畳から離れて見つける“わたし”〜柔道・角田夏実〜とは?
柔道女子48キロ級の金メダリスト・角田夏実選手が、自分の未来や生き方について深く考える姿を描いたのが今回の「スポーツ×ヒューマン」です。2024年パリオリンピックで日本女子史上最年長となる金メダルを獲得した角田選手は、32歳の春に「この先も柔道を続けるのか」「女性としての人生をどう歩むのか」という大きな選択に直面しました。この記事では、番組で紹介された彼女の葛藤や決断、そして新たな挑戦について、すべてのエピソードをわかりやすくまとめます。
金メダルの先にあった迷い
角田選手は2024年パリ大会で大きな夢を叶えました。しかし、その後に待っていたのは達成感と同時に訪れた迷いでした。3年後のロサンゼルス大会での連覇を周囲から期待される一方、自分の中でその未来が鮮明に見えないと感じたのです。復帰戦となった2025年2月の試合では、今まで感じたことのない不安に襲われ、試合への集中力が揺らぎました。この変化を、パリ大会をともに戦ったコーチの今井優子さんも感じ取っていました。
無差別級への挑戦と3年ぶりの敗戦
4月、角田選手は全日本女子選手権に出場。階級別ではなく無差別級で行われるため、48キロ級の彼女には不利な条件でしたが、「柔道としっかり向き合いたい」とあえて挑戦しました。初戦では得意の巴投げを狙い、3回戦では押されながらも笑みを見せる場面がありましたが、結果は判定負け。3年ぶりの敗戦でした。しかし試合後、「やっぱり柔道が好きだ」と再確認できたと語ります。
柔道から距離を置く決断
金メダルを取ったことで仕事の依頼が殺到する中、「自分は何を望んでいるのか」がわからなくなっていた角田選手。モチベーションの低下もあり、世界選手権の出場を見送る決断をします。この期間、柔道から距離を置き、自分の人生にとって何が大切かを見つめ直す時間に充てました。
高木菜那さんとの対話
そんな中、同い年で元スピードスケート選手の高木菜那さんを訪ねます。オリンピックで3つのメダルを獲得し、3年前に引退した菜那さんは、妹の高木美帆選手と常に比較される中で、自分の気持ちを大切にすることの重要性を学んだと話します。この言葉は角田選手にとって、自分の心に蓋をしてきたことを見つめ直すきっかけになりました。
女性アスリートと卵子凍結
角田選手は、将来のために卵子凍結について考え始めます。女性アスリート外来のある病院を訪れ、医師から説明を受けました。卵子凍結は、排卵を促す薬を使用する必要がありますが、アスリートの場合はドーピング規定に触れない薬を選び、申請や変更手続きを行わなければなりません。医師によると、近年は選手たちの妊娠・出産に対する考え方も多様化しているそうです。
高校生への柔道指導
6月、角田選手は高校生を対象とした柔道教室に参加。これまで感覚が狂うことを避けるため、得意技の巴投げを言葉で教えることは控えてきましたが、この日は丁寧に指導しました。勝ち負けにこだわらない新しい柔道のあり方を模索し始めていたのです。
卵子凍結の決断
出場を見送った世界選手権を観戦した際も、「出たい」という気持ちは湧かなかった角田選手。再び病院を訪れると、同世代と比べて推定される卵子の数が少ないことが判明しました。これを受け、卵子凍結を行うことを決意します。「やりきったと思える人生を生きたい」という思いが、彼女の背中を押しました。
まとめ
番組を通して見えたのは、畳の上で戦う自分と、畳を離れた自分の両方を受け入れようとする角田夏実選手の姿です。金メダリストとしてのプレッシャー、女性としての人生設計、そして自分らしい柔道との向き合い方。角田選手の決断は、同じように悩む多くの人に勇気を与えるものでした。これから彼女がどの道を歩むのか、その一歩一歩が注目されます。
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