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【NHKクローズアップ現代】全国1000の市町村で出産施設ゼロ!?分べん空白地帯の現状と安心して子を産める仕組みとは|2025年2月26日放送

社会

“分べん空白”列島 安心して子を産める仕組みは?|2025年2月26日放送

全国の約1,000の市町村、つまり日本の半数以上の地域で、病院や診療所などの出産施設がなくなっていることが明らかになりました。これにより、多くの妊婦が近くで分べんできず、遠くの病院まで移動しなければならない状況になっています。特に地方では、片道1時間以上かけて病院へ行く必要があるケースも多く、出産間近の妊婦にとっては大きな負担になっています。

医療機関の減少により、通院が困難になった結果、移動中の車内で出産してしまうケースも発生しています。こうした「分べん空白地帯」の広がりは、産婦人科医の不足や医療機関の経営難、人口減少などが影響しています。政府は出産費用の軽減や産科医の確保などの支援策を進めていますが、実際には財源の問題や医療の質を維持できるかといった課題も多いのが現状です。

この問題の背景や影響、安全に子どもを産めるための仕組みについて詳しく解説します。

分べん空白地帯が広がる背景

出産施設が減少している主な原因には、次のようなものがあります。

  • 産科医の不足
    産婦人科医は、夜間や休日の緊急対応が多く、負担が大きい仕事です。そのため、産婦人科を希望する医師が減少し、地方では医師が確保できずに病院が分べんの取り扱いをやめるケースが増えています。

  • 医療機関の経営難
    出産を扱う病院や診療所の多くは、経営が厳しい状況にあります。特に地方では分べん件数が少なく、病院側にとっては「分べんを続けるほど赤字になる」という問題もあり、産科の閉鎖が相次いでいるのが現実です。

  • 人口減少と医療縮小
    地方では人口減少が進んでおり、それに伴って病院そのものが減っている地域もあります。かつては分べんできた町でも、出産施設がなくなり、妊婦が他の市町村へ行かなければならなくなったというケースが多発しています。

分べん施設がないことで生じる問題

出産施設がなくなることで、妊婦やその家族に大きな影響が出ています。

  • 通院や移動の負担が増大
    分べん施設のない地域の妊婦は、検診のたびに長時間の移動を強いられます。特に冬場は、雪の影響で移動がさらに困難になり、適切なタイミングで受診できないこともあります。

  • 出産時のリスクが増加
    病院までの距離が遠いため、移動中に陣痛が進んでしまい、病院に着く前に出産してしまうケースも報告されています。これにより、適切な医療処置を受けられず、母子ともにリスクが高まる可能性があります。

  • 地域間の医療格差の拡大
    都市部では充実した医療サービスを受けられる一方で、地方では「そもそも出産できる病院がない」という状況になっており、地域ごとの格差が広がっています

国の支援策とその課題

政府は、分べん施設の減少を防ぐために、いくつかの支援策を打ち出しています。

  • 出産育児一時金の増額
    出産費用の一部を補助する「出産育児一時金」が増額され、妊婦の経済的負担が軽減される見込みです。

  • 出産費用の保険適用
    現在、日本では出産費用は健康保険の適用外ですが、政府は2026年度をめどに保険適用を検討しています。これにより、妊婦の自己負担額が減ることが期待されています。

  • 地域医療の支援強化

    • 産科医を地方の病院へ派遣する
    • 産科医の待遇を改善し、地方でも働きやすい環境をつくる
    • 助産所の支援を強化し、病院以外でも出産できる環境を整備

しかし、これらの支援策にはいくつかの課題もあります。

  • 医療費の増加による財政負担
    保険適用が拡大すれば医療費全体が増加し、財政的な負担が増える可能性があります。

  • 医療機関の収益低下
    診療報酬の設定によっては、産科を続ける病院の収益が下がり、結果として「分べん施設の撤退が進む」という逆効果になる可能性もあります。

  • 都市と地方の格差が広がる可能性
    全国で一律の支援が行われても、地方では医師が不足しているため、根本的な解決にはならない可能性があります。

安心して子どもを産める仕組みとは?

出産施設の減少を防ぎ、すべての妊婦が安心して出産できる環境を整えるためには、次のような取り組みが必要です。

  • 地域ごとの出産支援体制の整備
    産科医の派遣や助産所の増設など、地域ごとに適した方法で分べん環境を整えることが大切です。

  • 移動支援の充実

    • 遠方の病院で出産する妊婦に対する宿泊支援
    • 陣痛タクシーの拡充
    • 緊急時の移動医療サービスの導入
  • 妊婦の経済的負担を軽減
    出産費用の保険適用だけでなく、妊婦健診の費用負担を減らすことも必要です。また、産後ケアの支援も充実させることで、より安心して出産できる環境が整います。

まとめ

日本では、出産施設のない「分べん空白地帯」が広がり、妊婦が長距離移動を強いられる状況になっています。政府の支援策が進められていますが、財政負担の増加や医療の質の維持などの課題も多く、地域ごとに適した対応が求められています。

医療機関の支援強化、移動支援、出産費用の軽減など、複数の対策を組み合わせることで、すべての妊婦が安心して出産できる社会をつくることが重要です

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