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NHK【所さん!事件ですよ】音や手触りで味が変わる!?ロンドン発「多感覚レストラン」とAI調香の世界|2025年10月25日

所さん!事件ですよ
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音や手触りで味が変わる!?人間の“五感”を刺激する最新テクノロジーの世界

私たちは、食べ物の味を「舌」で感じていると思いがちですが、実はそれだけではありません。あなたは、「音」や「手触り」で味の感じ方が変わることがあると聞いたら、信じられますか?今回の『所さん!事件ですよ』(2025年10月25日放送)では、まさにそんな“感覚のトリック”に迫る特集が組まれました。ロンドンの奇妙なレストランから、香りをAIが設計する最新技術まで――“五感をダマす”最前線を探ります。この記事では、その驚きの内容をすべて紹介します。

イギリス・ロンドンの「多感覚レストラン」で味が変わる!

イギリス・ロンドンで注目を集めているのが、「多感覚レストラン」と呼ばれる新しい食体験の場です。店内に入るとまず目に飛び込んでくるのは、テーブルいっぱいに映し出される海の映像。波の音や光の揺らぎがリアルに再現され、まるで海辺で食事をしているような気分になります。料理は味だけでなく、視覚・聴覚・嗅覚までも巻き込んで楽しむ仕掛けになっています。

この日、番組スタッフが体験したのは、なんとクラゲバーガー。ヨーロッパではクラゲを食べる文化がほとんどなく、ゲストたちも「まさかクラゲを食べるとは!」と驚きを隠せませんでした。クラゲは独特の弾力と透明感を持ち、シェフはその不思議な食感を“海を感じる食材”として演出。映像と音で海の世界を作り出すことで、未知の食材に対する抵抗感を減らす効果があるといいます。

さらに特徴的なのが、食事の際に配られるヘッドフォン。装着すると、軽快な咀嚼音がリズミカルに流れ出します。その音に包まれながら食べると、実際の食感がよりシャキッと感じられ、味まで濃く感じるという現象が起こります。これは「聴覚が味覚を補強する」という科学的効果に基づいたもので、人間の脳が“音”から食感をイメージして味を錯覚的に変化させることが分かっています。

また、テーブルの上には土の香りがほのかに漂い、その中で提供されるのがじゃがいもの一皿。香りが加わることで、普段よりも深みのある味わいに感じられるのです。オックスフォード大学の研究チームによると、人間は嗅覚と聴覚から得た情報を脳内で統合し、味の印象を“作り替える”ことができるといいます。つまり、同じ料理でも環境や音、香りによってまったく違う味に感じることがあるというのです。

この多感覚レストランのように、五感を総動員して食を体験する試みは、ヨーロッパを中心に広がりを見せています。食べることが単なる栄養摂取ではなく、「物語を感じる体験」へと進化していることを、このレストランは象徴していました。

ザラザラした感触が“炭酸”を強く感じさせる!?

次に取り上げられたのは、触覚と味覚の関係という一見つながりがなさそうなテーマです。番組では、ある実験が紹介されました。それは「ザラザラしたものを触りながら飲むと、炭酸の刺激をより強く感じる」というもの。実際に参加者が目を閉じてコップを持ち、指先で異なる質感の布や紙に触れながら炭酸飲料を飲むと、不思議なことにザラザラしたものを触っているときの方が「シュワッ」とした感覚を強く覚える人が多かったのです。

これは、指先から伝わる“粗さ”の感覚が脳内で“刺激”として解釈され、それが飲み物の炭酸の刺激と重なって感じられるためと考えられています。人間の脳は、五感を別々に処理しているようでいて、実は常に“統合”して認識しているのです。視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚が互いに影響し合い、「おいしい」と感じる瞬間をつくり上げています。

さらに番組では、黒い皿と白い皿を使った別の実験も紹介されました。同じデザートを2種類の皿に盛り付けて食べ比べると、多くの人が白い皿の方を「甘い」と答えたのです。黒い皿の上では味の印象がやや引き締まり、白い皿ではやわらかく感じられる傾向がありました。これは、白が明るく清潔な印象を与えることで、脳が“やさしい味”と結びつけてしまうためとされています。

