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NHK【チコちゃんに叱られる!】人はなぜ庭をつくるようになった?古代の祈りからベランダガーデンの心理効果まで|2025年10月24日★

チコちゃんに叱られる!

人はなぜ庭をつくるようになった?自然と心をつなぐ“もうひとつの世界”へ

「庭」という言葉には、美や癒しのイメージが強くありますが、その起源はずっと実用的なものでした。人類が定住し、農耕を始めた頃、庭は食料・薬草を育てるための畑や薬草園として誕生しました。
作物を守るために柵を設け、動物を遠ざけるために囲いをつくる——これが“庭”の原点です。外敵から家族を守り、自然と生活の境界を保つための空間でもありました。そこには、単なる景観ではなく、“人が自然を管理しながら共に生きるための知恵”が詰まっていました。

時が経つにつれ、人々は庭に花を植え、木陰をつくり、鳥や風の音を楽しむようになります。つまり、庭は“生きるための場所”から“心を潤す場所”へと変わっていったのです。

古代の庭は“神と人をつなぐ聖なる空間”

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最古の庭の痕跡は、古代メソポタミア文明まで遡ります。神殿や宮殿の周囲には水路や木立が配置され、そこは神に祈りを捧げる神聖な場所とされていました。
中でも有名なのが、バビロンの空中庭園。王ネブカドネザル2世が、故郷を恋しがる妻のために造ったとされる伝説の庭です。人工的に造られた高台に緑を育て、滝や水路を設ける——人間が“天上の楽園”を地上に再現しようとした象徴的な試みでした。

古代エジプトでも同様に、庭は信仰と生命の象徴でした。神殿の中庭には池があり、聖なる植物であるハスの花が植えられていました。庭は“再生と永遠”の象徴でもあり、死後の世界でも神々とともに過ごす理想の空間として描かれていたのです。

ヨーロッパの庭は“権力と理性の象徴”

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中世から近世にかけて、ヨーロッパの庭は権力と理性の象徴として発展します。
フランスのベルサイユ宮殿庭園はその代表で、王の支配力と秩序を示すために、完璧な幾何学構図で設計されました。噴水や彫像、左右対称の並木道など、すべてが「自然を制御し、人間の理性の力を誇示する」デザインです。
庭は単なる美の空間ではなく、“見る者に力と秩序を感じさせる舞台装置”でもありました。

一方、イギリス庭園は18世紀になると形式美から離れ、曲線的で自然に見える“風景式庭園”が登場します。湖や丘、樹木を配置し、まるで絵画の中を歩くような風景を演出しました。これは、“自然と人の調和”を重視する新しい価値観の表れでもあります。

東洋の庭は“自然と心の対話”の場

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東洋、特に中国日本では、庭は自然と人との関係を象徴する空間でした。
中国では“自然の縮図”として山水庭園が発達し、岩や池を通じて宇宙や哲学的世界観を表現しました。その流れを受け継いだ日本庭園は、さらに繊細な美学を生み出します。

京都の龍安寺大徳寺の『枯山水』は、水を使わずに石や砂で川や海を象徴。静寂の中に自然の動きを感じる空間です。
一方、『露地庭』は茶室へと続く道として計算され、歩くたびに景色が変わるよう設計されています。『借景』の技法では、遠くの山や木々を庭の一部として取り込み、空間に奥行きを与えます。

これらの庭には、「自然を支配する」のではなく、「自然と共に生きる」日本人の哲学が息づいています。“間(ま)”や“静けさ”を感じることで、心を整える文化がそこにあります。

現代の庭は“癒しとつながりの場”へ

現代社会では、庭は再び人々の生活に欠かせない存在となっています。
ストレス社会の中で、ガーデニングは心の安定や幸福感を高めることが科学的にも証明されています。実際、都市部でもベランダや屋上で植物を育てる“マイクロガーデン”が広がり、自然との接点をつくる動きが活発です。

さらに、公共の庭やコミュニティガーデンは、人と人をつなぐ場としても機能しています。世代や国籍を超えて集い、花や野菜を育てながら交流する。そこには古代から続く“人と自然の共生”の精神が息づいています。

庭をつくるということは「心を描く」こと

庭とは、土地に自分の“世界”を描く行為でもあります。そこには生き方や美意識、祈りや希望が映し出されます。
現代のベランダに置かれた小さな鉢植えにも、疲れた心を癒す力があります。古代メソポタミアの神殿の庭も、京都の枯山水も、そしてあなたの部屋の小さな緑も、すべては「人が自然とつながりたい」という願いの表れなのです。

庭をつくるということは、自然と心を調和させ、自分自身の時間を取り戻すこと。それは今も昔も変わらない“人間の本能的な行為”なのかもしれません。

まとめ

この記事のポイントは以下の3つです。
・庭は農耕と定住から生まれた「生活の基盤」であり、後に祈りと美の象徴へ進化した
・東西で庭の意味は異なるが、共通して“自然と人の関係”を映している
・現代のガーデニングや小さな鉢植えも、人が自然とつながる本能的な行為の延長にある

今後の放送では、世界各地の庭園がどのように生まれ、どんな文化や思想を育んだのかが紹介されます。放送後には、登場する庭園や専門家の言葉をもとに、さらに詳しい内容を追記します。

ソース:
・ウィキペディア「日本庭園」「バビロンの空中庭園」「ベルサイユ宮殿庭園」
・dlcl.stanford.edu(Sacred Garden研究)
・Vego Garden(都市ガーデニングとメンタルヘルスの関係)
・国立京都博物館『日本庭園の美と精神』


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