記事内には、広告が含まれています。

NHK 【ステータス】前澤友作×アイザックマン×VASTの最前線!民間宇宙旅行の現在地|2025年6月18日放送

テクノロジー・科学

宇宙旅行の最前線に密着!民間人が夢見る宇宙の旅とは

2025年6月18日放送のNHK総合「ステータス」では、究極の旅先として注目される「宇宙旅行」が特集されました。世界中で広がる民間宇宙旅行の現状に迫り、実際に宇宙を目指すディレクター・飯塚淳さんの奮闘や、宇宙旅行を体験した著名人の証言が紹介されました。番組は、100億円以上の費用をかけて宇宙を目指す人々の姿を通じて、地球外への旅が「夢」から「現実」へと変わりつつあることを伝えました。

本格的な宇宙旅行体験者・前澤友作さんとの対話

番組の最初に登場したのは、民間人として本格的な宇宙旅行を成し遂げた実業家・前澤友作さんでした。ディレクターの飯塚さんが宇宙旅行を目指すにあたって、まず話を聞きに向かったのが前澤さんで、その体験談からは多くのリアルな宇宙の様子が伝わってきました。

前澤さんは、2021年にアメリカの宇宙企業の誘いを受け、国際宇宙ステーション(ISS)へ渡航しました。このとき、日本人として初めて民間人でISSに滞在した人物となり、大きな話題を呼びました。宇宙へ行くには特別な訓練が必要で、前澤さんは半年間にわたる厳しい訓練プログラムをこなし、宇宙での生活に備えました。

宇宙に出てからは、1日の中で地球の周回により16回もの「日の出」と「日の入り」を体験しました。これはISSが地球を約90分で1周する軌道にあるためで、地球の大気と光が織りなす変化に富んだ風景を何度も見ることができる環境です。

また、前澤さんが利用したのはロシアの「ソユーズ」宇宙船で、打ち上げから帰還までの工程すべてに高い安全性と技術が求められます。費用は明確には語られませんでしたが、番組内では国際宇宙ステーションに2週間滞在するためには100億円ほどかかると紹介されており、前澤さんもそれに近い額を自己負担したと推測されます。

以下のような点から、前澤さんの宇宙旅行は「本格的」と言える内容でした。

  • 訓練期間:約半年間

  • 渡航手段:ソユーズ宇宙船

  • 滞在先:国際宇宙ステーション

  • 滞在期間:約12日間(報道基準)

  • 体験内容:1日に16回の「日の出・日の入り」、無重力体験、宇宙からの地球観察

このように、単なる観光ではなく、訓練・生活・移動すべてにおいて宇宙飛行士に近い行程を経たことが印象的でした。前澤さんの体験は、これから宇宙を目指す民間人にとって大きな道しるべとなるものでした。

気球による成層圏旅行の可能性と現実

飯塚ディレクターが次に目を向けたのは、「気球で宇宙へ行く」という新しい形の体験型旅行でした。このプランは、アメリカのベンチャー企業が発表したもので、宇宙旅行のハードルを下げる手段として注目されています。宇宙空間とはいえませんが、高度約30kmの成層圏に到達することで、地球の曲線や宇宙に近い景色を楽しむことができるという内容です。

この旅行の特徴は以下の通りです。

  • ロケットや宇宙服は不要

  • 普段着のまま搭乗可能

  • 搭乗中に食事が楽しめる

  • 訓練が不要

  • 静かな上昇で揺れも少ないとされる

  • 費用はおよそ12万5000ドル(日本円で約1800万円)

飯塚さんは、この旅行についての説明会に東京・銀座で参加しました。会場では、美しい地球を見ながら過ごす体験や、贅沢な空間での滞在に関するプレゼンが行われ、まるで未来の観光のような夢のある提案に期待が集まりました。

しかし、その2日後の2025年1月24日、驚きのニュースが舞い込みます。旅行を企画した企業「スペース・パースペクティブ社」が家賃の滞納により立ち退きを命じられたのです。これにより、信頼性に疑問が生じた飯塚さんは、真相を確かめるためアメリカ・フロリダ州の本社を訪ねることにしました。

現地に到着した飯塚さんが目にしたのは、すでに空っぽとなったオフィスビルでした。看板も人の気配もなく、説明会で見せられた夢とは正反対の現実がそこにありました。企業の活動実態がないまま高額なツアーを販売していた可能性も否定できず、対応に追われることになったのが、日本側の代理店です。彼らは、旅行を希望していた顧客に対して、返金などの処理に奔走していると紹介されました。

この一連の出来事は、宇宙旅行がまだ発展途上であることを示しており、とくに「民間企業による宇宙ビジネス」が安定していない場合もあるという現実を浮き彫りにしました。ロマンだけでなく、企業の信頼性や体制、法的整備の有無などをしっかり見極める必要があるという教訓が残されました。

