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物価高に追い打ち?世界的な「銅」高騰で暮らしは 銅不足はなぜ起きるAIデータセンターとEV需要カッパーベルト争奪戦と生活への影響

経済
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銅高騰が暮らしに与える本当の影響とは

いま世界での値段が上がり、家電や電気代、身近な製品にまで影響が広がり始めています。電気自動車やAIの普及で需要が急増する一方、供給が追いつかない不安も高まっています。
『クローズアップ現代(物価高に追い打ち?世界的な「銅」高騰で暮らしは)(2026年4月6日放送)』でも取り上げられ注目されています 。

一見むずかしく見えるテーマですが、実は私たちの生活と深くつながっています。

・銅高騰が家電や生活費にどう影響するのか
・なぜ世界で銅の奪い合いが起きているのか
・AIや電気自動車と銅の関係
・今後さらに値上がりする可能性とその理由

【みみより!解説】金・銀・銅が最高値 なぜ?今後は? 銀500g・金6gのメダル構造まで揺らす金属価格の異常上昇はどこまで続く?|2026年1月20日

銅価格高騰が家電や生活費に与える影響

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は、電線、モーター、基板、配管、熱を伝える部品などに広く使われる金属です。アメリカ地質調査所の2024年データでは、銅製品の主な使い道は建設が42%、電気・電子が23%、輸送機器が18%でした。つまり、住宅・家電・自動車のどれを見ても、銅はかなり身近な材料です。だから銅の値段が上がると、エアコンのような大型家電だけでなく、配線材や設備部品、工事費までじわじわ押し上げやすくなります。

2024年のLME銅価格の年平均は1ポンドあたり420セントで、2023年の384.8セントから上がりました。さらに2026年1月には、ReutersによるとLME銅価格が1トン1万3000ドルを超える場面もあり、市場では「銅が足りなくなるのでは」という不安が強まりました。値上がりがすぐ店頭価格にそのまま出るわけではありませんが、メーカーは原材料高を全部は吸収できないため、時間差で製品価格修理費設備更新費に反映されやすくなります。NHK『クローズアップ現代 物価高に追い打ち?世界的な「銅」高騰で暮らしは』(2026年4月6日放送)で関心が集まったのも、この「見えにくい値上がり」が暮らし全体に広がるからです。

しかも銅は「代わりの材料にすぐ置き換えればいい」と簡単にはいきません。銅は実用金属の中でも電気をよく通し、熱も伝えやすく、加工しやすい特徴があります。エアコンや電装品で使うときは、この性質が性能や省エネに直結するので、別素材へ変えると設計を広く見直す必要が出ます。だから銅高騰=企業努力で吸収しにくいコスト上昇になりやすいのです。

なぜ今「銅」が奪い合いになっているのか

いま銅が注目される大きな理由は、電化が進む社会では銅の出番が増えるからです。電気をつくる、送る、ためる、使う。そのどの場面でも配線やモーター、変圧器、送電網に銅が必要です。IEAは、ここ2年の銅需要の伸びに中国の送電網投資拡大が大きく寄与したと指摘しています。つまり銅は、景気だけで動く金属ではなく、脱炭素デジタル化の両方に支えられる戦略資源になっています。

もうひとつ大きいのは、銅は「使う量が多い」ことです。レアアースのように少量でも重要な資源とは違い、銅は社会のいたる所で大量に使われます。だから需要が少し増えるだけでも市場への圧力が強くなります。IEAは、現在公表されている案件だけでは2035年に銅の供給が需要に約30%足りない可能性を示しています。これは「いま困っている」だけでなく、「先の不足を見込んで今から取り合いが始まっている」ことを意味します。

さらに、資源をめぐる競争は値段だけの話ではありません。各国は「必要な時に確実に手に入るか」を重視しています。UNCTADは銅を新しい戦略資源と位置づけ、供給のボトルネックがエネルギー転換やデジタル基盤整備を遅らせるおそれがあると警告しています。つまり銅は、単なる原材料ではなく、経済安全保障のテーマにもなっているのです。

AI・電気自動車と銅需要の急拡大

電気自動車は、ガソリン車より電気を流す部品が多く、モーターやバッテリー周りでも銅を多く使います。IEAも、EVや蓄電池、再生可能エネルギー、送電網が重要鉱物需要を押し上げていると説明しています。銅はその中でも市場規模が大きく、2040年までに需要が30%伸びる見通しです。つまり、EVが増えるだけでなく、EVを支える充電設備電力網まで含めて銅需要が増えていきます。

最近はそこにAIが加わりました。AIを動かすには大きなデータセンターが必要で、サーバーだけでなく、受変電設備、冷却設備、配線、バックアップ電源などに大量の銅が使われます。Reutersが紹介したS&P Globalの分析では、世界の銅需要は2025年の2800万トンから2040年に4200万トンへ増え、AIや防衛、ロボット分野の拡大も重なって、十分な供給がなければ年1000万トン超の不足が起こりうるとされています。

