あなたの車も狙われる!?追跡“自動車盗難”の闇|2025年7月7日放送
自分の車が、知らないうちに狙われているかもしれません。2025年7月7日放送の「クローズアップ現代」では、全国で急増する自動車盗難の実態と、その裏側で進化する巧妙な犯罪の仕組みを特集します。今回の記事では、番組内容の放送前情報をもとに、自動車盗難の現状や進化する手口、自分の車を守るためにできることをわかりやすくまとめました。
被害が止まらない自動車盗難の現状
全国で自動車盗難の被害が増え続けています。警察庁が発表した最新のデータによると、2024年の自動車盗難の認知件数は6,080件と報告されています。前年の5,762件と比べて増加しており、被害が深刻化しているのが現実です。さらに、別の民間調査では、実際の被害件数が8,400件にものぼるともいわれています。
被害の多い地域は以下の通りです。
・愛知県
・埼玉県
・千葉県
・茨城県
・神奈川県
この5県だけで、全国の約半数以上の盗難が集中しています。特に愛知県では、名古屋市を中心に被害が目立っていて、多くのドライバーが不安を感じています。
注目すべきは、盗難車の約**75%**が「キーなし」の状態で盗まれている点です。これはオーナーがきちんと鍵を持ち去ったにもかかわらず、車が盗まれるケースが多いという意味です。その背景には以下のようなハイテク犯罪が関係しています。
・スマートキーの電波を悪用するリレーアタック
・車の電子制御を直接狙うCANインベーダー
これらの最新の手口により、たった数分で車が盗まれてしまうことも珍しくありません。特に高級車や人気車種が狙われる傾向が強く、以下のような車がターゲットになっています。
メーカー | 車種名 |
---|---|
トヨタ | ランドクルーザー(プラド含む) |
トヨタ | アルファード/ヴェルファイア |
トヨタ | プリウス |
レクサス | LX/RX/LS |
トヨタ | ハイエース |
これらの車種は国内外での人気が非常に高く、盗まれた後はすぐに海外へ輸出されたり、バラバラに解体されて部品が転売されたりするケースが多いです。特にランドクルーザーやアルファードなどは海外市場でも高額で取引されるため、犯罪グループの大きな標的となっています。
また、盗難に遭った車は、犯罪組織の手に渡った後、24時間以内に解体されることが多いです。こうした手口の巧妙さやスピード感により、被害者が車を取り戻すのは非常に難しいのが現状です。
自動車盗難の被害は、地域や車種を問わず誰にでも起こりうる問題となっています。日ごろから防犯対策を意識することが、自分の車を守るために大切です。
組織的に進化する自動車盗難の手口
自動車盗難は、今や単なる個人の犯行ではなくなっています。最近の事例では、組織的に分業化された犯罪ネットワークが関わっており、犯人グループの動きは非常に巧妙です。役割は以下のように細かく分かれています。
・ターゲットの車を探す役
・盗む役
・解体する役
・輸送・転売を担当する役
それぞれの役割を分担することで、関係者同士が顔を知らないまま犯罪が進行することも珍しくありません。このような仕組みがあるため、警察の捜査をかいくぐることができ、摘発が難しくなっています。
盗まれた車は、24時間以内に「チョップショップ」と呼ばれる施設で解体されます。この作業は非常に素早く、部品ごとに分けられた車はインターネットのオークションや中古部品業者に流されてしまいます。また、状態の良い車はそのまま海外へ輸出されることもあります。
特に問題視されているのが「ヤード」と呼ばれる場所です。ヤードは、塀やフェンスで外から見えにくくされており、そこに盗難車が運び込まれ、解体・保管・輸出の拠点として使われています。ヤードは都市部の工業地帯や郊外に点在し、警察が全てを把握するのは難しい状況です。
さらに、最近ではSNSや匿名アプリを通じた「闇バイト」の募集が増えています。普通の若者が、気づかないうちに犯罪の一部に巻き込まれてしまうケースが後を絶ちません。具体的には以下のような役割で誘われることが多いです。
・車の位置情報を送る
・盗難現場への案内役
・電波中継機器の設置
・解体済みの部品の運搬
このように、自動車盗難は見えないネットワーク化が進み、誰でも知らないうちに犯罪の一端を担ってしまうリスクがあります。被害を防ぐためには、自分の車の管理だけでなく、社会全体での警戒と情報共有が欠かせません。
自分の車を守るためにできること
自動車盗難の被害を防ぐためには、日ごろからしっかりとした対策をとることが大切です。最近の盗難はハイテク化が進んでいるため、複数の方法を組み合わせて守ることが効果的です。
まず注目したいのがスマートキーの電波対策です。スマートキーは持っているだけで車のロックが解除できる便利な機能ですが、逆にその電波を悪用する「リレーアタック」の被害が増えています。これを防ぐために、以下の対策が効果的です。
・電波遮断ポーチにスマートキーを入れる
・金属製の缶に保管する
・トヨタ車の場合は、節電モードを設定し、電波を完全に止める
次に重要なのが電子セキュリティ機器の導入です。最近の犯行は、スマートキーを使わずに車を奪う「CANインベーダー」などの手口も増えています。その対策として以下の装置が有効です。
・リレーアタック防止装置「シャットアウト」
・OBDポートを守る「OBDガード」
・ECU(電子制御ユニット)をカバーする「CANガード」
また、昔ながらの物理的なロックも非常に有効です。犯人は時間がかかる車を避けるため、目立つ場所に以下のロックをつけると狙われにくくなります。
・ハンドルロック
・タイヤロック
さらに、防犯意識の高い方にはカーセキュリティシステムの強化がおすすめです。侵入や衝撃を感知してアラームが鳴るシステムや、スマートキーだけではエンジンを始動できない仕組みを取り入れることで、盗難リスクを大幅に減らすことができます。
駐車環境の見直しも忘れてはいけません。以下のポイントを意識するだけで被害を防げる確率が上がります。
・人通りが多く明るい場所に駐車する
・防犯カメラが設置されている駐車場を選ぶ
・自宅ではセンサーライトや監視カメラを設置する
万が一のための備えとして、GPSや追跡サービスを活用することも大切です。これにより、盗まれた後でも車の位置情報を把握でき、早期発見や取り戻せる可能性が高まります。ただし、GPSは盗難を完全に防ぐものではないため、他の対策と組み合わせて使うことが必要です。
こうした複数の防犯対策を日常的に取り入れることで、大切な車を守るためのリスクを大幅に減らすことができます。盗難は誰にでも起こりうる時代だからこそ、できる対策を一つずつ実践していきましょう。
【放送情報】
番組名:クローズアップ現代「あなたの車も狙われる!?追跡“自動車盗難”の闇」
放送日時:2025年7月7日(月)19:30〜19:57
チャンネル:NHK総合
【出演者】
・森雅人(刑事事象解析研究所 代表理事)
・桑子真帆(キャスター)
参考・出典リンク
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/bouhan/car/2025zidoushatounan.pdf
https://tci-car-item.com/information/7140
https://carsecurity.work/475
https://ksselection.co.jp/column/how-to-choose/stolen-car-ranking
https://mitsui-direct.co.jp/car/guide/mycar_guide/new/relay-attack
https://flexnet.co.jp/landcruiser/landcruiser-articles/post-35493
https://www.art-japan.co.jp/media/articles/car-anti-theft
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