宇宙旅行のタイプと高松聡さんの体験

スタジオには、宇宙への情熱を抱き続ける写真家・高松聡さんが登場しました。彼は自らも宇宙旅行を目指してきた経験を持ち、その視点から宇宙旅行の主な3つの種類をわかりやすく説明しました。近年の宇宙旅行は技術の進歩により、複数の形で一般人にも門戸が開かれつつあります。

紹介された宇宙旅行のタイプは以下の通りです。

  • 国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する本格派タイプ
     前澤友作さんが体験したように、宇宙飛行士と同じようにISSで過ごすスタイルです。費用も高額で、長期の訓練が必要となります。

  • 弾道飛行による短時間型の宇宙旅行
     地上から打ち上げられ、約100kmの高さまで到達した後にすぐ戻るスタイルです。わずか5分程度の無重力体験が可能で、所要時間は2時間ほど。ブルーオリジン社などがこの方式を採用しています。

  • 気球で成層圏まで上昇する「亜宇宙旅行」
     今回VTRで取り上げられたような、30km付近の高度に気球で上がる体験です。宇宙空間までは到達しないため、「宇宙旅行」とは区別して**「亜宇宙旅行」**とも呼ばれます。普段着で参加できる手軽さが魅力です。

これらの違いは、高度・滞在時間・体験できる現象(無重力など)・費用・訓練の有無などに表れます。どのタイプも非日常的な体験ですが、求める内容によって選ぶべきスタイルが変わってきます。

高松さん自身もかつて、宇宙旅行への強い思いからある企業の旅行プランに申し込みました。しかし、その企業は後に経営破綻し、実現することは叶いませんでした。この経験を通じて、宇宙旅行という夢の裏にあるリスクや現実を語ってくれました。

宇宙は今や一部の科学者や軍人だけのものではなくなりつつありますが、その道のりはまだ簡単ではありません。信頼できる企業の選定や事前の調査が、今後さらに重要となることがうかがえました。

スペースXとアイザックマンに迫る

宇宙旅行の現実を追い続ける飯塚ディレクターは次に、注目の人物ジャレッド・アイザックマン氏に焦点を当てました。彼はアメリカの実業家でありながら、自らの資金で2度の宇宙旅行を成功させた数少ない民間人の一人です。しかもその両方のミッションで利用したのが、イーロン・マスクが率いるスペースX社の宇宙船でした。

アイザックマン氏の行動は、スケールも発想も桁違いでした。

  • 宇宙船の1席約55億円のチケットを4席分まとめて購入

  • 残りの3席を、一般公募や抽選などで選ばれた仲間たちに提供

  • 2021年と2024年のミッションで宇宙へ飛び立ち、民間人としては初となる船外活動も実現

このように、ビジネスだけでなく宇宙開発においても強い影響力を持つ存在として、その名は広く知られるようになりました。

飯塚さんは、そんなアイザックマン氏が実際に乗船した宇宙船やロケットを目にするため、スペースXの製造・打ち上げ拠点であるアメリカ・テキサス州のスターベースを訪問。ここは、世界最大級のロケット「スターシップ」の開発・実験が行われる場所でもあります。

現地に到着した飯塚さんは、遠目に巨大ロケットの実物を見ることができたものの、施設内に立ち入ることは許可されておらず、外部からの視察にとどまりました。それでも、最先端技術が集結したこの場所の空気感やスケール感は圧倒的で、宇宙ビジネスがいかに現実的な産業として進化しているかが肌で感じられる訪問となりました。

スペースXは単なる宇宙旅行だけでなく、将来的には月や火星への移住計画も視野に入れている企業です。民間人が宇宙へ向かう時代の主役ともいえるスペースXと、個人の力でその道を切り拓いたアイザックマンの姿は、宇宙がこれまで以上に近づいていることを象徴するものでした。

次世代宇宙ステーションVASTの可能性

宇宙旅行の未来を探る旅の中で、飯塚ディレクターが訪れたのはアメリカ・カリフォルニア州に本拠を構える新興企業VAST社でした。この企業は2021年に設立されたばかりですが、既に次世代宇宙ステーションの開発を手がけており、将来の民間宇宙活動を大きく変える存在として注目されています。

VAST社では、実際の宇宙空間に近い形での体験ができるVRシステムを導入しており、飯塚さんもこの技術を使って、未来の宇宙ステーションを仮想的に体験しました。広がる空間や内部の構造、設備の使い方までリアルに再現されており、民間人でも宇宙での暮らしを具体的にイメージできる設計となっていました。

