記事内には、広告が含まれています。

NHK【クローズアップ現代】動物愛護と伝統文化が衝突?東北輓馬大会に刑事告発の波|2025年5月27日放送

クローズアップ現代

文化か虐待か 動物行事で刑事告発相次ぐ

日本各地に古くから受け継がれる動物を扱う伝統行事。田畑を耕すために活躍した馬や牛は、人々の生活に欠かせない存在でした。そうした動物たちへの感謝や信仰の表れとして、各地で動物神事や祭りが行われてきました。しかし近年、動物愛護への意識の高まりとともに、これまで当然とされてきた行事が問い直される時代を迎えています。

2025年5月27日放送の『クローズアップ現代』では、伝統か、それとも虐待かというテーマで、東北の馬を使った行事をめぐる現状と議論を紹介。刑事告発が相次ぐ事態となった背景に何があるのか、主催する自治体と告発を行った団体のそれぞれの思いを取材し、「守るべき伝統」と「見直すべき行為」の境界線について考えていきます。

馬と共に歩んだ日本の農村文化

日本の農村では、昔から動物の力を活用して生活を支えてきた歴史があります。特に東北地方では、広大な農地を耕すために、牛や馬が貴重な労働力として活躍してきました。田畑を耕す「耕運作業」や、収穫物の「運搬作業」、さらには水田の「代かき」など、あらゆる農作業の現場に馬がいたのです。

牛や馬は「農家の一員」として家族同様に大切にされてきた
・耕作地が山間部や雪深い地域に多い東北では、馬の力強さと持久力が不可欠だった
・春には田をならし、夏には荷を運び、冬には雪をかき分けて人々の暮らしを助けた

このようにして馬は単なる道具ではなく、人々の生活に深く根付いた存在でした。農家の人々は、日々の労働を共にする馬に対して自然と感謝と敬意の気持ちを抱くようになりました。その思いはやがて、馬をねぎらう「馬まつり」や「馬頭観音の供養」といった形になり、行事として各地に根付きます。

旧暦の農閑期に馬をねぎらう行事が多く開催されていた
・代表的な行事には、岩手県の「チャグチャグ馬コ」や宮城県の「輓馬大会」などがある
・それぞれの行事には、馬を装飾したり、無病息災を祈る風習が今も残っている

これらの行事は、ただの祭りではなく、馬とともに生きてきた歴史そのものを表す文化的な象徴です。そして今もなお、地域の人々がこの伝統を守ろうとする姿勢は、動物との共生のかたちを今に伝えています。

東北輓馬(ばんば)競技大会とは

宮城県涌谷町で開催される「東北輓馬(ばんば)競技大会」は、1939年に始まった伝統ある行事で、今もなお多くの人々に受け継がれています。戦後の混乱期を含めて何度も中断の危機がありましたが、地域住民の努力によって80年以上にわたって続けられてきました。この大会では、馬が鉄製のそりに重りを乗せて引き、斜面や障害物を乗り越えて進む速さや力強さを競います。

馬の瞬発力と持久力、そして調教師との息の合った動きが評価される競技
・出場馬は特別な訓練を受けており、出場は名誉とされている
・毎年春に行われ、町内外から多くの観光客が訪れる地域の目玉イベント

馬に装飾を施し、鮮やかな引き綱をかけた姿は見ごたえがあり、地域の誇りとして写真や映像でも広く紹介されています。また、競技そのものだけでなく、周辺で開催される地元の物産市や伝統芸能披露などもセットとなっており、観光振興や地域活性化の一環として重要な役割を果たしてきました

ところが、2024年の大会である行為が波紋を呼びます。競技中に馬を手綱でたたくような仕草が確認され、それが動物の虐待にあたるのではないかと問題視されました。これを受けて、動物愛護団体「ライフ・インベスティゲーション・エージェンシー(LIA)」が関係者を刑事告発。このニュースは瞬く間に広まり、全国的な議論を巻き起こしました。

・LIAは「行為が動物愛護法違反にあたる」と主張し、映像をもとに告発
・地元では「伝統文化への干渉ではないか」との声も上がり、賛否が分かれた
この件をきっかけに、大会の運営や馬の扱いに対する目が一段と厳しくなった

この事件は、長年続く伝統と、現代の倫理観との間にあるズレを浮き彫りにしました。そして、それは一地域の問題にとどまらず、日本各地に残る動物を扱う行事全体に問いを投げかけるものとなっています。

告発とその波紋

2024年の「東北輓馬競技大会」をめぐって、動物愛護団体ライフ・インベスティゲーション・エージェンシー(LIA)が大会関係者を刑事告発したことは、地元と全国に大きな波紋を広げました。LIAは、馬が競技中に手綱でたたかれる様子を撮影した映像をもとに「動物虐待の疑いがある」として告発に踏み切ったのです。

