塩ラーメン対決!発酵塩SOBAが頂点に
2025年5月14日(水)19時57分からNHK総合で放送された『激突メシあがれ〜自作グルメ頂上決戦〜』は、塩ラーメンをテーマにした45分間の熱い料理バトルでした。アマチュアでありながら本格的なこだわりと情熱を持つ3名の挑戦者が、自らの技術とアイデアを結集させた一杯で勝負。「発酵塩SOBA」が王者に選ばれ、塩ラーメンの奥深さと、料理に込めた想いの力を感じさせる内容となりました。
番組冒頭で語られた“塩ラーメン”の存在感と難しさ
番組の始まりでは、応援団長を務める濱田マリさんが「いつ食べたかも思い出せないくらい久しぶり」と語るように、塩ラーメンは控えめで印象が薄くなりがちな存在です。しかしその裏には、素材の良さや技術が問われる繊細な料理であるという難しさがあります。今回は、シンプルな料理だからこそ見える工夫と真剣勝負にスポットが当てられました。
書類審査を勝ち抜いた3名のアマチュア料理人たちは、それぞれ異なる背景と料理スタイルを持ち、それがラーメンの味や構成にしっかり表れていました。
決戦に挑む3人のアマチュア料理人のプロフィールと挑戦内容
今回の決勝進出者は以下の3名。それぞれのラーメンには、人生の経験や価値観が詰め込まれており、味・ビジュアル・コンセプトのすべてにオリジナリティがありました。
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橋本実樹さん(40歳/大阪府茨木市・システムエンジニア)
応募作品:「サンマ煮干の熟成塩ラーメン」
出汁はカタクチイワシとアゴ(トビウオ)を使い、約1か月かけて熟成。味の深みとまろやかさを追求した「発酵塩SOBA」として仕上げました。仕事後の深夜にも試作を繰り返し、その数はなんと2000パターン以上に及んだとのことです。 -
峯松寿和さん(41歳/神奈川県藤沢市・介護施設調理師)
応募作品:「潮らぁ麺」
サンマとウルメイワシで出汁を取り、チャーシューには桜の花の塩漬けと桜の葉を使用。見た目も春らしく、「桜梅香るワンタン潮そば」というネーミングで、食べる人に季節の移ろいを感じさせる一杯を表現しました。介護の現場で日々接する「やさしい味わい」を軸に構成。 -
福富賢治さん(45歳/東京都西東京市・地盤調査会社営業本部長)
応募作品:「とまと清湯塩らぁめん」
具材に落花生、ローズマリー、スイートピーといった珍しい素材を採用。「塩 落花生ラーメン~未来を紡ぐ一杯~」と名付け、素材の花言葉や香りをテーマに、食べる人に希望を届けたいというメッセージ性を込めました。
1か月の準備と90分の制限時間で完成させる“真剣勝負”
書類審査から決勝に進んだ3名には、1か月の準備期間が与えられました。そして本番では、90分の制限時間で1人前の塩ラーメンを仕上げるルールが設けられました。食材費は1000円以内という設定で、コストパフォーマンスや再現性も重要な審査基準です。
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橋本さんは、イノシン酸とグルタミン酸を活用したうまみの相乗効果を意識し、スープにこだわった本格派。
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峯松さんは、フリーズドライの桜の花を飾り、香り・見た目・味の3要素で春の訪れを表現。
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福富さんは、家庭では使わないような食材を花言葉の意味ごと料理に落とし込むという、独自の世界観で構成しました。
審査員3名が評価した“個性と完成度”
試食審査では、以下の3名が登場し、それぞれのラーメンを評価しました。
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前島司さん(ラーメン評論家)
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高橋夕佳さん(料理研究家・あご出汁ブームの火付け役)
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タサン志麻さん(家政婦のプロとして知られる)
審査では、「発酵塩SOBA」はうまみの重なりが明確で完成度が高いとされ、「桜梅香るワンタン潮そば」は時間差で味が広がる楽しさと美しさが評価されました。「塩 落花生ラーメン~未来を紡ぐ一杯~」については、他にない香りと味の個性が光っていました。
どのラーメンも高評価が寄せられ、甲乙つけがたい中での審査となりました。
優勝は橋本さんの「発酵塩SOBA」!うまみの深さで頂点に
最終的に、栄えある勝者に選ばれたのは橋本実樹さんの「発酵塩SOBA」。素材を選び、熟成という手間を惜しまなかった結果、だしと塩の完璧なバランスを実現しました。シンプルでありながら、食べた人の心に残る一杯として評価された結果です。
橋本さんの姿勢からは、継続と工夫があれば、家庭のキッチンからでも名店に負けない味が生まれるというメッセージが伝わってきました。
“ラーメン”を超えた感動と学びの45分間
今回の放送では、ラーメンをただの食事としてではなく、人生・想い・技術が詰まった表現の手段として描かれていました。それぞれのバックグラウンドが味に現れ、料理を通じて見えてくる人柄が、視聴者の心にも強く残る内容となっていました。
誰かのために、何かを伝えたいという想いが、塩ラーメンという小さな器に凝縮されていたのが印象的です。
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