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NHK【クローズアップ現代】弁護士にだまされた?着手金トラブル8000人・50億円の実態|2025年5月14日放送

クローズアップ現代

弁護士にだまされる?追跡!“着手金トラブル”

2025年5月14日(水)放送のNHK『クローズアップ現代』(19:30〜19:57)では、「弁護士にだまされる?追跡!“着手金トラブル”」と題して、全国で急増する着手金に関する弁護士トラブルの実態が取り上げられました。出演者はキャスターの桑子真帆さん、東京弁護士会 非弁提携弁護士対策本部の小早川真行弁護士、そして実際にこの問題に関わった当事者の一人である出原誠太郎さんです。被害者数は少なくとも8000人、被害総額は50億円以上とされる深刻な問題。その裏にある構造と実態が明らかにされました。

全国で急増する「着手金トラブル」の被害とは

弁護士に相談したはずが、かえって被害を広げてしまう“着手金トラブル”。番組では、弁護士が詐欺被害の回収をうたって着手金を受け取りながら、ほとんど対応をしないまま放置するという事例が複数紹介されました。被害者の多くは、すでに詐欺などの金銭的被害を受けており、その救済を求めて弁護士に依頼しています。しかし、契約した後は進捗の連絡もなく、結果的に「二重の被害」に遭うという深刻な事態に発展していました。

NHKの独自調査によると、過去4年間で全国11人の弁護士が懲戒請求や弁護士法違反の罪で問題視されていたことが判明しました。そして、この11人によって巻き込まれた被害者が8000人以上、着手金の総額は50億円を超えるという衝撃的な実態が明らかになりました。

弁護士Bの証言と広告会社との関係

番組では、懲戒処分を受け、弁護士法違反の罪で起訴された弁護士B本人の証言が放送されました。弁護士Bが「被害金の回収」をうたう業務を始めたのは今から4年前で、きっかけは知人からの誘いでした。その人物から「ネット広告を出して依頼を多く集めれば安定収入になる」と提案され、広告会社と契約を結ぶことになりました。

当時の弁護士Bはインターネットに詳しくなく、広告の内容についても専門知識がないまま、広告会社から紹介されたスタッフの提案をすべて受け入れたといいます。広告の作成は全面的に広告会社に任され、B弁護士が関与したのは最初の契約段階のみでした。

作成された広告には、実際には存在しないような文言や表現が使われていました。たとえば、

  • 「24時間365日対応」という実態と異なる営業形態の強調

  • 弁護士本人とは別人の見栄えの良い写真を無断で使用

  • 「詐欺被害に強い弁護士が返金請求」と、実績がないにもかかわらず専門性を誇張する表現

このような誤解を招く広告によって、わずか8か月で270人もの被害者と契約が結ばれる結果となりました。広告の効果は大きく、全国から相談が殺到する事態となりました。

しかし、弁護士Bには対応できるだけの体制も経験もなく、実際の被害金回収業務はほとんど手がつけられない状態に陥りました。大量の問い合わせが集中し、業務は回らず、進捗の説明もされないまま被害者たちは放置されるかたちとなりました。

しかも、集まった着手金の総額は1億円にも達しましたが、驚くべきことに、その大半が弁護士Bの元に残ることなく、広告会社など外部の業者に支払われていたのです。

  • 着手金の内訳の多くが広告費や事務処理手数料に流出

  • 実際の業務に費やされた割合はごくわずか

  • 弁護士本人の手元に残った収益はごく一部

この構図を見ると、広告会社が主導し、弁護士は名義だけを使われていたとも受け取れる内容でした。弁護士Bはその責任を問われ、最終的に弁護士法違反で逮捕・起訴されています。被害者たちは、詐欺被害を回復したいという希望を持って相談していたにもかかわらず、また新たな経済的・精神的苦痛を受ける結果となりました。

この事例から見えるのは、弁護士の名前や資格に安心してしまい、広告の内容や業務実態を十分に確認しないまま契約してしまうリスクです。そして、外部の業者が介入している案件では、金銭の流れや業務の責任の所在が不明確になりがちであるという点にも注意が必要です。実際には、弁護士自身がコントロールできていない構造の中で、被害者だけが損をするという構図が繰り返されていました。

弁護士資格があっても安心できない時代

今回の放送では、弁護士という肩書きが必ずしも信頼の証ではないという厳しい現実が明らかになりました。弁護士資格を持っていながら、非弁屋と組んで利益を得るケースが実際に存在しているという事実は、多くの視聴者にとって衝撃的だったと思われます。法律の専門家であるはずの弁護士が、その知識や立場を利用して依頼者を搾取する構図は、もはや例外ではなく、社会問題として認識されつつあります。

資格があるというだけで相手を信用してしまうのは非常に危険です。実際に今回紹介された事例のように、広告や肩書きで安心させたうえで、高額な着手金を支払わせ、十分な対応をしないまま終わるケースが多数確認されています。番組では、このような被害を未然に防ぐために、信頼できる弁護士を見極めるための具体的なポイントも紹介されていました。

以下は、番組内で紹介された対策の要点です。

  • 契約前に弁護士本人と必ず面談すること
    書類や電話だけでのやり取りではなく、直接会って説明を受けることが、信頼性を確かめる第一歩です。

  • 業務内容と費用の内訳が明記された契約書を確認すること
    契約書に、どのような業務を行うのか、費用はどのような根拠で計算されているのかが明確に書かれていることが重要です。

  • 「成功報酬制」や「無料相談」という言葉に惑わされないこと
    一見魅力的に見える条件でも、実際には別の名目で費用が発生する場合があります。言葉の印象だけで判断せず、内容をしっかり確認する必要があります。

  • ネット広告や口コミだけを頼りにしないこと
    広告に書かれている内容や見た目の雰囲気ではなく、実際にその弁護士が所属している弁護士会の登録情報を調べて確認することが勧められていました。

加えて、弁護士に依頼する前に消費生活センターや地域の弁護士会に相談することも効果的な手段です。第三者の視点から情報を得ることで、冷静な判断がしやすくなります。

このように、弁護士といえども、すべてが誠実に対応してくれるとは限りません。依頼者自身がしっかりと情報を見極め、自分を守るための知識を持つことが何より大切です。信頼できる専門家との出会いのためには、受け身ではなく、能動的に確認し、慎重に判断することが求められます。社会全体で、安心して法の力を頼れる環境づくりが急がれています。

視聴者が学ぶべきこと

『クローズアップ現代』の今回の放送は、法の専門家である弁護士にも“見えにくい落とし穴”があるという重要な教訓を示していました。ネットでの集客が容易になった現代では、外見上の信頼感や広告のキャッチコピーだけでは、真の安全は得られません。

一度だまされた人が、もう一度同じように傷つけられる――それを防ぐためには、自ら情報を見極める力と、第三者の助けを借りる行動が求められます。


『クローズアップ現代』は、今回も社会の隠れた問題に深く切り込み、多くの人に警鐘を鳴らす放送となりました。着手金トラブルは、もはや他人事ではありません。身近な人が悩んでいたら、ぜひこの記事を共有して、一緒に被害を防いでいきましょう。

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