ムシできない関係!ナスとオクラ、ソルゴー
5月20日(火)午前11時5分から放送予定のNHK『やさいの時間 里山菜園 有機のチカラ』では、ナスとオクラ、そしてソルゴーを活用した自然の力を生かす害虫対策がテーマになります。ナスやオクラは秋まで長く収穫できる人気の夏野菜ですが、特にナスは「アザミウマ類」と呼ばれる小さな害虫による被害が多く、栽培するうえでの大きな悩みの一つです。今回はその対策として、オクラの持つ不思議な力やソルゴーの活用法に注目。自然との共存を目指す有機栽培の知恵がたっぷり紹介される内容です。
アザミウマ類とは?見逃せないナスの害虫
ナスに発生するアザミウマ類(スリップス)は、体長わずか1mmほどの小さな害虫で、葉や果実の表面から汁を吸って植物を弱らせます。見た目には目立ちにくいですが、繁殖力が高く、一度増えるとあっという間に畑全体に広がるため、被害を受けた作物の見た目が悪くなったり、最悪の場合は商品価値がなくなることもあります。
特に注意したいのは以下のようなアザミウマです。
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ミナミキイロアザミウマ:特に果実に対する被害が大きく、食味や見た目にも影響します。
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ミカンキイロアザミウマ:ウイルスを媒介するリスクがあるため、早期発見と対処が重要です。
こうした害虫は目に見えにくいからこそ、日々の観察と予防策が重要となります。
オクラとヒメハナカメムシの“協力関係”
今回の番組で注目されるのが、ナスのそばでオクラを一緒に育てるという混植による自然防除のアイデアです。オクラの葉や茎には“真珠体”と呼ばれる透明な粒状の分泌物が現れます。この真珠体は、アザミウマを捕食してくれるヒメハナカメムシにとってのエサになります。
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ヒメハナカメムシはアザミウマの天敵
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真珠体を目当てに集まったヒメハナカメムシが、結果としてアザミウマを食べてくれる
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オクラを植えることでヒメハナカメムシを畑に定着させやすくなる
つまり、オクラが害虫の天敵を呼び寄せる“エサ場”の役割を果たしてくれるのです。これは化学的な農薬に頼らずに、自然の生態系を利用した防除方法であり、家庭菜園でも取り入れやすい工夫です。
天敵を呼ぶもう一つの秘密兵器「ソルゴー」
さらに、番組では「天敵温存植物」としてのソルゴー(ソルガム)にも注目しています。ソルゴーはイネ科の植物で、畑の周辺に植えることで次のような効果を発揮します。
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アブラムシを引き寄せることで、それを食べるテントウムシやクモなどの天敵を呼び込む
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天敵が畑に長く留まることで、アザミウマやアブラムシなどの害虫が自然に減っていく
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風よけや緑肥(畑の土を元気にする肥料)としても役立つ
つまり、ソルゴーはただの植物ではなく、畑を守る“味方”を呼び寄せてくれる重要な存在です。ナス、オクラ、ソルゴーを上手に組み合わせて栽培することで、それぞれが役割を持ちながら、畑全体の健康を保つことができるという仕組みです。
有機のチカラで育てる“やさしい畑”
このような自然との共存をテーマにした栽培法を指導しているのが、有機栽培研究家の佐倉朗夫さんです。今回の放送では、佐倉さんの知見をもとに、実際にどのように作物を植え、天敵を活かしているかを視聴者と一緒に体験するような形で紹介される予定です。
また、出演者にはモデルのトラウデン直美さんや、環境問題にも関心のある俳優牧田習さんが参加し、畑での作業や観察を通じて、子どもでもわかりやすく、自然農法の考え方を学んでいきます。番組全体をやさしく包むのは、アニメなどでおなじみの関智一さんの語りです。
放送情報まとめと今後の見どころ
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番組名:やさいの時間 里山菜園 有機のチカラ「ムシできない関係!ナスとオクラ、ソルゴー」
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放送日時:2025年5月20日(火)11:05~11:30
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放送局:NHK総合(Ch.1 東京)
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出演者:トラウデン直美、牧田習、宮崎慶太アナウンサー、語り:関智一
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栽培指導:佐倉朗夫(有機栽培研究家)
ナスとオクラという夏野菜の定番に、ソルゴーというあまり知られていない植物を組み合わせ、虫とたたかうのではなく“自然と共に育てる”方法を探る今回の放送。今後の家庭菜園や市民農園でも役立つ知恵が満載の内容となることが期待されます。
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