広島平和記念式典2025|原爆投下から80年、5万5000人が祈りを捧げた日
2025年8月6日、NHK総合で生中継された広島平和記念式典。今年は原爆投下から80年の節目で、会場にはおよそ5万5000人が参列しました。広島市の松井一実市長と遺族代表が、原爆死没者の名前を記した名簿を慰霊碑に納めます。今年新たに死亡が確認されたのは4940人で、これまでに名簿へ記された人数は34万9246人に達しました。式典は原爆投下時刻である午前8時15分に合わせて黙祷が行われ、静かな祈りが会場を包みました。
過去から未来へつなぐ歩み
被爆から平和公園完成まで
広島は1945年8月6日、原爆投下によって一瞬で街が壊され、当時の人口の多くが命を落としました。生き残った人々も深刻なけがや放射線による後遺症に苦しみ、生活は一変しました。廃墟となった街では、瓦礫の撤去や仮設住宅の建設が続けられ、日々を生き抜くことが精一杯の状況でした。それから10年後の1955年、被爆者や市民の思いを形にするために広島平和記念公園が完成しました。この場所は犠牲者を悼むだけでなく、平和への誓いを発信する場として整備されました。
世界へ広がる平和の声
公園完成後、被爆者たちは国内外で原爆の実相を伝える活動を始めました。語り部や証言集、写真展などを通して、戦争の悲惨さや核兵器の脅威を世界に伝え続けました。その努力は徐々に国際社会の関心を集め、海外からも多くの人が広島を訪れるようになりました。2023年にはG7首脳が平和公園を訪問し、実際の被爆資料や証言に触れることで核廃絶への理解を深めました。この歴史的な出来事は、広島の発信力を世界規模に押し上げました。
未来への証し
さらに2024年には、日本被団協がノーベル平和賞を受賞しました。これは長年にわたる被爆者の訴えと活動が世界から認められた証であり、広島の歴史が単なる過去の出来事ではなく、現在と未来にもつながっていることを示しています。こうした歩みは、広島が平和の象徴としての役割を果たし続けていることを力強く物語っています。これからも、広島のメッセージは世代を超えて受け継がれ、世界中の人々に届いていくことでしょう。
慰霊と平和への誓い
慰霊碑と供養塔での祈り
式典では、松井市長や石破首相が慰霊碑に花輪を供え、静かに手を合わせました。会場の原爆供養塔には、多くの参列者が立ち寄り、深い祈りを捧げています。この供養塔は被爆で亡くなった方々の遺骨を納める場所で、地下部分には約7万人の遺骨が安置されています。先月、この地下が一般公開され、参列者は安置された骨壺を前に、当時の悲劇と向き合いました。塔を守る渡部さんは「安らかにという思いで掃除をしている」と語り、その日々の行いが供養の一部であることを示していました。
平和宣言と誓いの朗読
平和の鐘が会場に響き渡り、再び黙祷が行われました。静寂の後、松井市長が平和宣言を読み上げ、核兵器廃絶と世界平和への強い思いを伝えました。続いて、関口千恵璃さんと佐々木駿さんが平和への誓いを朗読し、次の世代が平和の担い手となる決意を会場に響かせました。
国内外からのメッセージ
その後、石破首相や湯崎英彦広島県知事らが挨拶を行い、来賓や関係者に向けて平和への取り組みを呼びかけました。さらに、国際連合のアントニオ・グテーレス事務総長や中満泉氏からもメッセージが寄せられ、広島の願いが国境を越えて共有されていることが示されました。こうして、会場は祈りと誓いの思いで一つになり、平和への強い願いが再確認されました。
式典の締めくくり
式典の最後には「ひろしま平和の歌」の合唱が行われ、会場全体が一体となって平和への願いを歌に込めました。80年という長い年月を経ても、広島の願いは変わらず、これからも世界に向けて発信されていきます。
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