ここで大事なのは、AIとEVは別々の波ではなく、同時に来ていることです。昔は「景気が悪いと金属需要が減る」と考えやすかったのですが、いまは送電網更新、データセンター建設、電動化投資が並行して進みます。だから一時的に価格が上下しても、「中長期で銅が必要」という見方は消えにくいのです。銅高騰が注目されたのは、この需要の土台がかなり強いと多くの人が感じ始めたからです。

銅産地の現状と供給不足リスク

銅は地球のどこでも同じように取れるわけではありません。UNCTADによると、チリペルーだけで世界の銅鉱石・精鉱輸出のほぼ半分を占めています。埋蔵量も一部の国に偏っていて、5か国で世界全体の50%超を持っています。こうした偏りがあると、ストライキ、事故、干ばつ、政策変更、物流の乱れが起きた時に、世界中へ影響が広がりやすくなります。

しかも問題は「埋蔵量がある」だけでは解決しません。IEAは、銅では鉱石の品位低下開発コスト上昇新しい有望鉱床の発見減少が重なっていると指摘しています。簡単に言うと、昔よりも“いい鉱山”を見つけにくく、見つかっても掘り始めるまでお金も時間もかかる、ということです。だから価格が上がっても、すぐ供給が増えるわけではありません。これが銅市場のいちばん厄介なところです。

実際、Reutersは2026年初めに銅価格が急伸した背景として、供給不安や鉱山トラブルを挙げています。市場は「今の在庫」だけでなく、「将来ちゃんと掘れるか」を見て動きます。目の前で不足が起きていなくても、将来の供給が怪しいと思われるだけで価格は上がりやすいのです。だから銅高騰は、単なる投機ではなく、供給の脆さへの不安が映ったものと考えると理解しやすくなります。

ザンビア「カッパーベルト」を巡る国際競争

南米への依存を減らすうえで注目されているのが、アフリカ南部のザンビアです。USGSはザンビアを世界有数の銅生産国とし、未発見の銅鉱床の潜在力も大きいとみています。UNCTADも、コンゴ民主共和国と並んでこの地域の高品位銅に大きな成長余地があると見ています。つまりカッパーベルトは、これからの供給地として期待される場所です。

ただし、期待が大きいからこそ、各国の競争も激しくなります。JOGMECはザンビア政府との協力強化で、HISUIという日本の高性能なハイパースペクトル観測機器を活用した衛星画像解析や、共同地質調査の拡大を進めています。経済産業省とザンビアの共同声明でも、HISUIを使ったザンビア全土のリモートセンシング実施が確認されています。これは“勘”で探す時代ではなく、衛星データと地質情報で先に有望地をつかんだ国が有利になる情報戦に入っていることを示します。

一方で、鉱山開発は地図の上で有望に見えてもすぐ成功するわけではありません。新鉱山には長い開発期間、巨額投資、電力や道路などのインフラ、政治や税制の安定が必要です。UNCTADは鉱山開発のタイムラインが最長25年に及ぶ場合もあるとし、JOGMECやMETIの資料も人材・インフラ・サプライチェーンまで含めた協力の必要性を示しています。だからカッパーベルトは「宝の山」ではありますが、同時に時間と信頼がないと掘れない山でもあります。

日本の資源確保戦略と課題

日本は銅を大量に使う国ですが、国内で十分にまかなえるわけではありません。だから日本の戦略は、単に買うのではなく、探査段階から関わる相手国との関係を深める情報を早くつかむという形になっています。JOGMECとMETIはザンビアとの協力で探査、人材育成、共同調査、投資対話を進めており、2026年3月にはJETROが21人規模の日本企業代表団をザンビアに派遣しました。これは、資源確保が商社だけの仕事ではなく、物流、機械、投資まで含む幅広い産業のテーマになっていることを示しています。

ただ、日本には課題もあります。ひとつは、開発に長い時間がかかること。もうひとつは、アフリカ案件には政治・制度・輸送面の不確実さが残ることです。さらに、価格が上がったからといって民間企業がすぐ巨額投資に踏み切れるわけではありません。Reutersも、高い銅価格が続かないと新規鉱山投資の採算判断は難しいと伝えています。つまり日本は、必要性は高いのに、動くにはリスクも大きいという難しい場所に立っています。

これから大切になるのは、海外鉱山だけではありません。リサイクル省資源設計代替材の使い分け、そして製品を長く使う工夫も重要です。USGSでは、2024年のアメリカの銅供給の約35%にスクラップ由来の銅が関わっていたとしています。新しい鉱山を増やすだけでなく、すでに社会の中にある銅を回して使うことも、暮らしを守る大切な方法です。銅高騰のニュースを「また値上げか」で終わらせず、資源をどう確保し、どう無駄なく使うかまで考えると、テーマの意味がぐっと深く見えてきます。


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