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NHK【チコちゃんに叱られる!】紙がぬれてゴワゴワになる理由とは?知られざる“紙目”と“水素結合”の秘密|2025年10月17日★

チコちゃんに叱られる!

紙がぬれて乾くとゴワゴワするのはなぜ?水と繊維がつくる“見えない変化”の秘密

紙をうっかり濡らしてしまったあと、乾いたら「バリバリ」「ゴワゴワ」になってしまった――。そんな経験、誰にでもありますよね。アイロンをかけても元通りにはならないし、触るとザラザラと硬い。
でも実はこの現象、単なる“乾燥の失敗”ではなく、紙の内部構造が科学的に変化しているからなんです。
この記事では、『チコちゃんに叱られる!』のテーマ「紙がぬれて乾くとゴワゴワする理由」をもとに、専門的な視点を交えながら、紙の性質と科学的メカニズムをやさしく解説します。(放送後に番組内での実験・解説を追記予定です)

紙はただの「薄い板」じゃない?構造の中に潜む繊維の世界

まず知っておきたいのは、紙の正体。
紙は木材パルプなどから作られる「セルロース」という植物繊維の集まりです。このセルロースは糸のように細い繊維で、それらが絡み合い、さらに「水素結合」という力でお互いをギュッと引き寄せて一枚の紙を作っています。

紙の内部は目には見えませんが、まるで小さな“繊維のジャングル”のような構造。繊維が交差し、重なり、一定方向に伸びています。この「繊維の向き」は“紙目(かみめ)”と呼ばれ、紙が破れやすい方向や、波打ちやすい方向を決める重要な特徴です。

こうしてできた紙は、一見すると乾いて安定した素材に見えますが、実はとても湿気に敏感な物質。周囲の湿度が上がるだけで、紙の中では小さな変化が起き始めます。

濡れるとどうなる?水が繊維のすき間に入り込む

紙の主成分であるセルロース繊維には、「ヒドロキシ基(–OH基)」という水と強く結びつく性質を持つ部分があります。
紙が濡れると、水分子がこのヒドロキシ基と反応し、セルロース同士をつなぐ水素結合が一時的に切れてしまうのです。

すると、繊維同士の“結びつき”が緩み、隙間に水分子がどんどん入り込んでいきます。これが、紙が一時的に柔らかく、ふにゃっとなる理由です。
まるで乾いたスポンジが水を吸うように、紙の内部で繊維が膨らみ、ゆるやかに離れていきます。

乾燥で起きる“ズレ”と“ねじれ”――ゴワゴワの正体

問題はこのあと。紙が乾くとき、繊維から水分が蒸発し、再び縮み始めます。
でも、ここで一つの“落とし穴”があります。

乾燥のスピードは、紙のすべての場所で同じではありません。
・繊維が密に絡まっている部分は水が抜けにくく、乾きが遅い
・繊維がゆるい部分は早く乾き、すぐに収縮を始める

この乾燥スピードの差が、ゴワゴワの第一の原因です。部分的に縮む箇所と、まだ湿っている箇所が共存すると、紙全体が歪み、うねり、波打ちます。

さらに、紙には「紙目」と呼ばれる繊維の方向性があるため、縦方向と横方向では収縮率が異なります。
例えばコピー用紙を濡らすと、縦方向には比較的まっすぐなのに、横方向に波打つことが多いのはこのため。繊維の方向に沿って動く部分と、それを押さえ込もうとする部分が拮抗し、微妙なシワが残ります。

乾燥が進むと、繊維同士は再び水素結合を作り始めますが、そのときすでに位置がずれているため、濡れる前の“平らな配置”には戻れません。この“ずれたまま固まった状態”こそが、あの「ゴワゴワ」の正体なのです。

熱や風がもたらす“乾燥ムラ”

「早く乾かそう」と思ってドライヤーの温風を当てた経験はありませんか?
実はこれ、紙のゴワゴワを悪化させる代表的な行為。

ドライヤーの風が当たった面は一気に乾き、反対側はまだ水分を含んでいます。
このとき、乾いた面が先に縮むため、紙全体が反り返ったり、波状にうねったりするのです。
また、温度が高いほど乾燥の速度差が大きくなり、繊維の収縮ムラも強調されてしまいます。

同じ理由で、日光の当たる窓辺やヒーターの近くで乾かすのもおすすめできません。理想は「ゆっくり・均一に乾かす」こと。時間はかかりますが、紙の内部構造が少しずつ安定していくため、歪みが最小限で済みます。

元に戻らない理由――繊維の“記憶”が変わる

紙を乾かしたあと、アイロンで伸ばしても完全には元に戻らないのは、繊維が別の位置で固定されてしまっているためです。
セルロース繊維は、一度水素結合が切れると、再び結びつくときに「最も安定な位置」で固まります。その位置が、元の構造と微妙に違っていても、紙はそれを新しい“平衡状態”と認識してしまうのです。

つまり、紙は「もとあった姿」ではなく、「新しい姿で固まる」性質を持っているのです。これは、木材が湿気で反ったり、布が洗濯で縮んだりする現象と同じ理屈です。

ゴワゴワを防ぐちょっとした工夫

もし紙をきれいに乾かしたいなら、次の方法を試してみてください。

ティッシュやキッチンペーパーで軽く押さえて水分を吸い取る
新聞紙や吸湿紙にはさんで重しを乗せて乾かす
エアコンの送風など、やわらかい風で全体を均一に乾かす
乾いたあとにアイロンをかける場合は、当て布を使って低温で短時間に

このように“ゆっくり乾かす・平らに保つ”ことが、ゴワゴワを防ぐ一番のコツです。

紙の科学が教えてくれること

紙は一見シンプルな素材ですが、その内部では化学と物理が複雑に絡み合っています。
濡れて乾くという何気ない変化の中で、繊維のつながりが切れ、再び結び直される――それはまるで、自然素材が環境と対話しているような現象です。

だからこそ、和紙や書道用の半紙は職人が湿度や乾燥具合を徹底的に管理して作ります。湿気のわずかな差が、書き味や発色、音まで左右してしまうからです。

まとめ

この記事のポイントは以下の3つです。

  1. 紙はセルロース繊維の集まりで、水に濡れると水素結合が切れ、構造がゆるむ。

  2. 乾燥時のスピード差と繊維の方向の違いで、うねりやシワが残る。

  3. 均一でゆっくりした乾燥が、ゴワゴワを防ぐカギになる。

紙の“ゴワゴワ”は、自然素材だからこそ起こる繊細な変化。
次にノートが濡れてしまったときは、少し時間をかけて乾かしてみてください。見た目だけでなく、紙の中で起きている“小さなドラマ”を想像するのも、科学の楽しみ方のひとつです。

【放送情報】
番組名:『チコちゃんに叱られる!』
放送日:2025年10月17日(金)19:57〜20:42
出演:岡村隆史、片桐はいり、花村想太、塚原愛
声:木村祐一
ソース:NHK番組表(https://www.nhk.jp/p/chicochan/)


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