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NHK【未来予測反省会】軽井沢ベアドッグ×AIクマ識別システム×キムンカムイの思想がつなぐ“人とクマの未来”|2025年10月28日

未来予測反省会
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山から街へ…“クマとの共生”を考える時がきた!

「最近、ニュースで“クマの出没”をよく耳にするけど、どうしてこんなに増えているの?」
「昔は山の奥にいたはずなのに、今では住宅街にまで現れるなんて怖い…」

そんな不安を感じている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、NHK総合『未来予測反省会』(2025年10月28日放送)で取り上げられたテーマ「日本のクマは絶滅する」をもとに、クマの“いま”と“これから”をわかりやすく解説します。

番組では、過去に「クマは絶滅する」と予測されたにもかかわらず、現実には全国で出没が相次ぐ理由を専門家とともに深掘り。
この記事を読めば、なぜクマが増えたのか、どうすれば人とクマが共存できるのかが見えてきます。

絶滅の危機から一転、クマは増えすぎている

番組の冒頭では、1991年に発行された『レッドデータブック』が登場しました。
そこには、ヒグマやツキノワグマが「絶滅の恐れのある野生動物」として掲載されていたのです。
当時は、北海道や東北地方でも個体数の減少が目立ち、「このままでは日本からクマがいなくなる」と危惧されていました。

しかし、その未来予測は30年後の今、大きく外れたことが明らかになりました。
クマは絶滅するどころか、むしろ増加し、2023年には捕獲数が9000頭を超えるほど。
しかも出没場所は山奥だけでなく、住宅地や学校、場合によっては市街地にまで広がっています。

番組に出演した北海道大学の間野勉は、当時ヒグマ研究グループに所属していた経験を回想し、
「現場の狩猟者に話を聞くと“クマなんて減ってない”と言われたが、実際には明らかに個体数が減っていた。
 ただ、“減った”と認めると狩猟禁止になるのを恐れて、本音を隠していた」と語りました。

こうした情報の食い違いが、正確な生息数の把握を難しくしていたのです。
その後、環境庁(現・環境省)が本格的な調査に乗り出し、北海道や本州では個体数が持ち直したものの、
九州ではツキノワグマの絶滅
が確認され、四国も“絶滅寸前”と記録されました。

なぜ「絶滅」から「増加」へ? 背景にあったのは“人間の変化”

クマの増加は、単に自然回復だけでは説明できません。
番組で注目されたのが、“人間の暮らしの変化”です。

かつて日本では、山と里の間に「里山」と呼ばれる緩衝地帯がありました。
人が薪を取ったり畑を耕したりすることで、人の生活と自然のバランスが保たれていたのです。
しかし、戦後の高度経済成長期以降、都市への人口集中が進み、地方は急速に過疎化しました。

農地が放棄され、人が住まなくなった集落の周囲では、森が再び広がりクマの棲みかが拡大
以前は人の気配を感じて山奥にいたクマが、今では住宅地のすぐ裏まで生活範囲を伸ばしています。
番組内でも専門家が「過疎化によって、逆にクマの生活圏を奪われているのは“人間のほう”だ」と指摘していました。

また、気候変動によるドングリやクリの不作も出没の一因。
山で食料が足りない年には、クマが人里の果物やトウモロコシ、スイカなどを狙って下りてくるケースが増えています。

クマが“人を恐れなくなった”理由

かつてクマは、人の気配を感じるとすぐ逃げていました。
ところが今では、クマが人間をナメるような行動を取ると専門家は言います。

番組で紹介されたのが、2019年の札幌市南区のヒグマ出没事件
1か月以上も住宅街に出没し続け、初めはサイレンや赤色灯に驚いていたクマが、
次第にそれらを“無害”と学習し、庭の果物や畑のトウモロコシを食べ荒らすようになったというのです。

さらに、岩手県北上市の専修大学北上高校では、校舎にまでクマが侵入する事態も。
環境省によると、2023年度のクマ出没件数は過去最多
「人を怖がらないクマ」が日本各地で増えているのです。

どうすればクマを“街に近づけない”でいられるのか

では、クマの出没を防ぐにはどうすればいいのでしょうか。
番組で専門家が強調したのは、「クマに人間を怖がらせることが大事」という点です。

現在、クマの捕獲には銃だけでなく、箱ワナくくりワナも多用されています。
例えば山形県では「有害捕獲は箱ワナに限る」と規定されており、地域ごとに対策方法が異なります。
ただ、捕獲=殺処分という形が多い現状に対し、
「殺す以外に方法はないのか」という声や、動物愛護の観点からの議論も盛んになっています。

一方で、長野県軽井沢では画期的な取り組みが行われています。
それが「ベアドッグ」と呼ばれる訓練犬による追い払い活動です。
クマを傷つけることなく山奥へ戻す方法で、2004年から導入。
専門の訓練士の指示で行動し、街に出たクマを追い返した後はすぐ帰還するという高い能力を持ちます。
この対策により、軽井沢ではクマによる被害が大幅に減少しました。

また、アメリカ・ネバダ州などでは、クマに壊されない構造のゴミ箱が設置され、
クマが学習して人里に寄りつかないよう工夫されています。
さらに、住民向けに「クマ撃退スプレー」の使い方講習が定期的に開かれており、
行政と地域が一体となって“クマとの距離の取り方”を学んでいます。

AIと人間の知恵が未来の共生を導く

近年ではAI技術を活用したクマ対策も始まっています。
自動撮影カメラで撮った映像をAIが分析し、何度も人里に降りてくる個体を識別。
「どのクマが危険なのか」「どの地域に頻繁に出没するのか」をデータ化し、
効率的な対策に結びつけようとしています。

AIによる画像認識でクマの行動パターンを把握できれば、
単なる“駆除”ではなく“共生”に向けた新しいアプローチが可能になります。

アイヌの知恵が教えてくれる“共生のヒント”

番組のラストでは、アイヌ民族のヒグマ観が紹介されました。
彼らはヒグマを「キムンカムイ(山の神)」として敬いながらも、
ウェンカムイ(悪い神)」として畏れの対象としても見ていました。
つまり、ただ神聖視するのではなく、自然の厳しさと危険性を理解した上で共存していたのです。

現代の日本では、クマを“かわいそう”か“怖い”かのどちらかでしか見ない傾向がありますが、
アイヌのように「自然の中で生きる存在として敬いながら、正しい距離を取る」姿勢が、
人とクマが共に生きる未来の鍵になると番組は結んでいました。

まとめ

この記事のポイントは以下の3つです。
・かつて絶滅危機とされたクマは、保護と過疎化によってむしろ増加している。
・クマが人間を怖がらなくなり、全国で出没が深刻化している。
・共生のカギは「人間への恐れを保つこと」と「自然との適切な距離感」。

クマの問題は、単なる“野生動物のニュース”ではなく、
私たちの暮らし方・自然との向き合い方を映す鏡です。
クマを排除するか守るか――その二択ではなく、
“どうすればお互いが安全に生きられるか”を考える視点こそ、これからの日本に求められています。

出典:NHK総合『未来予測反省会 日本のクマは絶滅する』(2025年10月28日放送)


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