このような現象は、クロスモーダル効果(感覚の相互作用)と呼ばれ、近年は食品業界やデザイン業界でも注目されています。例えば、カップの質感やスプーンの重さ、器の形によっても味の印象が変わることが分かっており、レストランやカフェでは「器からおいしさを設計する」試みが増えています。

また、番組では色彩と心理の関係にも触れました。ファーストフード店の約7割が赤を基調としているのは、赤が「食欲を刺激する色」として知られているからです。反対に青は食欲を抑える色とされ、ダイエット関連の広告などによく使われます。

こうした研究の積み重ねによって、私たちが「おいしい」と感じる瞬間には、実は視覚や触覚、色、温度といった無数の要素が関わっていることが分かってきました。日常の中で無意識に“ダマされている”瞬間が、実は科学的に説明できる現象だということを、この実験は教えてくれます。

見えているものに“触覚”が引きずられる!?

番組ではさらに、視覚と触覚の関係を探る実験が紹介されました。用意されたのは、一見シンプルな装置です。モニターの裏側に円柱状の物体を設置し、参加者がその表面を指でなぞると、モニター上に自分の動きがリアルタイムで映し出されます。ところが、実際に指で触っている形と、画面に映る形が微妙に異なるように設定されていました。

このとき、多くの参加者は「違和感を感じなかった」と答えました。目で見た映像の形が脳に強く影響し、本来の触感よりも“見えている形”を優先して認識してしまったのです。指先は確かに円柱をなぞっているのに、画面上の形が四角ければ、脳は“角ばったものを触っている”と錯覚する。つまり、目からの情報が触覚を上書きしてしまうということです。

この実験を行ったのは、中野珠実准教授。番組の中で中野准教授は「人間は目からの情報に非常に強く影響される」と語り、脳がいかに視覚を信頼しているかを説明しました。五感の中でも視覚が占める割合は非常に大きく、他の感覚を“従わせてしまう”ことがあるのです。

この研究は、ヒューマンインターフェースバーチャルリアリティ(VR)技術の分野でも注目されています。たとえば、現実には存在しない触感を映像で補うことで、あたかも実際に触っているような体験を再現できる可能性があるためです。近年では、医療リハビリやデザイン教育にも応用されはじめており、脳の錯覚をうまく利用することで、人の感覚を豊かに拡張できると期待されています。

番組での実験風景はシンプルながら、視覚と触覚の境界がどれほど曖昧であるかを鮮明に示していました。見えているものが“真実”だと思い込んでいる私たちにとって、この現象はまさに、感覚の信頼を揺さぶる瞬間といえるものでした。

自動車も“五感”で感じる時代へ!

続いて紹介されたのは、愛知県下山にある自動車の開発現場です。ここでは、伊原弘将技術者たちが「人の五感に訴える車」を目指して、日々研究と改良を重ねています。開発の中心となっているのは、単に性能や燃費を追求するのではなく、“心地よさ”や“安心感”といった感覚そのものを設計するという新しい発想です。

研究施設の内部では、ドライバーの脳の反応を計測するための特殊な装置が設置され、照明や音、振動などが綿密にコントロールされています。たとえば、車内の照明をあえて点滅させたり、チカチカした音楽を流したりして、ドライバーの集中力や心理的な変化を測定する実験が行われていました。これにより、長時間運転でも疲れにくく、心地よい刺激を与える照明や音の組み合わせを導き出そうとしているのです。

さらに驚くのは、走行音まで人工的にデザインされていることです。エンジン音やロードノイズは、ただの副産物ではなく「車の個性」として設計されています。音の周波数やリズムを変えることで、スピード感や走行の楽しさが変化します。中には、マニュアル車の運転感覚を再現する車両も開発されており、クラッチを切り替えた瞬間の軽い衝撃や、エンジン回転数の上昇音までもが細かく再現されていました。これにより、オートマ車でも“人と車が一体になる”感覚を味わえるように工夫されています。

