記事内には、広告が含まれています。

NHK【ひむバス!23】地獄坂から満開の桜へ…鹿児島のバスがつないだ涙の再会|2025年5月15日放送

バラエティ

鹿児島・地獄坂の団地で満開の桜へ!涙と笑顔のお花見送迎

2025年5月15日放送の『ひむバス!』では、鹿児島市の永吉団地が舞台となりました。運転手を務める日村勇紀さんが、住民の願いを叶えるため、満開の桜を目指してお花見送迎に挑戦。地獄坂と呼ばれる急な坂道、そしてかつてのバス運行廃止の背景など、地域が抱える課題と向き合いながら、住民との絆が描かれました。郷土料理「がね」の手作り弁当や、再会に涙する場面もあり、心温まる内容となっています。

鹿児島市・永吉団地からスタートしたお花見の旅

満開の桜と団地の写真素材|写真素材なら「写真AC」無料(フリー)ダウンロードOK

鹿児島市の高台に位置する永吉団地は、もともとは山だった場所を切り開いてつくられた住宅地です。傾斜地に立地しているため、団地内の移動も楽ではなく、特に「地獄坂」と呼ばれる急な坂道は、高齢の住民にとって大きな壁となっています。この団地では、住民の約4割が高齢者を占めており、日々の買い物や通院など、ちょっとした外出も一苦労です。

かつてこの地域を走っていた路線バスは、住民の生活を支える大切な交通手段でした。しかし、運転手不足と利用者の減少という深刻な事情から数年前に廃止されてしまいました。それ以降、公共交通として残っているのは乗合タクシーのみ。台数や時間の制限があるため、自由な外出は難しくなり、買い物も計画的に行わなければならなくなっています。

今回番組では、団地の皆さんから寄せられた「桜を見に行きたい」という願いを叶えるために、ひむバスが出動。最初の目的地は、お花見に持っていく手作りのお弁当の買い出しです。参加予定の12人分の食材をそろえるため、住民と一緒にスーパーへと向かいました。

お弁当の中心となる料理は、鹿児島の郷土料理「がね」。サツマイモをはじめとする野菜の調達が買い出しの主な目的となりました。

  • 「がね」に必要な材料として、サツマイモやピーマンを購入

  • その他、米や調味料、揚げ油なども忘れずに用意

  • 調理器具や調味料は、各自が家庭から持ち寄ることに

買い出しに出かけるのも一苦労。かつてバスがあった時代には、複数人で連れ立って買い物に出かけることが日常で、バスの中では自然と交流が生まれていました。現在は、限られた乗合タクシーしかないため、移動のタイミングや人数にも制約があります。重たい荷物を手に坂を上り下りするのはとても大変で、バス廃止の影響は日常生活のすみずみにまで及んでいます。

それでも、久しぶりにみんなで集まってお弁当を作るという目的のため、住民たちは協力しながら買い出しを楽しみました。ひむバスの存在が、移動手段だけでなく、地域のつながりや交流のきっかけを再び作り出していたことが感じられる場面でした。

団地の絆が詰まった手作りお弁当

買い出しを終えた一行が向かったのは、木山順子さんのご自宅。ここでお花見に向けたお弁当作りが始まりました。中心となる料理は、鹿児島の郷土料理「がね」です。「がね」とは、サツマイモやニンジン、ピーマンなどの野菜を細切りにして小麦粉でまとめて揚げたかき揚げ風の一品で、名前の由来は見た目がカニ(鹿児島弁で「がね」)のように見えることからきています。

  • 材料にはサツマイモ、ニンジン、ピーマン、ショウガなどを使用

  • マヨネーズでコクを出し、塩味は控えめ

  • 小麦粉をまぶして油でカリッと揚げる

  • 彩りもよく、冷めても美味しいのが特徴

木山さんの手際の良さに加え、日当瀬貴美子さんと樺山トシ子さんのサポートも加わり、台所には活気があふれていました。3人は日頃から助け合いながら生活しており、買い物や通院、ゴミ出しまで、自然と分担しながら日常を送っているそうです。この日のような行事も、全員で協力し合って準備をすることで、楽しみが何倍にも広がっていくのです。

