り組みました。
岡田さんのリーダーシップには、次のような特徴がありました。
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絶対にあきらめないという強い意志
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若手技術者に対する深い信頼と育成
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プロジェクト全体を俯瞰しながら細部まで目を配る姿勢
技術的な失敗や予算の厳しさ、世間からのプレッシャーなど、数えきれないほどの試練がありましたが、岡田さんは一度も逃げることなく、常に前を向き続けました。その姿勢がチーム全体に勇気を与え、最終的な打ち上げ成功へとつながったのです。
三菱重工・IHIなど日本中の技術者たちの結集
H3ロケット開発には、三菱重工業、IHIエアロスペースをはじめ、日本各地から150社以上の企業が参加しました。それぞれの企業が自らの得意分野を活かし、次のような役割を果たしました。
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三菱重工業:ロケット機体全体の設計・製造を担当
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IHIエアロスペース:LE-9エンジン部品の開発と耐久試験を担当
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その他の企業:新素材開発、電子機器、センサー類の供給
彼らは、失敗を恐れず何度も試験を繰り返し、問題があれば即座に修正するという、地道で粘り強い作業を続けました。部品一つを作るだけでも数百回の改良試作が行われたものもありました。小さな努力の積み重ねが、大きな成功を呼び寄せたのです。
H3ロケットが切り開く未来
H3ロケットの成功は、単なる「ロケットが飛んだ」という話ではありません。これから日本が世界に向けて存在感を示すための、大きな第一歩です。
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世界の商業衛星市場に本格参入
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地球規模の災害対策や環境監視への貢献
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月・火星探査など深宇宙ミッションへの布石
これらのプロジェクトは、すべてH3ロケットの成功があってこそ進めることができます。今後の日本の宇宙開発をリードする存在として、H3ロケットはさらに重要な役割を担っていくことでしょう。
この記事は放送前の情報をもとに作成しています。放送後、さらに詳しいエピソードや技術の裏側について、最新情報を追記する予定です。どうぞご期待ください。
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