新聞の端っこはなぜギザギザ?高速印刷に隠された理由
新聞をよく見ると、上下の端がまっすぐではなく、細かくギザギザになっています。普段はあまり気にしませんが、一度気づくと「なぜこうなっているの?」と気になる部分です。
その大きな理由は、新聞を高速で大量に印刷しながら、正確に切るためです。
新聞は、1枚ずつ紙を置いて印刷しているわけではありません。大きなロール状の紙を機械にかけ、長くつながった紙に次々と印刷していきます。その紙を折り、切り、重ねて、ようやく私たちが手にする新聞の形になります。
このとき、紙は機械の中をかなり速いスピードで流れています。もし、まっすぐな刃で一気に切ろうとすると、紙が逃げたり、切り残しが出たり、刃に強い負担がかかったりします。
そこで使われるのが、のこぎり状の刃です。
ギザギザの刃は、紙に一気に面で当たるのではなく、山の部分から少しずつ食い込みます。これにより、動いている紙でも抵抗を少なくして切りやすくなります。ロール状の紙を高速で一部ずつ正確に切断するには、まっすぐな刃よりも鋸状の刃のほうが適しているとされています。
つまり、新聞の端のギザギザは、見た目のデザインではありません。
朝までに大量の新聞を届けるための、印刷工場の知恵なのです。
この素朴な疑問は『チコちゃんに叱られる!』でも取り上げられ、身近な新聞の端に、実はかなり合理的な理由があることが注目されました。
朝刊が朝までに届くための新聞印刷の秘密とは?
朝刊は、多くの家庭に朝早く届きます。朝4時から5時ごろには配達されている地域もあり、そのためには夜中のうちに編集、印刷、仕分け、配送まで進めなければなりません。
ここで大事なのは、新聞が「大量生産品」でありながら、内容は直前まで変わる情報商品でもあるという点です。
たとえば、スポーツの結果、政治のニュース、災害や事件、天気、株価などは、できるだけ新しい情報を紙面に入れる必要があります。だから新聞づくりは、ただ早く印刷すればよいわけではありません。
編集部で記事や見出しを整える
紙面データを完成させる
印刷用の版を作る
輪転機で大量印刷する
折って切って新聞の形にする
販売所や配送ルートへ送る
この流れを、夜中から早朝までの短い時間で進めます。
そのため、印刷工程には速さと正確さが求められます。
ここで新聞の端がギザギザになる理由がつながってきます。紙を止めて、ゆっくりまっすぐ切る方法では、朝刊のスピードに間に合いません。高速で流れる紙を、止めずに一瞬で切る必要があります。
もし切断工程で時間がかかれば、その後の折り、束ね、運搬、配達にも遅れが出ます。新聞の端のギザギザは、単に「切りやすいから」というだけでなく、朝刊を朝までに届けるための時間との戦いにも関係しているのです。
私たちが何気なく読む1部の新聞の裏側には、何十万部もの新聞を限られた時間で作る仕組みがあります。新聞の端を見るだけで、そのスピード感が少し想像できます。
まっすぐ切れない?新聞の紙を高速で切る技術
「紙なら、まっすぐな刃で切ればいいのでは?」と思うかもしれません。
家庭で紙を切るときは、ハサミやカッターでまっすぐ切ることができます。でも、新聞工場では状況がまったく違います。
新聞は、ロール紙から連続して流れ出ています。しかも、印刷され、折られ、重ねられながら高速で進んでいます。1枚だけの紙を机の上で切るのとは違い、動いている紙の流れを止めずに切る必要があります。
まっすぐな刃は、紙に当たる面が一度に広くなります。すると抵抗が大きくなり、紙がたわんだり、刃に負担がかかったりします。大量の新聞を高速で切る場合、このわずかな抵抗が大きな問題になります。
一方、ギザギザの刃は、山の先端が紙に順番に当たります。
イメージとしては、包丁で上から一気に押すより、のこぎりの歯が少しずつ食い込む感じに近いです。紙にかかる力が分散されるため、高速で流れていても切りやすくなります。
新聞の切断で鋸状の刃が使われるのは、ロール状の紙に印刷された新聞を高速で一部ずつ正確に切るためです。
この仕組みは、新聞づくりの中でもとても大切です。
新聞は、少しでも切る位置がずれると、紙面が読みにくくなります。上下が大きくずれたり、ページの端が不ぞろいになったりすると、商品としての品質にも関わります。
つまり、新聞のギザギザは「雑に切った跡」ではありません。
むしろ逆で、高速で正確に切るために選ばれた形なのです。
新聞の端にある小さな穴は何のためにある?
新聞の端をよく見ると、ギザギザだけでなく、小さな穴のような跡が見えることがあります。
この穴も、新聞づくりの工程に関係しています。
新聞の紙は、印刷機の中を高速で進みます。紙がふらついたり、たるんだりすると、印刷の位置がずれたり、折りが乱れたり、切断がうまくいかなかったりします。
そこで、紙を安定させるために、機械の中で紙を押さえたり、張った状態にしたりする仕組みがあります。そのときにできる跡が、小さな穴のように見えることがあります。
大事なのは、新聞の紙が「ただ流れている」のではなく、一定の張りを保ちながら制御されているということです。
高速道路を走る車でも、ハンドル操作が少し乱れると危ないですよね。新聞の紙も同じで、速く動かすほど、まっすぐ安定して流す技術が必要になります。
新聞印刷では、紙が長くつながっている状態で印刷されます。その紙を正確に折り、切り、重ねるためには、紙の位置を細かく管理しなければなりません。
新聞の端にある小さな穴や跡は、その高速印刷の中で紙を扱いやすくするためのものと考えると分かりやすいです。
つまり、端のギザギザも小さな穴も、新聞を作る人が「変わった見た目にしよう」としたものではありません。
どちらも、大量の新聞を短時間で安定して作るための工夫なのです。
紙袋までギザギザなのはなぜ?新聞と同じ仕組みだった
ギザギザになっているのは、新聞だけではありません。
パン屋さんやお菓子屋さんでもらう紙袋の口が、ギザギザになっていることがあります。あれも、新聞と似た理由を持っています。
紙袋の場合、大きく分けると理由は2つあります。
1つは、大量に素早く作るためです。
紙袋も、ロール状の紙を使って印刷や加工を行うことがあります。大量に作る場合、紙を連続して流しながら切るため、まっすぐにゆっくり切るよりも、ギザギザの刃で効率よく裁断するほうが向いています。紙袋の口まわりや新聞の端がギザギザになるのは、のこぎり状の刃で回転しながら切るためだと説明されています。
もう1つは、手を切りにくくするためです。
紙の切り口は、意外と鋭いです。コピー用紙や封筒で指を切ったことがある人も多いと思います。紙袋の口がまっすぐ鋭く切れていると、手を入れたときに指や手の甲を傷つけることがあります。
ギザギザにすると、一直線の鋭い断面よりも手に当たる力が分散され、切れにくくなります。紙袋のギザギザは、手を切るリスクを減らすためとも説明されています。
ここが新聞との違いでもあります。
新聞の場合は、主に高速で正確に切るため。
紙袋の場合は、大量生産のしやすさに加えて、手を切りにくくする意味もある。
同じギザギザでも、目的が少し違うのです。
ただ、どちらにも共通しているのは、工場で大量に作るための合理的な形だということです。
身近な紙製品の端には、使う人の安全や、作る側の効率を考えた工夫が隠れています。
輪転機はどう動く?数十万部を支える新聞工場の仕組み
新聞づくりの中心にあるのが、輪転機です。
輪転機は、大きなロール紙を使い、紙を連続して送りながら印刷する機械です。新聞のように大量部数を短時間で印刷するものに向いています。
ざっくり言うと、輪転機の中では次のようなことが連続して行われています。
ロール紙をほどく
紙に印刷する
必要に応じて両面に刷る
紙を折る
ページ順にそろえる
ギザギザの刃で切る
新聞の形にまとめる
この工程が、ものすごい速さで流れるように進みます。
新聞紙面は、まずデータとして作られます。その後、印刷用の版が作られ、輪転機に取り付けられます。そこからロール紙にインクを転写し、大量の新聞が印刷されていきます。
輪転機のすごいところは、印刷だけでなく、折る・切る・まとめる作業まで一体で行う点です。だからこそ、短い時間で大量の新聞を作ることができます。
ここで、最後の切断工程がとても重要になります。
いくら速く印刷できても、切るところで止まってしまえば意味がありません。紙の流れを止めずに一瞬で切るために、ギザギザの刃が活躍します。高速で連続的に紙を切る機械では、回転する刃やローラーを使って紙を通過させながら切る方式が使われ、大量処理や安定した切断に向いています。
新聞の端のギザギザは、いわば輪転機のスピードの跡です。
きれいにまっすぐ切ることよりも、朝までに大量の新聞を正確に届けることが優先されます。その結果として、あの独特のギザギザが残ります。
そして、それは決して手抜きではありません。
むしろ、新聞が毎朝届くために必要な、速さ・正確さ・大量生産を支える大切な技術です。
新聞の端っこを見るだけで、そこには編集の現場、印刷工場、配送、配達までの長いリレーが隠れています。
何気ないギザギザは、私たちの朝にニュースを届けるための、小さいけれど大きな役割を持った工夫なのです。
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