かつて団地にあった路線バスの車内は、自然な会話が生まれる交流の場でもありました。買い物を終えた後、バスの中で今日の献立や家族の話をすることが日常のひとつになっていたといいます。運転手も住民をよく知っていて、重い荷物を降ろすのを手伝うような関係性が築かれていました。

今はそのような場が失われてしまったものの、今回のひむバスをきっかけに、再び人と人とがつながる時間と空間が戻ってきたように感じられました。ひとつひとつの料理に込められた気持ちと、笑顔で協力する住民たちの姿に、団地で育まれてきた深い絆がしっかりと映し出されていました。

満開の吉野公園へ!12人乗せて出発

いよいよお花見当日。ひむバスが12人の団地住民を乗せ、春の陽気の中、目的地の吉野公園へと出発しました。運転を担当するのは、番組おなじみの日村勇紀さん。高台にある団地をゆっくりと抜けながら、住民たちの期待を乗せて走ります。

道中には、思いがけないうれしい再会も待っていました。かつてこの団地で路線バスの運転手をしていた鈴木陽平さんが登場。実は以前から「日村さんにそっくり」と言われていたそうで、久しぶりの再会に車内は大盛り上がり。団地時代の思い出話にも花が咲き、道中からすでにお花見気分が高まっていきます。

到着した吉野公園では、運転手たちが事前に場所を確保してくれていたおかげで、スムーズにレジャーシートを広げることができました。この公園は、鹿児島でも有数の桜の名所として知られており、約800本の桜が一斉に咲き誇る絶景スポットです。満開の桜の下に立つだけで、自然と笑顔がこぼれるような美しさが広がっていました。

団地の皆さんは、手作りのお弁当を囲んでにぎやかな食事会をスタート。木山さんたちが心を込めて作った「がね」ももちろん登場し、「これが食べたかったのよね」といった声も上がるなど、温かい空気に包まれていきます。

さらに、お花見の場では簡単な踊りも披露され、体を動かして笑い合う時間が続きました。年齢を問わず楽しめる行事に、参加者たちの表情はどれも晴れやか。久しぶりに大人数で出かけたという開放感もあり、「またこういう機会があればうれしいね」と感じる時間となっていました。

この日のひむバスは、ただの移動手段ではなく、思い出をつくる“きっかけ”としての役割を果たし、住民たちの心にも深く残るものとなりました。

思い出のバスとの再会に涙

帰り道、団地の住民たちにもうひとつの感動的なサプライズが待っていました。それは、かつて永吉団地で実際に運行していた本物の路線バスとの再会です。今では見ることができなくなったそのバスが、懐かしい姿のまま目の前に現れた瞬間、住民たちは驚きとともに立ち止まり、じっとその姿を見つめていました。

中には、思わず目に涙を浮かべる方の姿も。日々の移動を支えてくれたバス、車内で交わしたささやかな会話、重たい荷物を気遣ってくれた運転手とのふれあい。そうした日常のなかの温かい記憶が、一気によみがえってきたのです。

この出来事は、ただのノスタルジーにとどまらず、地域のつながりや助け合いの象徴としての「バスの存在」を改めて感じさせるものでした。バスがあることで外出ができ、交流が生まれ、暮らしが広がる。単なる移動手段ではなく、暮らしの中に根ざした大切な存在だったことを実感する瞬間でした。

番組を通して描かれたのは、こうした移動の問題だけでなく、そこに息づく人と人との絆や、思い出の価値でした。ひむバスは、地域の願いに応えるだけでなく、その土地に眠っていた記憶や笑顔を呼び起こし、未来への希望をつなぐ存在としても大きな役割を果たしていました。

そしてこのあたたかい物語を包み込むように語っていたのが、ナレーションを担当した上白石萌音さんのやさしく落ち着いた声。鹿児島出身の彼女だからこそ伝えられる、ふるさとへのまなざしと親しみが、番組の雰囲気に自然に溶け込んでいました。静かで力強いその語りが、視聴者の心にも深く残る締めくくりとなりました。

おわりに

今回の『ひむバス!』は、ただの送迎ではなく、地域の声を聞き、思い出をつなぐ旅となりました。かつての暮らしを知る世代にとって、交通手段の復活は単なる利便性ではなく、コミュニティの再生にもつながることが伝わってきました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました