NHK【シン・ギョーカイシーン】VTuberがカラオケを採点！？音程補正機能・映像の工夫・100点テクまで“歌うまギョーカイ”の進化を深掘り｜2025年6月10日放送

歌うまギョーカイの裏側が明らかに！

NHK総合の「シン・ギョーカイシーン」では、カラオケの“歌うま”を支えるプロたちに密着し、その世界の裏側に迫りました。日本発祥のカラオケは、コロナ禍で利用者が減った時期を乗り越え、今ではV字回復。番組では、カラオケの採点や音源制作、映像演出まで、歌うまギョーカイの知られざる工夫が紹介されました。

声の魔術師たちが支える「歌うまギョーカイ」とは

歌うまを裏で支えるプロたちの存在

番組で紹介された「歌うまギョーカイ」とは、カラオケ業界の中でも特に“歌うま”を影で支える専門職のことです。具体的には、ガイドボーカリスト・カラオケ機器メーカーの音源制作者・カラオケ100点アドバイザーの3つの役割を中心に取り上げていました。それぞれのプロが、まるで“声の魔術師”のように見えない努力と知恵で歌う人のパフォーマンスを後押ししているのです。

ガイドボーカリストの技術と工夫

中でもガイドボーカリストは、カラオケ機器で再生される“お手本の歌声”を録音する仕事です。見た目には分かりにくいですが、正確な音程、抑揚、息づかい、音色のコントロールなど、緻密なテクニックが詰まった仕事です。カラオケユーザーは無意識のうちにこの声に導かれながら歌っているため、完成度の高いガイドボーカルは、利用者の歌唱力にも影響を与えているのです。

歌唱の中でも特にポイントとなるのが、Bメロで音量を落としてスタミナを温存し、サビで一気に盛り上げるというダイナミクスのコントロールです。このように抑揚の付け方で曲の印象をぐっと引き立てることができます。さらに、フレーズの語尾の音程をほんの少し上下させるだけで、まるで一流アーティストが歌っているような表現力が生まれます。

採点を意識した「未来のバー」とは

カラオケの画面に表示される縦のバー、いわゆる「未来バー」を意識することも大切です。これは次にどの高さの音を出すかを示すもので、このバーを先読みすることで、音程のズレを防ぎ、安定した歌唱につながると紹介されていました。特に、歌い出しの音程が重要で、最初で外してしまうとその後も引きずることがあるため、未来バーの活用は歌う上での強い味方です。

このように、「歌うまギョーカイ」のプロたちは、単に技術を教えるだけではなく、“気持ちよく歌える環境”を整えることに心血を注いでいることが分かりました。彼らの仕事があるからこそ、カラオケは今もなお多くの人に愛され続けているのです。

気持ちよく歌えるカラオケ音源の秘密

歌いやすさを最優先にした音源づくり

カラオケで流れる音源は、実はただの原曲ではなく、プロの手で再構築された“歌いやすさ重視”の特別な音源です。番組では、1曲の制作にあたり11種類以上の楽器を一つ一つ聴き分けて、正確に再現する作業が行われていることが紹介されました。その作業は、ただ音を重ねるだけでなく、歌う人が気持ちよく声を乗せられるように調整することが目的です。

カラオケ機器メーカーでは、毎月およそ1000曲もの音源を制作しており、その一つ一つに細やかな工夫が施されています。ボーカルメロディが引き立つように他の楽器の音量バランスを変えたり、歌詞のタイミングに合わせてリズムを微調整したりと、見えない努力が積み重ねられています。

複雑化する現代の楽曲構成

さらに最近の楽曲では、1番と2番で構成やアレンジがまったく違うことも多く、再現には高度な技術が必要とされています。たとえばMrs. GREEN APPLEのようなバンドでは、音の構成が豊かで、コーラスやエフェクトも多彩なため、ただ耳で聞くだけでは再現が難しいとのことです。

そのため、音源制作では一音一音を丁寧に拾い上げて譜面に書き起こし、そこから再構築するという根気のいる作業が求められます。特に複雑な楽曲では、どの楽器がどこで主張するかまで意識しながら制作することで、カラオケでも自然な盛り上がりを再現できるのです。

このように、歌う人が気持ちよく、かつ高得点を目指しやすいカラオケ音源は、楽器ごとの調整や最新曲への対応といった、見えない努力によって成り立っています。まさに職人技の積み重ねが、気持ちよさを生み出しているのです。

記憶に残らないのが正解？カラオケ映像の工夫

“記憶に残らない”ことで長く使える映像に

カラオケの背景に流れる映像は、つい見過ごしてしまいがちですが、実はとても計算された映像づくりが行われています。番組で紹介されたのは、意図的に「記憶に残らないようにする」という、逆転の発想でした。その理由は、できるだけ時代や流行に左右されず、長く使える映像を作ることが目的だからです。

