介護にかかるお金|2025年3月5日放送
介護にはどのくらいのお金がかかるのか、実際に経験した人の話をもとに、費用やその対策について詳しく紹介された今回の「あさイチ」。介護は突然必要になることが多く、事前にしっかり備えていないと予想以上の出費に驚くことになります。特に、高齢者介護施設に入居する場合や、長期間にわたる在宅介護を続ける場合は、経済的な負担が大きくなります。
番組では、介護の経験者が実際にどれくらいの費用がかかったのか、どのようにして対策を講じたのかが詳しく紹介されました。また、特別養護老人ホーム(特養)をはじめとする介護施設の選び方や、在宅介護で利用できる支援制度についても解説されました。収入が少なくても利用できる制度がある一方で、情報を知らないと損をしてしまう可能性もあるため、知識を持つことが大切です。
この記事では、番組で紹介された内容をわかりやすくまとめ、介護費用についての大切なポイントを詳しく解説します。
年金収入と介護費用のバランス
介護が必要になったとき、多くの家庭で問題になるのが年金収入と介護費用のバランスです。特に年金収入が限られている家庭では、毎月の生活費と介護費用をどのようにやりくりするかが大きな課題になります。
例えば、年金収入が12万円の家庭で、毎月の介護費用が3万7700円かかると、残りは8万2300円しかありません。この金額の中から、食費や光熱費、医療費、雑費などをまかなわなければならず、生活に余裕がなくなる可能性が高くなります。
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在宅介護の費用負担
在宅で介護を続ける場合、食事や介護用品、医療費などの基本的な出費に加えて、訪問介護やデイサービスの利用料が発生します。例えば、
・紙おむつや介護用ベッド、車いすなどの介護用品代
・介護する家族が働けなくなった場合の収入減少
・訪問介護やヘルパーを頼んだ際の自己負担額
これらを考えると、年金だけではすべての費用を賄えないことが多いです。 -
介護施設の費用負担
施設に入居する場合は、入居費や月々の利用料が大きな負担になります。
・特別養護老人ホーム(特養)は比較的費用が抑えられるが、待機期間が長いこともある
・民間の有料老人ホームはサービスが充実しているが、費用が高額で、月20万円以上かかることも
・老人保健施設(老健)は一時的な利用が前提で、長期間の入居は難しい
どの施設を選ぶかによって、費用負担が大きく変わるため、慎重な選択が必要です。 -
介護と生活費のバランスをとる工夫
限られた年金収入の中で介護費用をやりくりするには、さまざまな工夫が必要です。
・自治体の在宅介護手当を活用する(例:東京都江戸川区では「熟年者激励手当」として月1万5千円支給)
・高額介護サービス費制度を利用し、自己負担の上限を超えた分を払い戻してもらう
・家族の協力を得て、できる部分は自宅でサポートする
・貯金や資産を活用し、計画的に介護費用を準備する
年金収入だけでは、長期間の介護費用をまかなうのは難しいケースが多いため、早めの準備と制度の活用がとても重要になります。
介護施設の種類と費用の違い
介護施設にはさまざまな種類があり、どの施設を選ぶかによって費用が大きく変わります。収入や貯金が少なくても利用できる施設もあるため、自分や家族に合った施設を慎重に選ぶことが大切です。
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特別養護老人ホーム(特養)
費用を抑えたい人におすすめの施設で、収入や貯金に応じて利用料金が決まるため、比較的安く利用できるのが特徴です。
・公的施設のため、入居費用がかからず、月額利用料も低め
・低所得者向けの減免制度があり、年金収入が少ない人でも入居しやすい
・入居の優先順位は要介護度で決まるため、要介護度の高い人が優先される
・以前は待機者が多かったが、最近は施設の増加や基準の見直しにより、入居しやすくなっている -
老人保健施設(老健)
医療ケアとリハビリを受けながら生活できる施設ですが、長期間の入居はできず、一定期間を過ぎると退所しなければなりません。
・医師や看護師が常駐し、病院と自宅の中間的な役割を果たす
・要介護1以上が入所条件で、医療ケアを受けながらリハビリができる