・告発対象は、実際に馬を扱っていた調教師や運営関係者
映像には馬が立ち止まった際に、進行を促すために強く引かれる場面が含まれていた
・LIAは「苦痛を与えてまで競技をさせるのは虐待だ」と強く主張

告発を受けて、地元警察が動物愛護法違反の疑いで捜査を開始。関係者への事情聴取や映像分析が行われましたが、最終的には「違法性は認められない」として不起訴と判断されました。この結論により法的な問題はひとまず決着したかに見えましたが、地域社会では大きな分断が残される結果となりました。

・地元の一部住民からは「伝統文化を理解せずに外部から口を出すな」という批判の声
・一方で、「今の時代に合っているとは言い難い」として行事の見直しを求める声も増加
メディアやSNSでも賛否両論が飛び交い、全国的な注目を集める事態に

特に問題視されたのは、伝統行事が刑事事件として取り扱われたことの影響力です。これにより、他地域の同様の行事にも疑いの目が向けられるようになり、一部では自粛や中止の判断が迫られるケースも出始めました。涌谷町にとっては、「文化の継承」と「時代の価値観」とのバランスに、これまでにない困難な判断を迫られることになったのです

伝統行事と動物愛護の間で

涌谷町にとって「東北輓馬競技大会」は、地域の誇りであり、馬と共に生きてきた歴史を象徴する大切な行事です。町民の間には、長年この大会を支えてきた思い入れが強く、単なる娯楽イベントではなく、文化と信仰の表れとして大切にされてきました。祭りの開催にあたっては、地元の農家や馬主、若者たちが一体となり、馬の手入れや訓練を数か月かけて丁寧に行うなど、行事全体が地域の絆を育む役割も担っています。

・涌谷町では「馬と人が共に歩んだ証として行事を残したい」という声が根強い
・実行委員会も、安全管理や馬の扱い方に配慮しながら続けていく方向で検討中
・一部では、馬に過度な負担をかけないルール改正や指導の強化も始まっている

しかし、時代の流れとともに、動物福祉という新たな視点も無視できないものとなっています。特に若い世代を中心に、「伝統だからといって全てが許されるわけではない」という意識が広がってきており、古い価値観とのすれ違いが顕在化しています。

その象徴ともいえるのが、三重県桑名市の「上げ馬神事」です。この行事では、急な坂を馬が駆け上がる様子が見どころでしたが、度重なる骨折事故が問題となり、全国から批判が集中しました。最終的に主催側は、坂の傾斜を緩やかにし、馬の安全に配慮した新しい形へと見直す判断を下しました。

・上げ馬神事では「伝統を守るために、変える勇気を持った」
・その姿勢は他の地域にも影響を与え、行事と動物福祉の共存に向けたモデルケースとも言える

こうした事例を通じて、日本各地で伝統と現代の倫理観の間に横たわるギャップが浮かび上がってきました。今後、涌谷町をはじめとする多くの地域では、行事を続けながら、動物への配慮をいかに組み込んでいくかが大きな課題となるでしょう。これは単なる地域の問題ではなく、私たちが文化と命にどう向き合うかという問いでもあるのです

番組が注目するポイント

・伝統文化としての価値と、それに伴う現代的な倫理の衝突
・刑事告発という法的手段を取るに至った背景
・告発された側、そして告発した団体のそれぞれの主張
・今後、伝統行事はどのように進化すべきか

これらを明らかにすることで、動物と人が共に生きる社会のかたちを問い直す番組になりそうです。

まとめ

「文化か虐待か」という重い問いに向き合う『クローズアップ現代』。
時代の価値観が変わる中で、伝統をただ守るだけでなく、見直す勇気も必要なのかもしれません。
私たちは何を大切にして、何を変えていくべきなのか。放送を通じて一緒に考えるきっかけになることでしょう。

放送後にはさらに詳細な情報をお届けする予定です。
この記事の内容は予告段階のものであり、放送内容と異なる場合があります。
放送後の最新情報も追記していきますので、ぜひご覧ください。

コメント

  1. ちょっと一言 より:

    この様な伝統文化より、お金儲けの為の競馬などは告発しないのかな?
    大勢の人間を敵に回すのは怖いのですねキット。

  2. 速水均 より:

    動物愛護も理解できるのですが 告訴したあとこの主役の動物はどうする 365日大切に育て晴れの舞台でみんなに見てほしいと 育ての家族の思いも理解出来ないのかな 祭り中止でこの子達の活躍する場が無くなると 子孫もいらないから この子達の子孫は 未来も考えられたいいのに 動物も虐待可哀想だけど 世界の何処かで生きて行けない人間に興味ないのか それのほうが不思議 

タイトルとURLをコピーしました