たとえば、スマートフォンや車、ファッション、髪型、化粧など、今の時代を感じさせるものは映さないようにしているとのことです。とくに看板やブランドロゴのような識別できるものは、できる限りフレームに入れない工夫がされています。もし一部が写ってしまうと、数年後には「古くさい」と感じさせる要因になってしまうためです。

ストーリーも“あえて”排除する

さらに、カラオケ映像では物語性を持たせないというルールもあります。これは、「次にどうなるか」が気になって歌に集中できなくなることを避けるためです。ストーリーがあると視聴者がそちらに引き込まれてしまい、歌唱の妨げになるからです。

そのため、映像は引きの画や長めのカットを多用し、感情を揺さぶらないシンプルな構成が基本です。たとえば、草原を歩く人、海辺に佇むシルエット、街を行き交う風景など、どこか“よく見かけるけど印象に残らない”映像が多いのは、まさに意図的な設計なのです。

このように、カラオケの背景映像は目立たず、気を散らさず、歌を引き立てるために作られた静かな名脇役なのです。何気ないようでいて、実はとても高度な工夫が詰まっています。

「計画歌唱」で100点は取れるのか？

綿密に組み立てられた“歌の設計図”

100点アドバイザーの牧野綾子さんが実践しているのが、「計画歌唱」という独自の手法です。これは、歌詞のすみずみまで分析し、ブレスの位置や抑揚の付け方、音程の変化、伸ばす長さまでを細かく設計して歌う方法です。番組内で紹介されたMISIAの「Everything」では、なんと210か所以上もの詳細なメモが用意されており、どこでどう歌うかが一目でわかるように工夫されていました。

この手法は、ただ感覚で歌うのではなく、“どう歌えば点数が上がるか”を明確に可視化した設計図のようなものです。プロがレコーディングで行うような細かな調整を、一般のカラオケでも応用できるようにした、まさに歌唱の攻略法です。

実践で見えたポイントと課題

番組では、タレントの吉村崇さんが実際に計画歌唱を使って「Everything」に挑戦しました。1回目の得点は93点、2回目は90点といずれも高得点を記録。残念ながら100点には届きませんでしたが、計画的なブレスによって息切れや声のブレが防がれ、音程の安定性が格段にアップしていた様子が放送されました。

とくに採点機能で重要とされるのが“音程の安定”と“歌い出しの正確さ”です。最初のフレーズで音を外してしまうと、その後の評価に大きく影響します。そのため、歌い始めからしっかりと計画を立てることが、高得点への近道になります。

このように、「計画歌唱」は、ただ楽しく歌うだけでなく、採点機能を活用して結果を出したい人にとって非常に有効な手段であることが証明されました。点数アップを目指す人にとって、ぜひ取り入れたいテクニックです。

世界へ広がるカラオケ文化と最新技術

進化するカラオケのかたち

カラオケは今や「歌う」だけの娯楽から、技術と融合した“進化系エンタメ”へと姿を変えつつあります。番組で紹介された最新の動きのひとつが、Vチューバーによる歌唱評価サービスです。画面に表示されたアバターが歌に対してリアルタイムで反応し、評価コメントやアドバイスをしてくれるという仕組みで、まるで一緒にステージに立っているような臨場感があります。歌うモチベーションが上がるだけでなく、自己分析のきっかけにもなると話題です。

さらに、自動で音程を補正してくれるカラオケ機器も登場しています。これは、歌っている間にわずかな音程のズレをリアルタイムで調整してくれる機能で、音程に不安がある人でも安心して歌えるというメリットがあります。緊張せずに思いきり歌えるようになったことで、カラオケ初心者にも優しい環境が整いつつあります。

海外でも注目される“日本のカラオケ文化”

こうした進化を遂げた日本のカラオケボックスは、今ではアジアやヨーロッパを中心に世界へと広がっています。たとえば、インドネシアやマレーシア、タイ、韓国などのアジア諸国だけでなく、フィンランドのような北欧の国々にも出店されているとのことです。防音ルームや個別モニター、タッチパネルによる操作など、日本ならではの“快適なカラオケ空間”が現地でも注目されています。

また、歌の採点機能やアニメソングの充実なども海外ファンに支持されており、日本の文化としての側面も強まっています。今後はさらにグローバルな広がりを見せ、多様な言語や文化に対応した新しいサービスも生まれていくことが期待されています。

カラオケは、音楽とテクノロジー、そして人の心をつなぐツールとして、これからも進化し続けていくのです。

歌うまギョーカイのプロたちが語る「歌うま」とは

番組の最後では、出演したプロたちがそれぞれの“歌うま”観を語りました。

それぞれの立場で、歌の魅力やそれに向き合う姿勢が感じられる言葉が紹介されました。

今回の放送は、カラオケがただの娯楽ではなく、たくさんの技術と工夫、情熱で成り立っていることを改めて実感できる内容でした。カラオケがもっと楽しくなるヒントが、たくさん詰まった30分でした。