一方で、開発チームが特にこだわっているのがドアの閉まる音です。単なる「パタン」という音にまで、驚くほどの研究が注がれています。実験では、マネキンに内蔵された特殊マイクを使い、ドアを閉めた瞬間の金属音や空気の圧力の変化を詳細に測定。そのデータをもとに、ドアの構造や内部の素材、パッキンの硬さまで調整しています。わずか数デシベルの違いでも、人が「安心できる音」と感じるかどうかが変わるため、細部にまで神経が使われています。

こうした取り組みの背景には、音が人の心理に与える影響を重視する考え方があります。車のドア音ひとつで「高級感」や「信頼感」を感じることができるため、“耳の心理”と“機械設計”の融合が欠かせません。近年では、車の静粛性を高めるだけでなく、「心地よい音をデザインする」ことが自動車メーカーの新たなテーマになっています。

愛知県下山の開発現場は、その最先端を走る場所として注目されており、人間の感覚とテクノロジーを組み合わせた車づくりの未来を感じさせる内容でした。

香りで購買意欲を刺激!?AI調香が生み出す新たな世界

最後に紹介されたのは、東京・有明で開催された大型コンテンツビジネス展示会です。広い会場の一角に設けられたのは、「緑茶が飲みたくなる香り」をテーマにした体験型ブース。訪れた人がブースに入ると、ほんのりとした茶葉の香りが漂い、自然と「お茶が飲みたい」と感じるように設計されていました。香りの強さやタイミングも細かく制御されており、わずか数秒で人の感情に働きかける仕掛けになっています。

この香りを生み出したのは、なんとAI(人工知能)です。従来のように人間の調香師が香料を組み合わせるのではなく、AIが膨大なデータをもとに「どんな香りが“緑茶を飲みたくさせる”のか」を分析し、レシピを自動で生成。人間の発想では出てこない意外な組み合わせを提示した結果、来場者の多くが「思わず深呼吸したくなる」「懐かしいのに新しい香り」と反応しました。

香りの効果について解説したのは、早稲田大学商学学術院の恩藏直人教授です。恩藏教授は「香りは脳を直接刺激するため、マーケティングにおいて非常に強力なツールになる」と話しました。視覚や聴覚と違い、嗅覚は脳の記憶や感情を司る部分と直結しており、香りひとつで“懐かしさ”や“安心感”を呼び起こすことができるのです。企業が店舗や広告に香りを導入する理由も、こうした科学的根拠に支えられています。

さらに、番組ではAIの新たな能力も紹介されました。AIは香りを言葉や数値で処理するだけでなく、画像から香りを作り出すことができるというのです。たとえば、人物の写真を見せると、その人の印象をもとに“香りのレシピ”を自動生成します。実際に番組では、所ジョージさんの写真をAIに入力したところ、出てきたのはなんと“工事現場のような香り”。金属やオイル、日差しに照らされたアスファルトを思わせる香りで、会場からは驚きと笑いが起きました。AIは人の表情や服装、背景から“エネルギッシュで創造的”というイメージを読み取り、それを香りに変換していたのです。

香りの力がいかに強いかは、科学的にも証明されています。香りは記憶と感情を同時に呼び覚ます感覚であり、たとえば特定の香りを嗅ぐだけで昔の思い出や感情が鮮明に蘇ることがあります。こうした「プルースト効果」と呼ばれる現象は、香りが人の行動や購買意欲にも大きく影響を与えることを示しています。

展示会でのこのブースは、AIと人間の感性が融合した新しいマーケティングの形として、多くの来場者の注目を集めていました。香りが“情報”や“体験”の一部として扱われる時代が、すでに始まっていることを感じさせる内容でした。

まとめ:五感を操るテクノロジーが変える“未来の体験”

この記事のポイントは以下の3つです。
・味覚は“舌”だけでなく、音や手触り、香りなど五感すべてで構成されている。
・視覚や触覚、聴覚を組み合わせることで、味や感情の感じ方を自在にコントロールできる。
・AIや最新の設計技術により、香りや音を使った“体験型マーケティング”が加速している。

近い未来、私たちは「味わう」「聞く」「触る」といった感覚をすべて一体化させた“多感覚の世界”を生きることになるでしょう。食事も買い物も運転も、ただの行動ではなく、心と感覚を刺激する体験としてデザインされていく――その最前線を『所さん!事件ですよ』が鮮やかに描き出していました。


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