この訪問時、偶然にもVASTのCEOがオフィスに滞在していたことで、飯塚さんは直接話を聞く貴重な機会を得ます。CEOは、企業が目指す将来像や開発の進捗状況を説明するとともに、VASTが宇宙旅行の拠点ではなく、地球外での“生活の場”を提供することを目指していると語りました。

また、VAST社は以前からジャレッド・アイザックマン氏に高く評価されており、彼の支援や助言がプロジェクトの成長に大きく影響しているとのことでした。社内では、アイザックマンがNASAの長官候補に選ばれたというニュースが話題になっており、大きな期待と興奮に包まれていました。

なお、この長官候補への指名はドナルド・トランプ前大統領によるものであり、政治的な背景も含めて、宇宙開発における民間と政府のつながりが一層深まっていることを示す象徴的な動きとして取り上げられていました。

VASTのようなベンチャー企業の登場は、宇宙ステーションが国家の専有物ではなくなりつつあることを示しており、民間主導による“第2の宇宙開発時代”の幕開けを感じさせるものでした。

宇宙旅行の先駆者デニス・チトー夫妻との出会い

宇宙旅行の実現に向けて取材を続ける中、飯塚ディレクターは行き詰まりを感じていました。そんなとき、スタジオゲストの高松聡さんが紹介してくれたのが、民間人として初めて宇宙へ行った実業家・デニス・チトー氏と、その妻で日本人の章子(あきこ)チトーさんでした。2人はアメリカ・ロサンゼルスで暮らしており、宇宙に関わる生活を日常的に送っています。

デニス・チトー氏は2001年、ロシアのソユーズ宇宙船を使って国際宇宙ステーションに渡航し、歴史を塗り替えました。彼のこの挑戦が、民間による宇宙旅行の可能性を世界中に示したといっても過言ではありません。

一方、妻の章子さんは元銀行員でありながら、現在は実業家としても活躍。さらに彼女は自らプライベートジェットを操縦する技術も持ち、自宅には本格的な航空シミュレーターまで設置されています。このように、地上でも空でも自由に動く力を備えている夫婦です。

2人は現在、月へのハネムーン旅行を計画中。これは単なる夢ではなく、実際に実現可能な目標として捉えている様子で、計画の具体性も感じられました。飯塚さんがこの旅に同行して映像記録を撮りたいと申し出ると、チトー夫妻は前向きに検討する姿勢を見せてくれました

宇宙旅行というと、特別な訓練や大企業の支援が必要なイメージがありますが、個人の意志と資金で未来を切り拓いたチトー夫妻の存在は、まさにその常識を打ち破るものでした。長年にわたって民間宇宙旅行の可能性を信じて行動し続ける2人の姿勢は、これから宇宙を目指すすべての人にとって希望となるものでした。

宇宙飛行士も訪れるレストランでの締めくくり

宇宙を追いかけてアメリカ各地を巡ってきた飯塚ディレクターは、帰国を前に最後の取材地としてテキサス州ヒューストンを訪れました。この街にはNASAのジョンソン宇宙センターがあり、アメリカの宇宙開発の中心地として知られています。

そこで立ち寄ったのは、宇宙飛行士たちが集うイタリアンレストラン。この店は、長年にわたり宇宙飛行士たちの憩いの場として親しまれてきた名所です。店内の壁には、これまで店を訪れた数々の宇宙飛行士たちの写真が所狭しと飾られており、宇宙開発と地域の日常がつながっていることを象徴する空間となっていました。

中でも目を引いたのは、日本人宇宙飛行士・毛利衛さんや若田光一さんの写真です。日本から宇宙へ挑戦した人々の足跡が、こうした場所にもしっかりと刻まれており、宇宙が遠い存在ではなくなってきていることを感じさせます。

また、ジャレッド・アイザックマン氏もこの店を訪れたことがあると紹介されており、民間宇宙旅行の流れが、宇宙飛行士の文化にも溶け込みつつあることがわかりました。このレストランはただの飲食店ではなく、宇宙と地球の交差点のような場所として、宇宙を志す人々の心を支えているのかもしれません。

飯塚さんの長い取材の旅は、この静かな空間で一つの区切りを迎えました。最先端の科学技術や巨大なロケットのそばでなくとも、人々の思いや夢が確かに息づいている場所が存在する――それを感じさせる締めくくりの場面となりました。

地球を見つめ直す旅の先に

番組の最後では、高松聡さんが宇宙旅行の真の目的として「地球を外から見つめ直すこと」の大切さを語りました。宇都宮から世界へ、そして宇宙へ。その道のりを歩む中で感じたのは、日本や地球の良さに気づき、国籍を超えて「地球人」という意識を広めたいという想いでした。飯塚さんの宇宙を追う旅は、視聴者にとっても「今、自分はどこへ行きたいのか」を考えさせる深いテーマとなりました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました