プリッと鮮度抜群!ホタルイカ〜兵庫・新温泉町〜
2025年5月4日放送のNHK総合『うまいッ!』では、春に旬を迎えるホタルイカが特集されました。舞台は兵庫県新温泉町。プリッとした食感と濃厚なうまみで知られるホタルイカが、どのように水揚げされ、鮮度を保ったまま食卓に届いているのか、その舞台裏が詳しく紹介されました。さらに、ホタルイカを使った地元ならではの料理や、保存技術の進化も取り上げられました。
新温泉町の誇り!春の風物詩・ホタルイカ
兵庫県新温泉町にある浜坂漁港は、ズワイガニの漁港として有名ですが、春になるとホタルイカの漁獲量が全国トップクラスを誇ります。浜坂では、全長41m・総重量144tという巨大な底引き網漁船でホタルイカを捕獲。年間約1800トンものホタルイカが水揚げされているそうです。
この地域で行われている漁法は、富山県の定置網漁とは異なり、海底スレスレを狙う底引き網漁。網を引く速度が非常に重要で、速すぎると獲れず、遅すぎるとホタルイカが傷んでしまうため、船の操縦には高い技術が必要です。
また、網自体にも工夫があり、ホタルイカを傷つけないように結び目のない特殊な柔らかい黒い網が使われています。これにより、プリッとした食感を損なうことなく捕獲できるのです。
鮮度を保つ驚きの工夫と技術
新温泉町のホタルイカは、生で食べられるほど鮮度が高いことが最大の特徴です。その背景には、漁師たちの徹底した処理体制があります。ホタルイカは非常に繊細で、少しの衝撃で傷ついてしまいます。そこで地元の漁師たちは、ホタルイカをできるだけ傷つけずに漁獲できるように独自に開発した特殊な漁網を使用しています。
さらに、ホタルイカが船に引き上げられた直後には、以下のような手順で鮮度保持が行われています。
・すぐに選別し、傷んだ個体や異物を丁寧に取り除く
・急速冷却により、常温との温度差を最小限に保ちながら冷やす
・場合によっては船内で仮凍結処理を行い、鮮度を閉じ込める
このような工程をスムーズに行うことで、港に戻ったときにはほとんど傷んでいないホタルイカがそのまま出荷できる状態になります。
鮮度キープの秘密は船内パック詰め
鮮度が命のホタルイカは、獲れた直後に氷と一緒に発泡スチロールに入れ、さらに船内でパック詰めまで行います。港に戻るとすぐ出荷され、兵庫県西宮市などの市場に直送される体制が整っています。セリを通さない直送体制により、店頭に並ぶまでの時間を短縮し、鮮度抜群のホタルイカを楽しむことができます。
さらに、最新技術を搭載した冷凍庫も活躍。一般的な冷凍では氷の結晶が細胞を壊し、食感を損ねてしまいますが、磁力や電磁波で水分子を整列させてから凍らせることで細胞破壊を防ぐ特殊な冷凍技術が導入されています。この方法で冷凍されたホタルイカは、解凍しても刺身で食べられるほどの鮮度と口どけを保ちます。
旬のホタルイカを楽しむイベントと食べ方
ホタルイカ料理のバリエーションも紹介
番組では、浜坂漁業協同組合の女性部が考案したホタルイカのアレンジ料理も登場しました。
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ホタルイカのしゃぶしゃぶ:さっと火を通すことで、ワタのクリーミーさが際立つ上品な味わいになります。
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ホタルボール:ホタルイカをすり身や野菜と合わせて揚げた一品で、外はサクッ、中はふんわり。
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ホタルイカのかき揚げ:噛んだ瞬間にホタルイカの存在感がバコーンとくる力強い味わい。
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ホタルイカ焼きそば:濃厚なうまみが麺に絡み、家庭でも再現しやすい一品です。
どれも家庭で簡単に作れるメニューばかりで、ホタルイカの新しい魅力を感じられるラインナップでした。
おわりに
春の味覚、ホタルイカ。そのおいしさの裏には、漁師たちの繊細な技術と、鮮度を守るための努力がありました。新温泉町のホタルイカは、見た目の美しさだけでなく、食べたときの食感と旨みの濃さが格別です。ぜひ一度、春のうちに味わってみたい逸品です。
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