なぜ人はコレクションをするのか?「集める本能」と心の満足を探る
あなたの身の回りにも、気づけば“集めているもの”がありませんか?切手、フィギュア、コーヒーカップ、レコード、推しのグッズ、旅先の御朱印帳…。それらを並べて眺めていると、なぜか心が落ち着く。そんな感覚を持つ人は多いはずです。
一見すると単なる「趣味」や「癖」に見えるコレクション。けれど、心理学や人類学の研究では、人がモノを集める行動は深い本能と感情の表れだとされています。
この記事では、2025年10月31日放送予定の『チコちゃんに叱られる!』のテーマ「なぜ人はコレクションをするのか?」にあわせて、人間の“集めたい欲”の正体を本能・心理・社会の3つの側面から掘り下げていきます。
本能に刻まれた“集めたい”という衝動
コレクションの原点は、太古の人類が生き延びるために培った「獲得本能」にあります。
狩猟採集の時代、人は食料や道具を見つけ出して“集めて蓄える”ことで生き延びてきました。その名残が、現代にも形を変えて残っていると考えられています。
例えば、レアなアイテムを見つけたときに感じる「うれしさ」や「興奮」。これは単なる気分ではなく、脳内でドーパミンが分泌される報酬反応によるものです。
『Psychology Today』誌によると、人間は“レアものを手に入れた”とき、狩りで獲物を得たときと同じ脳の部位が反応するという研究結果が報告されています。
つまり、「限定品」「初版」「一点もの」に惹かれるのは、進化の過程で刻まれた“集めて得る快感”のDNAが働いているからなのです。
コレクションは“時間の記憶”をつなぐ装置
もうひとつの理由は、人が記憶を形にして残したいという欲求を持っていること。
コレクションには「思い出を留めておきたい」という願いが込められています。
子どものころに憧れたおもちゃ、青春時代に聴いたレコード、旅先で買ったポストカード――それぞれの品が、特定の時間や感情を思い出させてくれます。
心理学的には、これを「ノスタルジー・コレクション」と呼び、自己のアイデンティティを保つための行動と位置づけられています。
たとえば、祖父の形見の腕時計を磨く行為には、“自分のルーツをつなぐ”という意味があり、コレクションは単なるモノ集めではなく“心の継承”ともいえるのです。
そのため、特定のジャンルに偏ったコレクションも、実はその人の「人生の軌跡」を物語っていることが多いのです。
“秩序をつくる安心感”が心を整える
現代社会は情報もモノもあふれ、不安や混乱を感じやすい時代です。そんな中で、コレクションは自分の世界に秩序をつくる行為として心を落ち着かせる役割を果たします。
好きなアイテムをカテゴリー別に分類したり、並べ方にルールを作ったりする過程は、心理学的に「秩序化欲求」と呼ばれるもの。
『Melbourne Art Class』によると、人は無意識のうちに自分の周囲に秩序を見出すことで“安心感”を得ようとする傾向があるといいます。
また、「このシリーズをすべて揃えた」「限定版を入手できた」という成功体験は、自己効力感(self-efficacy)を高める効果があります。
これは、「やればできる」という前向きな感情を生み、仕事や日常のモチベーションにも好影響を与えるのです。
つまり、コレクションは“癒やし”や“達成感”を同時に与える心理的なセラピーでもあるのです。
仲間とつながる“共感の文化”
コレクションの魅力は、ひとりで楽しむだけでは終わりません。
SNSや展示会、オークション、オンラインコミュニティなどを通じて、同じ趣味を持つ人たちと交流することで、共感や承認という新しい価値が生まれます。
このような“コレクター文化”は、現代社会における「人とのつながりの再発見」としても注目されています。
『サイエンスフォーカス』によれば、希少なコレクションを共有することは、社会的承認を得る行為でもあり、コレクター同士の絆を深める要因になっているといいます。
さらに、展示会やイベントに出展することで「自分の世界観を発表する」機会にもなり、それが自己表現のひとつとして機能しています。
つまり、コレクションとは“他者との共感を生むアート”でもあり、“自分の個性を社会に伝えるメディア”でもあるのです。
“投資”としてのコレクションという新しい視点
近年では、コレクションを「資産」として捉える動きも広がっています。
『Collectibles Insurance Services』によると、ヴィンテージワインやアートトイ、限定スニーカー、レトロゲームなどは、時間の経過とともに価値が上がるケースが多く、“情熱と投資の融合”と呼ばれています。
ただし、注意したいのは、「お金のために集める」ことが目的化すると、本来の楽しみが薄れてしまうという点です。
“投資としての価値”と“趣味としての喜び”のバランスを保つことが、健全なコレクターの条件ともいえます。
それでも、好きなものを長年大切に保管することで結果的に価値が上がるというのは、まさに“心の豊かさが実を結ぶ”瞬間なのかもしれません。
放送後追記予定:『チコちゃんに叱られる!』で明かされる人類のコレクション本能
2025年10月31日の放送では、『チコちゃんに叱られる!』がこのテーマを取り上げ、脳科学者や文化人類学者が“なぜ人はモノを集めたがるのか”を科学的に解き明かします。
番組内では、世界的なコレクターの実例や、日本独自の「推し文化」「ご当地グッズ」「限定アイテムブーム」なども紹介される予定です。
また、ゲストの郷ひろみさんと森七菜さんが語る“自分のコレクション話”にも注目が集まりそうです。
放送後には、番組で紹介された専門家のコメントや新たな発見を追記して、この記事をアップデート予定です。
まとめ
この記事のポイントを整理します。
・コレクションは“獲得本能”に根ざした自然な行動である
・集めることは“記憶を形にする”ことであり、自己確認の手段でもある
・整理や達成によって“安心感と自己効力感”を得られる
・共通の趣味を通じて“社会的なつながり”や“承認”が生まれる
・時に“資産”にもなり、情熱が価値を生む
つまり、コレクションとは「モノを集める」のではなく、「自分自身を少しずつ集めていく」行為なのです。
あなたの棚に並ぶお気に入りのアイテムも、きっとあなたの心の地図を描いているはずです。
放送:NHK総合『チコちゃんに叱られる!』2025年10月31日(金)19:57〜20:42
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