・入居期間は3カ月〜6カ月程度が一般的で、その後は自宅介護か別の施設への転居が必要
・費用は特養より高いが、有料老人ホームよりは安く、月額8万〜15万円程度 -
民間の有料老人ホーム
サービスが充実している一方で、費用が高額なため、経済的に余裕がある人向けの施設です。
・介護付き、住宅型、健康型の3種類があり、介護度や生活スタイルに応じた選択が可能
・入居一時金として数百万円かかることが多く、月額利用料も20万〜50万円程度と高額
・施設によってはレクリエーションや医療サービスが充実しており、手厚いサポートを受けられる
・費用が高い分、待機なしで入居できることが多いため、すぐに入所したい人に向いている
介護施設を選ぶ際には、費用だけでなく、入居条件やサービス内容、入居までの待機期間なども考慮することが重要です。自宅介護が難しくなったときに備え、事前に情報を集めておくことが安心につながります。
在宅介護で利用できる支援制度
自宅で介護を続ける場合、自治体や国の支援制度を活用することで、経済的な負担を軽減できます。ただし、これらの制度は自動的に適用されるわけではなく、申請が必要なものが多いため、早めに情報を集め、手続きを行うことが大切です。
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自治体の在宅介護手当
各自治体では、在宅介護を支援するために手当を設けていることが多く、自治体によって名称や支給額、条件が異なります。
・東京都江戸川区では「熟年者激励手当」として、要介護4以上の在宅介護をしている家庭に月1万5千円を支給
・大阪府では「介護支援手当」として、要介護者の家族に一定額の補助を実施
・手当の金額や条件は毎年見直されることがあるため、住んでいる自治体の最新情報を確認することが重要 -
特別障害者手当
厚生労働省が提供する「特別障害者手当」は、重度の障害や認知症など、特別な介護を必要とする20歳以上の方が対象の制度です。
・支給額は月額約2万7千円(年度ごとに変動あり)
・申請は市区町村の窓口で受け付けており、医師の診断書が必要な場合もある
・介護の負担が大きい家庭にとって、安定した支援となるため積極的に活用したい -
高額介護サービス費制度
介護サービスを利用すると、自己負担額が大きくなりますが、一定の上限を超えた場合に払い戻される制度です。
・1カ月あたりの自己負担額が一定額を超えると、超過分が返金される(上限額は所得に応じて異なる)
・例えば、一般的な所得の人の場合、自己負担額の上限は44,400円(2024年度基準)
・支払いが一定額を超えたら自動で適用される場合もあるが、自治体によっては申請が必要なケースもあるため確認が必要
在宅介護は、介護を受ける側だけでなく、家族の負担も大きくなります。経済的な負担を少しでも軽減するために、こうした制度を積極的に活用し、無理なく介護を続けられる環境を整えることが重要です。
介護費用を抑えるためにできること
介護費用を抑えるためには、事前にしっかりと準備し、制度をうまく活用することが大切です。
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情報を積極的に集める
介護に関する制度は自治体ごとに異なり、年々変更されることもあります。そのため、定期的に最新の情報を確認し、必要な手続きは早めに行うことが重要です。 -
家族や専門家と相談する
介護は一人で抱え込まず、家族やケアマネージャーなどの専門家と相談しながら進めることが大切です。番組でも、「介護はチームプレー」として、専門家の知識を頼ることの重要性が強調されていました。 -
長期的な計画を立てる
介護が必要になるタイミングは予測が難しいですが、事前に計画を立てておくことで、突然の出費に対応しやすくなります。特に、夫婦のどちらかが先に介護を必要とする場合、片方の介護費用で貯金を使いすぎると、後に残された方の生活が厳しくなる可能性があるため、バランスを考えた資金計画が重要です。
介護費用は決して軽い負担ではありませんが、適切な準備と制度の活用によって、できるだけ負担を軽減することが可能です。早めに情報を集め、準備を進めることが、安心して介護に向き合うための第一歩になります。
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